シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
    竹内利光 (シナリオ作家)

  1969年、北海道生まれ。玉川大学卒業。
  1991年、シナリオ講座第17期を受講する。
  現在、アニメ作品を中心に活躍。

  ■アニメ
  「ななみちゃん」「働きマン」「ケロロ軍曹」「かみちゃまかりん」
  「REIDEEN」「アニマル横町」「無敵看板娘」
  「おとぎ銃士 赤ずきん」他


                            


2008年8月25日(月曜日)

夕方ごろ出かけようと外へ出ると、セミがあおむけで転がっていた。
先日から急に寒くなったためか。8月の終わりを待たずして力尽きたらしい。
「おつかれ」
声をかけた瞬間、
「まだ死んでねー!!!」
バタバタと飛び去って行った。
毎年2〜3回は遭遇するシーンなのだが、この死んだふり攻撃は何度やられてもびっくりする。
元来臆病なため、人一倍「びくっ!」っとのけぞる自分。ものすごく格好悪い。セミめ。

雨のふる中、電車に乗って新宿へ向かう。
気がつくとジットリ汗ばんでいる。
せっかく涼しくなったと思ったのに、また蒸し暑くなってきたようだ。
セミも生き返るわけだ。

新宿で、友人の役者さんたちと落ち合う。
今日はこれから『ものまね館』にゆくのだ。
ものまね館。ものまねショーを見ながら、飲んだり食べたりできるお店である。
今回、知り合いの若い役者さんがここに出演しているというので、皆で観ようという事になったのだ。

月曜の夜だというのに、店内はそこそこ混んでいる。
男グループ。女グループ。おじさん。おばさん。客層もさまざまだ。
某先輩ライターさんも合流し、一時間ほど飲み食いしていると、やがてショーが始まった。
目当ての彼はトップバッターで登場。
いや面白い。ひさしぶりに大声で笑った。
歌も上手いことにも驚かされたが、やはりスゴイのはその変身ぶりである。
正直二枚目とは言えない風貌の彼が、歌い始めるととたんに格好良くなるのだ。
こんな芸をもっていたとは。
さすが役者。お見事である。

出演者は6人ほどで、テレビで見たことのある芸人さんも見ることができた。
中にはそれほど似てない人なんかもいるのだが、そんな似てなさ加減もふくめて楽しめるのは、やはりライブだからだろう。
タレントのソックリメイクをした人が目の前にいるだけで、もう面白い。
見ただけで思わず笑いがこみあげてくるのだ。
シナリオで書けと言われてもたぶん書けない。
理屈ではない面白さ。
いい。

ショーが終わり、別の店で飲み直す。
ここでまた別の役者さんが合流。
シナリオの話。役者さんたちの舞台活動の話。これからの生活の話など。
あれこれ話すうち、いつの間にかいい時間になってしまった。
やがて誰ともなくカラオケに行こうというとに。

日付も変わったので、ここから先は翌日の日記ということで。



2008年8月26日(火曜日)

結局朝までコースとなったため、始発ごろの電車で帰る。
途中気持ち悪くなり、ちょっと手前の駅でおりてトイレへ向かう。
疲れている時などはこのパターンが多く、ひどい時は各駅停車になる場合も。

昼過ぎまで寝て、今日はうちで仕事。
某アニメの初稿にとりかかる。
が、いまいちうまくいかない。
もっとアイディアをつめこまなくてはいけないのだけれど、なかなかアイディアが出ないのだ。

アイディアが出ない時にする事。
いろいろあるのだけれど、まずは散歩。
近所の本屋をぶらついたり、日用品の買い物をしたり、ドトールで何か食べたり。
平日の昼間はだいたい、こんなふうにブラブラしてる事が多い。
「あの人いつもブラブラしてるけど、何をしてるのかしら?」
もし何か事件でも起これば、真っ先に疑われるのだろうか。
ご近所さんの前ではなるべく爽やかにしようと心がけてはいるのだけど。
外見がまったく爽やかじゃないからなぁ。

散歩をしてもアイディアが出ない。
でも、足をうごかすと少しだけ「やる気」が出る。そんな気がする。
トイレにも行きたくなる。健康にもいい。

やっぱりアイディアが出ない。
こんな時に最近よくやるのが、ドラムを叩きまくる、だ。
去年の夏に衝動買いした電子ドラムを思い切りドカドカやるのである。
下手なのだけど、iPodなんかをつなげてランダムに再生させながら、それに合わせてドッカンバッカンやっていると夢中になれる。
そしてあっという間に汗だくになる。
で、シャワーをあびる。
これをやってアイディアが出た事はないのだけど、気持ちいいので、リフレッシュできる。

