シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
    瀬尾みつる (シナリオ作家)

  福岡県出身。京都在住。
  高校時代にさだまさしと出会い、「雨やどり」を自主製作。
  大阪芸術大学進学後、小林よしのり、手塚眞らと共に
  「中洲界隈天罰研究会」を製作。
  その後、テレビ番組の構成演出を手がける。
  URL: http://scenario-writer.com/


                             


2009年3月2日(月曜日)

関西在住組、安田さんの次に担当させていただく瀬尾みつるです。
関西とはいえ、生粋では無く、九州で生まれ、その後東京東京〜九州〜大阪〜京都と転々としている流れ者ですが。
どうぞ1週間よろしゅうに。

以前は夜中に書いて飲んで、日中は寝る!のただれた生活リズムだったが、肉体的にもしんどくなり最近はきちんと?
午前3時頃迄に寝て午前中に起床のパターンが定着。
平均睡眠時間が4〜5時間が一番体調もベストな感じ。ま、疲れた時は爆睡するが。

20代後半、テレビ番組のディレクターをやっていた事もあり、最近のテレビ(特にバラエティ番組)の作り方の雑さには驚く。
全てではないが、ほぼタレントのキャラクター任せ、制作者の意気込みとかが微塵も感じられない。
こんなのをゴールデンに垂れ流してるわけだからどうかしてるゾ!等とひとり怒りオヤジになりながらやれ地デジだと騒いでいるテレビの将来を憂う。
数年がかりの作業になっているホン。優しい原作者に甘えてしまい、なかなか脱稿にいきつかない毎日。
専念できれば良いのだが、生活もかかってるし、喰うための仕事もやらないと無理な経済状況がのしかかる。
ひとつひとつの台詞にこだわるあまり、深みにはまってさあ大変!

そんな時は気分転換に近所の嵐山をぼんやりと散策が出来るから嬉しいのだ。
遅々として脱稿に至らないホンを横目に、知人にいただいた焼酎、富乃宝山をチビチビやりながらいつのまにか就寝。



2009年3月3日(火曜日)

UMPC(ウルトラモバイルPCというらしい)を買った。
メールとかWebの閲覧程度にはちょうど良いし、何といっても安い。
ま、使い捨てパソコンみたいな感覚で使えるから。
現在はMacをメインで使ってるから、久しぶりにWindowsのパソコンと向き合うと、なかなかどうしてもっさりしている。
ホン書くときは、まず手書きで書いて、それをパソコンに入力し…というパターンで仕事をしている。
非常に回りくどいやり方かもしれないけど、とにかくこの歳になると字を忘れてしまう。
そう、昔はいちいち辞書をひいてたわけで、今や何だってインターネットで事足りるという便利だか、脳が退化してしまうのか、よくわからん時代になってるから尚の事手書きは大切だと思う。
その反面、大学での授業で学生が課題を提出する際は、確かにワープロの方が読みやすかったりもする。
ただ、手書きだと、書き手の“味”みたいなものがひしひしと伝わってくるからまた楽しい。

デジタル全盛の昨今、手書きも捨てたもんじゃない。



2009年3月4日(水曜日)

仕事場(というほどでもないけど)が散らかりまくりだ。
写真撮ってアップしようとも思ったが、」おぞましいのでやめ。
資料が山積みになり、DVDは今にも崩れ落ちんばかりに積み重ねられている。地震が来たらひとたまりも無いな、と思いつつもなかなか片づけれない。
一念発起で片付けようとしたら、昔の資料が出てきた。大学時代、宮川一夫キャメラマン(カメラマンではない。キャメラマン)に教わったメモ書きだ。鬼籍に入られて何年になるかな?晩年もこよなく映画を愛されていた。
「キャメラがね、こうゆっくりパンするとね…」と少年のような目で話をされていた事が忘れられない。
何度かご自宅にお邪魔した時も、「羅生門」等の作品の撮影時の資料を見せていただいた記憶がある。
フィルムのカット尻をカット毎に整理され、その時の絞り値などが記され、すべてをきちんとノートに貼り付けておられた。
これぞまさしく“プロ魂”だ、と感銘を受けたものだ。
シナリオを基に、役者の芝居を決して制限せず、キャメラもきちんと芝居をするにはどうしたら良いか?
を常に考えられていた。
(役者の芝居を)フレームの中に収めるのではなく、フレームの外にも役者の息づかいが感じられる工夫をされていた。
頑なに自分のスタイルを貫き通す。“作品”のためには妥協をしない。
当り前の事がなかなかできにくいのがちょっと残念で哀しい。

結局部屋は片付かない。嗚呼!



