【タイトル】 

「泣かない彼女は巣を売っていた」

【作者】 

東京かれん(とうきょうかれん) 
本名:伊達 佳恵(だて かえ)

【E−mail】 

kae@sannet.ne.jp

【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

 里佳子(31)が離婚を決めたのは大雪の夜。夫婦は子供ができずに元々ギクシャクしていたのだが、乗るはずだった新幹線が止まり旅行をやめて帰ると、家には見知らぬ 女がいた。それが引き金になり夫・雄一と別居…。その後、自立の為、友人の誘いで住宅販売の仕事を始める。しかし自分が巣作りに失敗したという負い目から、人の家庭の手伝いをするこの仕事に自信が持てない。幸せな妊婦のフリをしてネットのチャットに参加するなど、屈折的に暇を潰す日々。

 そんな折、会社で新しいプロジェクトが始まる。宅地開発で出来た住宅街の販売だ。里佳子も数組の契約を取り付けて、入居まで順調そうに見えた。しかし、その内の一件、山田家が支払い問題で契約破棄になってしまう。入居を楽しみにして、ピクニックがてら家族で建築現場を見に来ていた客だったので、里佳子も心を痛め、力を尽くすが及ばず…。しかし、次に里佳子を悩ませた嫁姑の仲が悪い笹山家が、キャンセルの山田家と二戸購入することになり、その問題は一件落着。

 いよいよ客達が新しい家での生活に夢を膨らませ始めた頃、再び事件は起きた。問題の家は高梨家。自分で勝手に地下シェルターを掘っていたのだ。緊急連絡を受けて里佳子が現場に駆けつけると、地盤が沈下して家の二階が一階になっていた…。高梨はローンの支払い計画も周到で、問題がなさそうに見えていたのだが…。しかし、地下シェルターがないと安心して暮らせないと言う高梨。子供の頃、台風の被害で友達一家を失っていたのだ。里佳子は業者を説得し、高梨と折り合いをつけて、小さなシェルターを作る。

 一方、里佳子本人は、夫と住んでいた共同名義の家を売りに出していた。しかし、いろいろな客に翻弄されているうちに、里佳子の心も変化する。幸せの形にこだわっていた自分に気づき、チャットの仲間に嘘を告白。そして、家も売れて何もかもが白紙に戻ろうとしていた時、ようやく雄一に素直な気持ちをぶつける事ができる。

 そして仕事が落ち着いた頃、里佳子は支払い問題でキャンセルとなった山田家を訪ねる。力を尽くすと期待させてしまっただけに、気になっていたのだ。しかし落ち込んでいると思っていた山田に励まされ、里佳子は、自信が持てなかった『巣作り』の仕事をもう少し続けていこうと決心するのだった。雛が自分の力で飛翔するように…。