社団法人シナリオ作家協会


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協同組合日本シナリオ作家協会





 ご案内  
 第159回シナリオ倶楽部  (終了しました)

 開催日時  
 2月4日(月)17時〜

 ゲスト  
 長田紀生さん

 開催場所  
 シナリオ会館3階シナリオ講座教室

 参加資格  
 シナリオ作家協会会員、シナリオ講座受講生・修了生
 シナリオ作家協会会員による紹介者

 紹介文  
 1975年当時、35ミリフィルム撮影の自主制作、しかも戦争真っ只中のベトナムでオールロケを敢行した映画が存在した。日本映画史上特筆すべき“事件”だが、不幸にして未公開だったため正史には記されなかった幻の映画『ナンバーテン ブルース・さらばサイゴン』が今回の上映作品です。
 
 脚本・監督の長田紀生さんは、東映のご出身で、『恐喝こそわが人生』『修羅雪姫』『犬神家の一族』などの脚本を執筆した言わずと知れた名脚本家。33歳の時、渾身の力を込めて本作を完成させたのですが、様々な事情により未公開となり、やがてフィルムは行方不明に。しかし昨年、フィルムセンターに保管されていたことが判明。今年のロッテルダム国際映画祭で正式招待作品として上映された直後、シナリオ倶楽部にやってきます。この機会にぜひご覧下さい。(原田聡明)(※当日は、取材キャメラが入ります。予めご了承願います。)


 ゲストからの
 メッセージ

 
 映画は時代に乗っかるものじゃなく、抗うものだ。
長田紀生

 『ナンバーテン・ブルース/さらばサイゴン』は、1975年、ベトナム戦争の最末期に、全編ベトナムロケで撮影した作品だ。文字通り命がけの撮影だった。サイゴン(現ホーチミン市)陥落とほぼ同時にやっとの思いで帰国し、仕上げに入ったが、残念ながら一般に公開されることはなかった。その主な理由は資金の行きづまりとオーナー・プロデューサーと僕の編集に関する意見の対立だ。その後、フィルムそのものが行方不明になってしまっていたが、熱心な映画ファンの努力で、ネガと0号プリントが国立フィルムセンターに所蔵されていることが分かり、幾つかの経緯を経て昨年の10月に、ディジタル化して完成させた。幸い、今年1月末のロッテルダム国際映画祭に新作として正式招待され、そこでの上映が世界プレミアということになる。日本での公開については、今、色々な戦略を考えている。僕はこの作品を単なるアーカイブスにはしたくないと思っている。僕自身の、それから多くの映画の作り手たちの現在の仕事につなげていきたいと思っている。


 映画を作るには否応なく金がかかる。今、インディペンデントのフィルムメーカーの殆ど100パーセントが、映画は作っても儲からないと言う。現場の作り手たちが金銭的な成果に絶望している業界に、展望や夢や志が生き生きと躍動するわけがない。人材だって集まらない。インディペンデントが映画を製作する上で一番厄介な壁は、入口と出口の問題だ。入口とは資金、とりわけシナリオを作るまでの当初資金、出口とは公開上映の問題。現在、日本で製作される映画の殆どがいわゆる製作委員会方式。入口も出口も、テレビ局と大手広告代理店と映画会社を中心とした製作委員会とやらに支配されている。現場のフィルムメーカーはおこぼれの餌を奪い合い、共倒れしていく。この状況は悪くなるばかりだ。


 僕は『ナンバーテン・ブルース』で、出口に関する一つの実験をやってみたいと考えている。その為には、映画に力がないといけない。この作品に力があるかどうかは見る人が決めてくれる。


 ライターや監督、クリエイティブな立場で映画に関わる人と、フィルム・ビジネスに大きな野心を持つ人、その両方に見てもらいたい。お互いに、孤立から抜け出さなくてはいけない。(談・構成=原田聡明)