○ 大榮高校・廊下 |
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千晴、授業中で静まりかえった廊下を呆然と歩いている。三年D組の教室の前で止まる。後ろのドアを開けると
数学の授業中。何人かは気をとられ、千晴を見るが、再び机に向かう。 |
数学教師 |
「おい! 村井」 |
千晴 |
「はい」 |
数学教師 |
「どうした? もう三時間目だぞ」 |
千晴 |
「…すみません。寝坊で…」 |
数学教師 |
「気をつけろよ。受験は、日々の 健康管理も大事だぞ」 |
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千晴、ペコリと頭を下げ、そっと後ろにある自分の席に着席する千晴。隣に座っている真壁達也(17)。メガネをかけ、少し伸びた寝癖のついた髪で神経質っぽく眉を寄せていたが、千晴の姿を認め、参考書から目を離す。 |
真壁 |
「(千晴を凝視)…重役出勤ですか…」 |
千晴 |
「(隣に気付いて)真壁、今あんたと喋っているヒマないの」 |
真壁 |
「……(再び問題に眼を向ける)」 |
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千晴、サブバックから教科書とノートを出す。手帳もそっと取り出す。 |
数学教師 |
「だから、ここで余弦定理を用いて……」 |
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千晴、教師の顔をチラッと見て後、手帳の9月のページを開く。16日に父の不倫発覚、17日に聡子の姉、彼氏を連れてくる。19日、不倫相手を見る。21日不倫相手を確認。27日に母が憤る。
10月に入って、父帰らなくなる、と先ほど聞いた内容をもの凄いスピードで書いていく。 |
千晴の声 |
「一ヶ月後には……崩壊……」 |
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10月12日に“村井家、崩壊”と書く。
教室、カリカリと板書している周囲とは浮いて、呆然としている千晴。遠くでチャイムの音。 |
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○ 同・校庭 |
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学年集会のため待っている生徒。担任がいないので、少々ざわついている。暫くこないと見て千晴、反対側にいる聡子の方へ向かおうとするが、真壁に声をかけられる。 |
真壁 |
「すげースピードで、何書き込んでたの?」 |
千晴 |
「見んなよ」 |
真壁 |
「視界にいれるなよ。じゃあ」 |
千晴 |
「…悪うございましたね」 |
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千晴、聡子の方に向かう。 |
聡子 |
「千晴! さっきはゴメン」 |
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千晴、内心イラッとするが、話を合わす。 |
千晴 |
「こっちこそ、邪魔してゴメン…」 |
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一番前にいる聡子の隣にが空いているので座る千晴。 |
聡子 |
「さっき何か言いかけてなかった?」 |
千晴 |
「あのさ」 |
聡子 |
「何…」 |
千晴 |
「絶対、引くと思うけど……聞いてくれない?」 |
聡子 |
「引かない引かない。いつも私ばっかり喋りまくってるし、聞きますよー」 |
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聡子、聞く姿勢をとる。 |
千晴 |
「とにかくっ! 聞いて、あのさ……」 |
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その瞬間、三年D組の方へ向かってくる女性。めがねをかけ、スーツで髪を後ろに束ねた光村が入ってくる。
生徒、キョトンとする。 |
光村 |
「はーい。どうも」 |
男子生徒T |
「先生、何者?」 |
光村 |
「どうも、ピンチヒッターです」 |
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ざわめく生徒。 |
千晴 |
「……嘘」 |
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千晴、聞き覚えのある声に、身構える。電話の相手である。 |
光村 |
「ええー、緑川先生が入院したのは聞いてるよね?先生が休まれている間、 物理と3年D組の担任やります光村ちはるです」 |
聡子 |
「女の先生で物理って、珍しい」 |
光村 |
「偏見だぞ? 気をつけろ。ま、とにかく、これから短い間だけどよろしくお願いします」 |
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千晴、何気なく光村を見つめる。光村それに気付く。 |
光村 |
「何か、問題があるかな?」 |
千晴 |
「大ありです」 |
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光村、千晴の言葉を聞かなかった様に話を続ける。 |
光村 |
「はい、次の時間は物理だから、早速 よろしくね。学習は勿論。進路のことで 相談がある人は相談して下さい。力になります」 |
男子生徒T |
「先生、助けてください。この ままじゃ、どこも受かりません。」 |
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ドッと笑う生徒ら。 |
光村 |
「じゃあ、後でね」 |
千晴 |
「聡子、先行ってて(聡子と離れる)」 |
聡子 |
「ちょっ…千晴!」 |
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千晴、移動する生徒の波に逆らい、光村に近づく。光村、千晴を待っていたかのように、穏やかな微笑み。 |
光村 |
「…問題とは?」 |
千晴 |
「…話があります。放課後、空いてますか?」 |
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○ 商店街 |
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千晴と聡子、一緒に下校中。 |
聡子 |
「で、いきなり自分の携帯に未来人からメッセージかかってきたって、思っているわけ?」 |
千晴 |
「信じてないでしょ?」 |
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聡子の携帯着信音。真っ先に携帯を開くニヤニヤしながら話を聞いている。 |