2009年3月5日(木曜日)


朝、健康診断で病院へ。

「煙草は控えなさい。血圧が高めです。きちんと検診を受けなさい。」医者からはきつい言葉の連続。「はいはい、自分の身体は自分で管理しますから」と心の中で呟きながら、殊勝に頷くのみ。健康第一。

病院から戻ると確定申告の準備。貧乏ライターには税務署からのきつい指摘が無いのでそんなに大変じゃない、と喜ぶべきか悲しむべきか(苦笑)。数時間で片付け、あとは税務署に提出するのみ。

夜は、知人から連絡があり、近所の鉄板焼き屋で呑む。家庭内でアクシデントがあり、人生経験豊富?な瀬尾にアドバイスを求めてくる。20代の頃、わけもわからず自主製作映画に明け暮れていた頃や、父親が他界した時の記憶を蘇らせながら、その頃の精神状態等を吐露する。

普段とは違う知人の一面を垣間見たようで、人間つくづく厄介な生き物だと改めて思う。
人に話をする、人の話を聞くだけでもかなり楽になるから呑んだ甲斐があった。

帰り際、パラパラと雨が降りだした。たまには濡れて帰るのも良いかな?と真っ暗な桂川を見ながら家路に着く。



2009年3月6日(金曜日)

久々に11時まで熟睡。
起きたらなんだか喉が…、風邪かもしれない。
確定申告書を右京税務署に提出。昨年は期限後だったので今年は優秀、よしよし。

午後から執筆。書きながら数年前に関西の某テレビ局プロデューサーの言葉が頭をよぎる。
「書くだけやろ。急いでね。」プロデューサーにしてこの言葉…、いかに書き手を軽視しているかが如実にわかる。

入局数年の若手ならまだ良いが、まあベテランの類のこのプロデューサー氏。台詞のひとつひとつ、骨身を削って書いているライター達の苦労なんて微塵も感じないのだろう。

あれからかなり時間も経ったが、いまだに彼の発した言葉が頭から離れない。このままだとライターの“作家性”がどんどん摘み取られていくんじゃなかろうか? なんて悶々としていると無駄に時間が過ぎた。ありゃ、また進まなかった…。

夕方、おいしい豆腐が食べたくなったので、近所の豆腐屋さんへ。時間が時間なだけに売り切れ。厚揚げを買って、母親が調理する。鰹節としょう油で煮込むのだが、これが絶品!

あれ、少し熱っぽい…。やはり風邪ひいたかな?こんな日は早く寝るに限る。



2009年3月7日(土曜日)


朝6時に起床。
何となく身体がだるい。やはり風邪かな?こんな時は朝風呂に限る。で、早朝風呂にドボン!
しばらく湯船に浸かり、身体全体を芯から温める。
気分爽快!なんて簡単には治まらないが…。

明後日の理事会の資料に目を通す。こちらもなかなか一筋縄ではいかない著作権に関する問題山積。
そもそも一般の人が著作権に対してどのように理解しているのかがわからない。ファイル共有ソフトか何かで公開前の洋画が普通に観れたりが当たり前のようになっている。当然画質だとか、作品そのものの空気感なんてあったもんじゃないのだろうが、そのへんの取り締まりもイタチごっこなのだろうか?
著作権に限らず、法整備はいつも後手後手だ。事が起きてからの対応では無く、起こりうるであろう問題をあらかじめ想定してやれば良いのにといつも思う。

ところで、最近漠然と感じているが、規模は小さいけど日本各地で地震が頻発している。ガス抜きなのか、大きな地震の前兆なのか?山と積まれた資料の下敷きにだけはなりたく…ない。



2009年3月8日(日曜日 )

歳取ると1週間がやけに早い。だけど自身のサイトでもなかなかやらない毎日続ける日記の大変さ。早く感じる1週間がもっと早い気がした…。

些細な事だが、やり続ける事の大切さを改めて考えさせられる気もした。いかに無駄に無精に生きてるか?もよくわかったし、その無駄がまた次の蓄積になったりと生々流転。違うか?

半世紀近く生きてしまうと、それこそ様々なキャラクターの人たちと遭遇する。仕事関係、プライベート。その中で小さな脳みその中に鮮明に記憶されるのはほんの一握り。

通り過ぎるだけの人もいれば、良くも悪くも数十年つきあう人もいる。その数が多いか少ないかは別として、やはりせっかく出会う人との縁(えにし)は大切にしたいし。

意見の相違や、思わぬ誤解で疎遠になっても、ありがたい事に時間がそれをうまく解決に導いてくれる時もあるようだ。うわべだけの言葉で飾り立てるのではなく、本音で向き合ってみると、それまでのわだかまりが突然すっと消えてなくなったり。

それと同じように、言葉(台詞)以上の表現方法で、人の気持ちを掴むようなシナリオが書けたらどんなに幸せだろうか?永遠に無理かもしれないし、もしかしたら明日出来るかもしれない。

そんなスリリングな面白さを孕んでいるからこの仕事はいつまでも飽きない。基本は今現在の自分自身の中にある。それを踏まえていればいかようにも動かせる。

何事も“基本”が大事。

決して流されない事。そんな思いを再認識した1週間だったかな?ありがとう。


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