【タイトル】 

「竜の昇り船」

【作者】 

東京かれん(とうきょうかれん) 
本名:伊達 佳恵(だて かえ)

【E−mail】 

kae@sannet.ne.jp

【シナリオ】

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《梗概》

小学生が祖父母と観にいったり、10代前半の若い世代が楽しんでくれることをイメージした、海洋冒険時代劇です。

 戦乱の世の瀬戸内海では、あちらこちらで戦(いくさ)が行われていたが、竜太郎(14)の暮らす小さな島では多くの者が漁や製塩を営み、それを船で運んでいた。竜太郎は、恋心を抱く美津に意地悪をする様な、まだ子供の面 影を残す若者で、竜太郎の父、辰吉は腕のいい船乗りだった。

 ある日、鎌倉にできる新しい幕府へ、船で荷を運ぶ仕事が持ち上がる。初めての外海を夜走る恐ろしさに、志願する者は少なかった。竜太郎は父・辰吉と鎌倉に昇る事に胸を躍らせるが、竜太郎は辰吉の船ではなく、流れ者の船頭、仁衛門の船に乗せられる。

 竜太郎の船には幼馴染みの泰造がいた。泰造が志願した理由は、鎌倉に行って武士になりたいという事だった。竜太郎は、船乗りを蔑む泰造と激しく対立する。…いよいよ鎌倉まであと僅かという時、船は嵐に遭う。 

 荒れた海に、泰造が落水。船頭の仁衛門は「落水は死んだも同じ」と、そのまま船を進める。竜太郎は仁衛門に食い下がり、泰造を救出。そして船が嵐に弄ばれる中、陸に明かりが見える。「港」と喜ぶ一同だが、仁衛門は慎重だった。それは、荒れた海に漂っている船を誘って、積荷を盗む盗賊かもしれないからだ。仁衛門は船員と揉み合いになり、海に落ちる。遠ざかり沈んで行く仁衛門。竜太郎は、「人は船の宝だ」と、嵐の海に飛び込み助ける。

 重なる試練を乗り越えて、無事、故郷の島に帰った竜太郎。島人達の歓迎の中、美津の姿を探すが見つからない。神社に行くと美津がお参りをする姿があった。声をかける竜太郎に逃げる美津。美津は別 れ際に「死んじゃえ」と言ったのを後悔していたのだ。しかし、竜太郎から出たのは素直な感謝の言葉。そこには成長した竜太郎がいた。……その後、船の上では、逞しく舵を握る竜太郎の姿があった。