やる気になって、気持もリフレッシュ。
あとはアイディアだ。
が、まだ出ない。

こんな時は、横になる、だ。
ソファにごろりと横になり目を閉じる。そして、あれやこれやぼ〜っと考えていると、ポヨンとアイディアが浮かぶのだ。
この「ぼ〜っとした」感じがいいのだと思う。
今までこの方法には何度も助けられた。
本当に何度も何度も。

が、最近はどうにもうまくいかない。
寝てしまうのだ。
もちろん寝てる場合ではないのだけれど、寝ながら、すごく面白いアイディアを思いついた、という夢をみるので、安心して「ちょっとだけ寝るか」という気持になってしまうのだ。

DVDを見る。小説やマンガを読む。おもちゃを開けるなど。
他にもアイディアが出ないときの対処法はいろいろあるのだけれど、どれもはたから見ると「遊んでる」ふうにしか見えないものばかりだ。
決して遊んでいるのではない。

だらだらと書いてきたけれど、結局、これをやればアイディアが浮かぶ! 
などという完璧な方法はわからない。
すごーくありきたりで、つまらないオチですいません。
何せアイディアが出ないもので……。



2008年8月27日(水曜日)

夜中。セブンイレブンでハンバーグ弁当を買う。
気がつけば昨日の夜も同じ物を食べたんだっけ。
迷ったあげくに連続で同じ物を食べてしまうことが多い。

決して、食事を作るほど忙しいという事もないのだが、ちょっと毎日のリズムがおかしくなると、この手の食事ばかりになってしまう。
気がつくと、近所のスーパーが終わっている時間だったり、まだ始まっていない時間だったり。
そういう時間におなかがすいてしまうのだ。
一度このリズムに陥ってしまうと、なかなか抜け出せない。

コンビニの弁当とは限らない。
マックばかり食べてしまうという恐ろしい繰り返しに陥ることもある。
何が恐ろしいのか。いや、決して恐ろしい事などない……とは思う。
そう言えば不思議なことに、最近、ごく最近、マックが食べたくてしょうがない時があるのだ。
無性に食べたくなるのである。なぜだかわからない。
いい歳してこんな事を言うと、知り合いはみんな笑うのだけれど。
もしかして……何か特別な……何かによって……。
やっぱり恐ろしい。

マック&コンビニ地獄には原因がある。
近所に他にあまりまともな店がないのだ。
ちょこちょこと、いろいろ、定食屋などが、あるにはある。
が、まともな店がない。
「お前やる気あんのか!」
とぶち切れたいくらい、やる気の感じられない店ばかりなのだ。
思い出しても腹が立つくらい、やる気がないのだ。
たまーに、ごくたまーに、淡い期待とともに入ってしまう事があるのだが、その度に、
「ああ……やっぱり入るんじゃなかった……」
と、ものすごく後悔させられる。

それにくらべて、マックやコンビニは後悔というものをあまりしたことがない。
もともと期待などしていないのだから当たり前なのだが。
いつ、いかなる時も、変わらぬ品質。
変わらぬ品質。
安心の……安心の……(?)品質。

やっぱり、
明日こそ、ちゃんとしたもの食べよう。



2008年8月28日(木曜日)


夜。うどんをゆでる。
コンビニやマックばかりでは何かよくない気がする。
いや、たぶん絶対よくない。
たまにはちゃんとしたものを食べなくては!
潜在意識から発せられた緊急警報によって、身体が動き出したかんじだ。

といっても、そんなにちゃんとしたものでもない。
この細打ちうどん。ずいぶんまえにどこから頂いたもので、賞味期限がとっくに切れている。
しかも2年以上も前に。

これに、生卵、シーチキン、長ねぎ、ねり生姜、きゅーり、ごま、ハム、などをテキトーにドババっとくわえて、そうめんのタレをぶっかけて食べるのだ。
うどん本体よりも、その他大勢を、うんと多くしてやるのが自分的なポイントだ。
うまい。
すごくうまい。
毎日これでもいい。