聡子 |
「メール、ゲット」 |
千晴 |
「……だってその人、私の家族のこととか、あんたのことまで知ってたんだよ?」 |
聡子 |
「…見せて。手帳」 |
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携帯を手に持ったまま聡子、千晴の手帳を開き、内容を読んでいる。 |
聡子 |
「ちょっと、なんでうちのことが書いてあるの!? 17日!」 |
千晴 |
「え…(覗き見て)…“聡子の姉さん彼氏を連れてくる”?」 |
聡子 |
「(呆れて笑う)…ないない! ウチのお姉ちゃん、婚活キョーミないし」 |
千晴 |
「からかって、こんなこと言わないし……」 |
聡子 |
「大体千晴、両親の内戦に興味なさそうだったけど…いきなり気にするって、どういうこと?」 |
千晴 |
「だって…」 |
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× × × |
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―――千晴の回想
屋上のドアに立ち入り禁止の看板。
その向こう側で話している千晴と光村。はるか向こうにタイムマシン。
千晴、狼狽して光村の前を右往左往しながら尋ねる。 |
千晴 |
「…まず…光村先生。私の番号どうして知ってんの?」 |
光村 |
「090-3141-5926。覚え方は円周率下8ケタ。でしょ? 」 |
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図星で千晴、黙っている。光村、
構わず話を続ける。 |
光村 |
「覚えているでしょ? 昨日の内戦」 |
千晴 |
「……あれでうちは、終戦かと思った」 |
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千晴、訝しげに尋ねる。 |
千晴 |
「……先生、何で?」 |
光村 |
「私の苗字、両親が離婚する前は── ─村井」 |
千晴 |
「!?」 |
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千晴、予期しなかった答えに目を白黒する。 |
千晴 |
「……意味わかんないんだけど」 |
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光村、哀しそうな顔で微笑んでいる。 |
光村 |
「元々、物理は得意でしょ。だから、 私…あなたか。将来、そういう分野を研究する仕事について、とうとう完成させたの。タイムマシン」 |
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光村、屋上のヘリに腰掛ける。 |
千晴 |
「…で、何しに来たの?」 |
光村 |
「これ、盗んできたの。私の家族を崩壊させないために」 |
千晴 |
「…未来から来たの?」 |
光村 |
「ええ……。私はあなた」 |
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光村にっこり笑って、千晴を見上げる。 |
光村 |
「……あんたが、変えてよ? 私達の未来」 |
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光村、千晴に日記のようなものを渡す。 |
千晴 |
「…?」 |
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千晴、しげしげと日記を眺める。 |
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× × × |
聡子 |
「速攻返事しないと、怒るし。アイツ」 |
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聡子、メールを打ち始めている。 |
千晴 |
「それでさ…」 |
聡子 |
「ゴメン、これからファミレスで会って、勉強デートなんだ」 |
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聡子、走って消える。 |
聡子 |
「(去り際に)じゃあね」 |
千晴 |
「バイバイ…」 |
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千晴、手を振る |
千晴 |
「(自嘲気味に笑う)…信じてないな」 |
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○ 村井家・千晴の部屋 |
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T 9月16日
千晴、参考書を開いて勉強している。そこへ、階下で電話が鳴る。 |
千晴 |
「!?」 |
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千晴、立ち上がる。 |
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○ 同・リビング |
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来る千晴、電話を取る。 |
千晴 |
「もしもし……あ、お父さん」 |
健人の声 |
「千晴か? 実は、遅くなりそうなんで、よろしく」 |
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ぶっきらぼうに答える千晴。
千晴、嫌な予感がして黙ったままである。 |
千晴 |
「……携帯は?」 |
健人の声 |
「家に忘れちゃってさ、そう言う ことだから」 |
千晴 |
「……お母さんに、代わる」 |
健人の声 |
「(苛々して)…お前から言ってくれ。そうすれば、母さん機嫌良いだろ?」 |
千晴 |
「……分かった。今度、進路の話を聞いて欲しいんだけど…」 |
健人の声 |
「分かった。じゃあ、明日」 |
千晴 |
「本当?うん。早く帰ってきてね。じゃあ」 |
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千晴、受話器を置く。 |
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○ 同・健人と麗の寝室 |
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そっと開け、ベッドの周りを探す。
すると、ベッドサイドのナイトテーブルに父の携帯がある。 |
千晴 |
「…宿題前に、確認するだけ…そう、確認を…するだけよ…」 |
