【タイトル】 

「綱引き課長」

【作者】 

阿部 桃子(あべ ももこ)

【E−mail】 

abemomo@e07.itscom.net

【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

永年勤めていた会社を、リストラ同然の出向で追われた小松原鯛介。子会社で閑職をあてがわれて、ふて腐れ気味。些細なことで、妻の茜と衝突し、妻子共々追い出してしまう。

 出向先の田川急便・たまプラーザ配送所には、綱引きのチームがあった。その『田川たまプラーズ』は、かつての名門でありながら、メンバーの欠如、所長の無理解によって、衰退の一途。熱意あふれる鴨居は、元ラガーマンで怪力の鯛介を加入させ、なんとか名誉挽回を図りたい意向だ。対して、かつてのメンバー・岡田は、所長と組んで、綱引きチーム解体を推進する側。事情を知った鯛介は、勢いで、綱引きと現場の仕事の両方をする事に。

 岡田に教えを乞う鯛介だが、受け入れて貰えないままの修行の日々。妻の茜も、帰ってくる様子がない。そんな鯛介を、何かと気づかってくれるのは、まろみだ。彼女は、人知れず岡田と不倫関係にあり、それを精算しようと辛い思いを抱えていた。自らの辛さを鯛介の立場に重ねて、陣中見舞いに行ったまろみは、鯛介と一線を越えそうになる。鯛介は彼女をさとし、まろみも姿勢を正す決意で帰る。が、様子を見に来た茜と、間が悪く遭遇。さらに誤解され、夫婦の溝は深まるばかり。

 これまでは会社の単なる一歯車でしかなく、自分らしさを失っていたと気づいた鯛介は、綱引きで頑張る事が、公私共々の問題の解決につながると信じ、先頭に立ってトレーニングに励む。体力も体重も充実してきたチーム。しかし、全日本クラスの田川東京のチームと練習試合をすると惨敗。勝つ為にはどうしたら……糸口は意外な所から。夫婦仲を案じて上京した鯛介の父が、漁師としての視点からアドバイス。鯛介達の地引き網戦法が確立。自信を持つ鯛介達。

 折しも、廃部を決めようとする所長に、「神奈川県大会で優勝し、全日本に出場できたら、廃部は撤回。綱引きでの怪我も労災として認める」よう、鯛介は要請。しかも、優勝できなかったら辞表を出すとも宣言。

 県大会当日。折悪しく娘のバレーの発表会と重なったり、直前の体重測定で規定を越えてしまったり等の様々なハプニングを乗り越え、何とか決勝まで勝ち進んだ鯛介達。所長や駆けつけた家族の面 前で、破れてしまう。

 辞表を叩きつけた鯛介。思い叶わず男泣き。しかし、そこには、鯛介の一生懸命な姿に心うたれ、暖かく迎える妻子の姿があった。