一度何かおいしいと思うと、そればっかり食べてしまう事が多い。
古いところだと、ハウスの『赤カリー』というレトルトカレー。
20年くらい前だろうか。
学生のころ、こればかり食べていた。
ピリッとした辛さに、ほんの少し酸味があって、うまかった。
ずいぶん前になくなってしまった。また出ないかなぁ。

大戸屋の『チキンかあさん煮』ばっかり食べてた事もあった。
その後は『炭火焼きさば定食』〜『ほっけ定食』。

サントリー『京番茶』も美味しかった。何でなくなってしまったのか。

フレッシュネスバーガーの『クラッシックバーガー』もいい。
ここ1〜2年はこれだ。いまだに現役なのだが、フレッシュネスが近所にないので時々しか食べられないのが残念。

居酒屋だと、東方見聞録にある『鶏皮ネギポン酢』。これは間違いない。

ああまた腹へってきた。
うどんでも茹でるかな。



2008年8月29日(金曜日)

昼間の打合せが休みになった。
というより元々お休みの予定だったのを知らなかっただけなのだが。
今日のために原稿はあげていたので得した気分である。

今日はもう一本別の打合せがある。
今日は朝から昨夜の豪雨の影響で電車が止まっていたのだが、家を出る頃にはほぼ通常通りの運行になっていたので、いつもどおり打合せの現場に向かうことができた。

現場では、その日の原稿のプリントアウトをいただく事が多いのだが、最近はなるべく自分の原稿は自分で持ってゆくようにしている。
使い終わった原稿の裏に自宅のプリンターで印刷したものだ。
実は使用済みの原稿というのが、けっこうたまってしまうものなのだ。
ちょっと処分をサボると膨大な量になってしまう。そのままだともったいないので、裏も使ってからシュレッダーにかけて処分するのだが、それでも、増える量がはんぱじゃない。
ラクガキ、メモ、いろいろ使っていても、使うより増える方が圧倒的に多い。
どんどんたまる。

それにしても、この使用済みコピー用紙。
そのまま捨てるのももちろんだし、古紙回収業者には出すこともできない。
何か有効な再利用法はないものだろうか?

理想としては、何かに再利用できるのが望ましい。
しかも日用品。いくらあっても困らないもの。
たとえばトイレットペーパー。
もしコピー用紙が改良され、水に溶けるものになったとしたら。
すごく便利ではないだろうか。

これならいくらあっても大助かりだし、シュレッダーにかける手間もいらない。
プライバシーもバッチリ。下水道の中でいろんなものにまみれてくちょぐちょになってしまえば、わざわざそれを拾って読もうとする人はいないだろう。
たぶん。

問題があるとすれば「自分の書いた原稿でお尻をふかれる」という現実。
抵抗のあるという人もいるかもしれない。
何しろ「自分の書いた原稿で拭かれる」わけなので。
でも中には「あんちくしょうの書いた原稿でケツ拭いてやるぜー!」などとストレス発散に利用する人もいるかもしれない。
あるいは「ああ……ボクの書いた原稿であの人が拭いてくれている」と変な想像をして喜ぶ人もいるかもしれない。(実際、知り合いにこのタイプの人がいます)

どっちにしてもやはりすごく便利だと思う。
というわけでどこかの紙メーカーさん、トイレに流せるコピー用紙、あるいは、家庭用プリンターで印刷できるトイレットペーパー、どうか製品化してください!



2008年8月30日(土曜日)


ひさしぶりに髪を切る。
思い切って近所にある美容室に行ってみた。
新しいお店を開拓するのは得意ではないのだけれど、いつものお店にいく時間がないので今回はあえて冒険してみることにしたのだ。

結果としては、すごく親切でいいお店だった。
店員さんもかんじいいし、リラックスできる。
もっと早くから来てみてもよかったかも。

席に案内され、すっかり気を許しボーッとしていると、店員のおねえさんが、何かを説明にやってきた。
「実は今、○○のシャンプーというのをやっておりまして……通常の場合に比べ……いかがでしょうか?」
小さな声の説明がよく耳にはいってこない。
説明が書かれたチラシも、写真以外の文字がぜんぜん頭に入らない。
要するに、オプションで特別なシャンプーがあるので試してみろ、という事らしい。
「じゃあそれでお願いします」