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独り言を言いながら千晴、着信記録をチェックする。 |
千晴 |
「…メールが11件、着信が10件も入っている…」 |
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リビングを気にしながら、更に着信履歴を確認する。“金村洋子”とある。その瞬間、携帯なり出す。慌てて出る千晴。 |
洋子の声 |
「健人ぉー? もう、洋子着いちゃいましたー。もう、メニュー来てるしー。 ねぇ、カニ食べようか? それとも、エビ?」 |
千晴 |
「…」 |
洋子の声 |
「健人?」 |
千晴 |
「……呼び捨てですか?」 |
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向こうから電話が切れる。改めて呆然とする千晴。 |
麗 |
「千晴?」 |
千晴 |
「(ギクッ) あ、お母さん」 |
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千晴、健人の携帯を後ろに隠す。 |
麗 |
「どうしたの? 何してんの?」 |
千晴 |
「お父さん、遅くなるって電話あったから、知らせたくて…(内心、狼狽)」 |
麗 |
「そう。理由は?」 |
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千晴、一瞬答えにつまる。 |
千晴 |
「残業だって」 |
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麗、一瞬にして不機嫌になる。 |
麗 |
「本当かしらね?」 |
千晴 |
「嘘じゃないよ。そう言ってた……」 |
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○ 同・千晴の部屋 |
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千晴、手帳を確認。 |
千晴 |
「…当たってるよ…」 |
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○ 同・リビング(夜) |
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千晴、部屋着に着替えている。
千晴と麗。向かい合って座り、夕飯を食べている。 |
麗 |
「……」 |
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麗、明らかに機嫌が悪い。用意した食事もろくに箸をつけない。千晴、おそるおそる麗に尋ねる。 |
千晴 |
「お母さん、ご飯食べなって…」 |
麗 |
「…ああ」 |
千晴 |
「最近、ろくに食べてないでしょ?」 |
麗 |
「そうね…しっかりしなきゃ」 |
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千晴、麗が箸を付けたのを確認し、タイミングを見計らって話し出す。 |
千晴 |
「…言ったっけ? 聡子に彼氏が出来た…」 |
麗 |
「本当に? あなたはいないの?」 |
千晴 |
「…(はにかんで)ありえないし…クラスの男子って、何考えているか分からない。口を開けば勉強できない、って喚いてるか、馬鹿話しているだけだし…」 |
麗 |
「あら、聡子ちゃんとられて悔しいの?」 |
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千晴、虚をつかれ嫌な顔。 |
千晴 |
「そういう勘の良さは、求めてないんだけど…」 |
麗 |
「…聡子ちゃんは、彼氏が出来て舞い上がってるだけよ…まぁ、ゆっくりいきなさい」 |
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千晴、優しい慰めに微かに笑う。 |
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○ 同・リビング |
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寝間着姿の麗。静かに黙って梅酒を飲んでいる。その視線の先に携帯がある。 |
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○ 同・千晴の部屋 |
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千晴、携帯に手を置き、トントンと叩いている。突然、光る携帯。恐る恐る出る千晴。 |
千晴 |
「……もしもし…」 |
光村の声 |
「私の言っていること、信じてもらえたかしら?」 |
千晴 |
「……私があなたで、あなたが私…」 |
光村の声 |
「…なんだか、童謡でそんな歌あったわね?(笑う)」 |
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千晴、大きく深呼吸する。 |
千晴 |
「…今、どうしてるの?お父さんとお母さん」 |
光村の声 |
「父は…。別の家族を作って二児の子持ち。母はお酒と手が切れなくて… アル中…」 |
千晴 |
「…本当に崩壊するんだ」 |
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千晴、携帯を持ちかえる。 |
千晴 |
「…どうして、自分でやらないの?」 |
光村 |
「未来人には、色々制約があってね…」 |
千晴 |
「タイムパラドックス的な問題?」 |
光村 |
「(意味深に笑って)そう思ってくれて構わないわ」 |
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千晴、決意の表情。 |
千晴 |
「…私、やるわ。村井家を崩壊させない」 |
光村の声 |
「…渡したもの、読んだ? 役に立つと思う」 |
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電話が切れる。千晴、自分のバッグを調べ、貰った日記を調べる。 |
千晴 |
「…うわ…」 |
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5年後まで内容が書いてある。テストの内容までびっしりである。 |
千晴 |
「頑張りますとも…」 |
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○ 同・両親の寝室 |
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健人、独りで寝ている。 |
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