【タイトル】 

「トタン屋根」

【作者】 

新井 寧子(あらい やすこ)

【E−mail】 

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【シナリオ】

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《梗概》

 ここ何年かずっと仕事漬けで、深く物事を考えていなかった渡辺咲(35)は 婦人科の医師から、大きい子宮筋腫と子宮内膜症を合併していることを告げられる。この 先、結婚できそうもないと思った咲は子宮全摘出の手術を受けることを選択する。実家の 母や妹にはショックを与えるといけないと思い、手術のことは内緒にした。
 大手電気会社の中堅社員である咲は退院後休む余裕も無く、すぐ職場に戻った。
 咲は直属の上司の吉田克也(43)と不倫をしていた。吉田の妻恭子(39) が咲のマンションに押しかけたこともあって、手術をきっかけに咲は関係を精算したかっ た。だが吉田は強迫的な妻から逃れたいためにセックスができなくても咲の所へやってく る。
 吉田は咲と一夜を過ごして、彼女の精神的な傷に初めて気がついた。翌日、彼 は咲に学生時代取得した資格の免許証を実家に取りに行けという命令を口実に、一週間の 休暇を与える。実は免許証はマンションの押し入れにあったのだが・・。家に帰った咲が 、押し入れの奥から免許証を引っ張り出そうとしたら、姪の瑞穂(4)が描いた絵が転が り出てきた。あどけない絵を見て、里心のついた咲は岡山にある実家に帰っていく。
 実家についた咲の目に飛び込んできたのはトタン屋根で遊ぶ瑞穂だった。懐か しくなった咲は、屋根で瑞穂とハーモニカを吹いた。屋根から降りてきた咲のやつれた表 情を見て母の和枝(63)や妹のみのり(33)は仕事を辞めてこっちで就職しないかと 誘う。
 帰ってきて三日目、トタン屋根で「お姫様ごっこ」(ワンピースを着てシャボ ン玉をするだけなのだが)をする咲と瑞穂を、近所の浪人生、川島渉(19)が目にする。 華奢でふんわりした雰囲気の咲に渉はいっぺんで夢中になってしまう。
 会社からの連絡があって、咲は至急の仕事をするために渉のパソコンを借りた。 仕事を終えた咲と話す渉はとてもうれしそうだった。その日の夜、渉は咲の家のトタン 屋根にジャンプして手紙を貼りつけ、咲を映画に誘う。屋根にあたる手の音に気がつき、 咲が手紙を見つける。小さくガッツポーズをして喜ぶ咲──。
 だが、咲に会社からすぐに戻って来てほしいという連絡が入る。吉田が無断欠 勤をしているという。  会社に戻った咲はそこで初めて吉田が恭子を刺して逃げたことを知る。すぐに 刑事が咲のマンションに張り込んだ。刑事が予想した通り、咲の所に逃げてきた吉田が逮 捕される。
 会社を辞め、東京を去る咲は、恭子から弁護士を通じて会ってほしいという連 絡を受ける。全てを精算したかった咲は恭子に会うことを決意した。

 

 

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