ふだんから、雑誌などを見ていても、写真を見ているだけで、ほとんど記事は読まないほうなのだが、特に集中力がない時というのは、どうにも文字とか言葉が頭に入ってこないのだ。
居酒屋に行くときなども、だいたい集中力が切れている時が多いので、
「生ビールは、通常のものと、プレミアムがございますが?」
「じゃプレミアムで」
「こちら今、当店おすすめのメニューになっておりまして、すぐにご用意できますが、いかがですか?」
「じゃ、それお願いします」
こんな感じである。
すごく素直だ。

勧められたものは、あまり何も考えずにパクパク口に入れてしまう。
もぐもぐと一口食べ終わってから、
「これは何ですか?」
などと聞くことも多い。
順番が逆である。
比較的、簡単に毒殺されてしまうタイプだと思う。

そんなわけで、このシャンプー。
ネットリと髪やら頭皮やらをマッサージしてくれる。
なかなか気持ちいい。
で、面白いのがその後。
なんか透明な器に入った白濁した液体を見せられる。
「さっき透明だったあの液体が、こんなになりましたよぉ」
「ほお。すごいですねぇ」
つられて素直に驚いたものの、さっきの「透明な状態」を見ていないので、あまりよくわからない。
しかし、よく見ればその液体の中に、こまかいホコリ状のものや、アブラっぽいものが混じっている。
つまり、これらは全部、自分の頭皮からとれたという事なのだろう。
昨日はちゃんとお風呂で頭洗ったのに。
すごいなぁ。

まるで、一昔前によく見たひげ剃りのコマーシャルのようだ。
とにかく、この時期は寝ている間にも、こんなにも頭皮が汚れるという事らしい。
毎晩の洗髪ももっと丁寧にしたほうがいいのだろう。
集中力のない時というのは、ふだんにくらべて素直になれる。
今日から、もっとちゃんと髪を洗わなきゃだめなのだな。
むしろすすぎを丁寧に……じっと、器の中を見つめて反省していると、
「あ……でもそんなにひどい方じゃありませんよ。もっとすごい人は、この液が真っ白になったり、黄色くなったりする方もいらっしゃるんですよぉ〜」
と、おねえさん。
慰めてくれてありがとう。



2008年8月31日(日曜日)

ああ、
やっと終わりだ。
嬉しい。

子供のころから文字を書いたり読んだりするのはあまり好きではなかった。
毎日の日記などは一週間も続いたためしがない。

手帳のたぐいにしてもそうだ。
数年毎に一回くらい、
「そうだ今年から手帳を持とう」
などと思い立つことがある。
なんか、かっこいい気がするからだ。
ではじめのうちは一応、毎日の予定など書き込んでみたりもするのだが、しだいに書き込むこと自体が面倒になってくる。
やがて何日も真っ白な状態が続き、あわてて後から思い出して書き込むことになる。
で結局、日記をつけているような状態になり、やめてしまうのだ。

当然のことながら、ミクシィなど長いこと放ったらかしである。
ブログなどもこの先はじめることはないと思う。
毎日のように更新している人は本当にスゴイと思う。

ただでさえ、いろいろなものに追い立てられる毎日なのだ。
買ったのに見てないDVD。録画したのに見てないTV。
どんどん増えてゆく。
日記や予定表などつけている場合ではない。

ちょうど先々週の木曜、前任の笠原さんより、この日記のお話をいただいた。
毎日、しかも、必ず書かなければいけない日記と聞いて、最初は腰がすくんだものの……しかし!
これはほかならぬ笠原さんから直々にいただいたお話。
笠原さんには、ぼくがプロとしてデビューするずっと前から、そして今も大変お世話になっている方なのである。
「ここはひとつ、がんばってみよう!」
と心を奮い立たせ、今回の日記に臨んだ次第である。

そして、次にバトンをお渡しする横谷昌宏さんもまた、アマチュア時代からずーっとお世話になっている方である。
ぼくなどが説明する必要もない。
テレビ、映画で活躍されている大先輩だ。
現在にいたるまで、いくつものお仕事でご一緒させていただいている。
デビューする何年も前のこと。
横谷さんが、ぼくの書いたものを「おもしろい」と言ってくださった事を今でも覚えている。
本当にうれしかった。
あれがなかったら、きっと今の自分はなかったと思う。

そんな大恩人でもあり、ものすごくお忙しい横谷さんに、リレー日記などという大変なバトンをお渡しするのである。
まるで恩を仇で返すような気もしないでもないが、快く引き受けてくださった横谷さんに感謝です。

それでは
失礼いたします。


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