【タイトル】 

「ザ・ワールド」

【作者】 

桂田 祐司(かつらだ ゆうじ)

【E−mail】 

yuji-k@gray.plala.or.jp

【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

 健太と純之助は山野町に暮らす小学三年生。クワガタを捕まえたり野球をしたりして毎日楽しく過ごしていた。特にオオクワガタは子供たちの憧れの的。健太は武雄の持つ巨大なクワガタを羨ましく思うのだった。
 純之助はよく口笛を吹いていた。吹くと次の日に変テコリンなことが起きるというペールギュントの曲。健太は純之助からその曲と共に口笛の吹き方を教えてもらう。
 その夜、なんと純之助の家に隕石が落下。そのショックで純之助は表情を失ってしまう。その前例のない病は、医者にかかっても治療法がわからない。
 それを知ってからの健太はなんとか純之助を笑わせようと考え、奮闘する。笑いのネタを披露したり、クラス全員で寸劇をやったり。それでも純之助は笑うことがなかった。
 健太ら子供たちの間では『笑ビーズ』という若手お笑いコンビが流行っていた。彼らを山野町に呼べば、純之助を笑わせられるのではないかと考えた健太は、町長の徳田にそのことを頼み込む。ところが、やってきたのは『てるお・はるお』の長老お笑いコンビ。純之助どころか誰も笑わないのであった。長老コンビは去っていく。「人生おもろいこと、ぎょうさんある。世界中や。ぎょうさん見つけてな」とだけ純之助に言い残して。
 やはり自分の力でなんとかするしかないと心に決めた健太。学校の放送室を占拠して笑わせようとするが、それも効果 がなかった。
 一方、武雄たちは無表情の純之助をイジメの標的にする。イジメがエスカレートしていく中、純之助は健太のために武雄のクワガタを盗んでしまう。健太の反対でクワガタは返したものの、武雄たちの怒りは治まらない。純之助もまた、やるせない気持ちから健太と衝突し、仲違いしてしまう。純之助を泣かせようという武雄たちの計画に加担してしまう健太。純之助を裏切っていた自分に気づいたが、時すでに遅く、純之助の許しを得ることはできなくなっていた。
 やがて健太と純之助は溝の埋まらぬまま、テレビの公開カウンセリング番組に出演することになる。テレビ用の偽カウンセラー安部から心無い言葉を浴びせられる純之助。いたたまれなくなった健太はもうカウンセリングをやめるように懇願するがどうしようもない。 安部の最後の質問「今までの人生で一番楽しかったこと」に対し、純之助から出た言葉は『タガワクタイム』という健太と純之助の間にしかわからない言葉であった。