【タイトル】 

「青いアイスとSL

【作者】 

沢村 井月(さわむら いつき)

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【シナリオ】

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《梗概》

 幼くして父が急逝し、母みつの実家に預けられている信太郎。一人息子の信太郎と離れて、義兄の三郎、節子夫妻宅に居候するみつ。右腕を失った三郎にかわって家計を支える節子に行商を習ったみつは、一緒にSLに乗って、泊りがけのきつい行商に奔走している。夫が残した借金を返すためだ。
 8歳の信太郎が大好きなのは、みつがいつも乗っているSL。一番の楽しみは、町の芝居小屋で年に3度だけ、一日限りで開かれる映画興行だ。小屋のささやかな売店を三郎・節子夫妻が任されていて、みつが手伝っているため、「顔パス」だった。信太郎は、みつに売店でもらう青いソーダのアイスキャンディーがこの世で一番好きな食べ物になる。そして信太郎の夢は機関士になることだった。
 15歳、中学3年になった信太郎は進路選びの時を迎える。信太郎の夢を知る担任・山中は、工業高校進学を勧めるが、背負う借金の完済にまだ3年かかると涙を見せるみつ。「だれの世話にもならず、ちゃんと食えるようになりたい」という信太郎は、山中が提案した床屋の道を選び、街へ出る。住み込んだ床屋では、親方の忠吉に厳しくも温かく指導される。忠吉の一人娘、あかりは信太郎の5歳下。幼いころ、猫を助けようとして車にはねられ、びっこをひいている。
 修行に出て初の正月、信太郎は喜んで帰郷し、三郎宅を訪ねるが、みつが自分の漬け物嫌いを知らないという些細なことで、けんかしてしまい、以来、帰郷しなくなる。母子は仲直りのきっかけがつかめない。
 20歳。信太郎は一人前の床屋になっている。あかりは絵の才能があり、高校の美術専攻を受験するが、予想外の不合格。家に帰れず、信太郎と来たことのあるカレー屋に一人でいたあかりに、信太郎は「一生続く夢がうらやましい。あきらめなきゃいけない夢もある」と話す。あかりは働きながら、夜間の専門学校で絵を学ぶ道を選ぶ。
 信太郎の後輩が店をいっぺんにやめ、信太郎を引き止めたい忠吉は、信太郎に8ミリを買って貸す。信太郎は休みのたびにSLを撮りに出かけるが、だれにも映写を見せない。それをこっそり見たあかりは、SLだけでなく、行商の女性をたくさん撮っていることを知る。みつと仲直りしたいという内心も知る。あかりは上映会をして、みつを呼び、信太郎と仲直りさせることを思い立つ。