【タイトル】 

1DKのタイムマシン」

【作者】 

宮本 陽介(みやもと ようすけ)

【E−mail】 

非公開 (シナリオ講座事務局にお問い合わせ下さい)

【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

 

「もう年下なんてうんざり」。デパートの化粧品ブースで働くビューティコンサルタントの絵麻・27歳は、居酒屋で同僚の華にそう愚痴をこぼした。年下の彼氏に免許証の写真を笑われ、別れたのだ。いつまでもきれいだと思われていたいという強い気持ちがあった。

その夜、一人暮らしの1DKに帰ってきた絵麻が目にしたのは、勝手に部屋にあがりこんでビールとハムをつまむ雄哉の姿であった。

雄哉は絵麻が崇拝するカリスマインディーズロックバンドイサク≠フボーカルであった。31歳、長髪であご鬚を蓄えたダンディの代名詞のような男だった。かくして、雄哉と絵麻の1DKヒモ生活がスタートした。

しかし、雄哉には秘密があった。「イサクのジェイシー」としての彼のプロフィールは31歳だったが、本当の年齢は19歳だった。

雄哉はその事実を隠して絵麻と付き合うが、絵麻の弟のショウタが絵麻に全てを暴露してしまった。絵麻にとっては、雄哉が目の前で一瞬にして12歳も若返ってしまったようなものだった。まるで、自分がタイムマシンで過去に来てしまったかのように。

絵麻は無理やり気持ちを切り替えようとしたが、ほんの些細なきっかけから怒りが爆発し、とうとう雄哉に「出てって」と言い放った。

追い出された雄哉を待っていたのは、バンド解散という事実だった。雄哉は悔し涙を流した。絵麻に見せた初めての弱い姿、幼い姿であった。

再び元に戻った絵麻と雄哉だったが、関係は少し変わり、二人はお互いの内面に惹かれ始めていた。雄哉は男として絵麻と向き合えるよう、もう一度音楽をやりたいと思っていた。

ある晴れた日、川辺に座り、雄哉は絵麻に歌を聴かせた。絵麻は自分が雄哉を愛し始めていることに気付いた。同時に、雄哉に自分のようなおばさんは必要ないという思いから、絵麻は雄哉に別れを告げた。

雄哉は自分の想いを言葉にすることができなかった。過去に雄哉を愛していた元バンドメンバーのこだまは、雄哉に言った。あるがままにやれないからガキなんだ、と。

雄哉はふっ切れた。1DKをひき払おうとする絵麻に、雄哉は自分の想いのたけを叫んだ。「絵麻はきれいだ。絵麻と一緒にいたい」。二人は、あるがままに、共に歩いて行くことを誓った。