【タイトル】 

「歴史を動かす力」

【作者】 

鈴木 たみ穂(すずき たみほ)

【E−mail】
【ホームページアドレス】

tamihohoho@mbm.nifty.com
http://homepage3.nifty.com/tamihohoho/

【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

 2002年4月。池田進(31)は、長年の夢・スカッシュの日本一になることをあきらめ、高校教師としてのスタートを切った。
 池田の通うことになった一考学園は、「変わった先生」が多いことでマスコミでも有名な学校だったが、この5年間、スカッシュに打ち込みテレビや新聞などをまったく見ていなかった池田は、その事を知らなかった。池田は、車椅子の体育教師・遠山登(33)の担任するクラス・2年B組の副担任を任されることになった。2年生担当の先生達は、遠山の他に、実は男性である、美人教師の早乙女直(32)、未婚の母、石神信子(45)、高齢ながら現役を続ける五醍院勝一郎(90)等々。しかし、スカッシュ日本一の夢に破れ、半ば自棄になっていた池田にとって、周りの事はどうでもよく、直が男だと言うことも知らずに一考学園での生活が始った。
 2年B組では、ゴールデンウィーク明けの学園祭についてホームルームが開かれていた。学級委員の及川(16)から、1年前より登校拒否をしている、去年の担任・本堂郁夫(60)を学園祭に招待したいという提案があがる。本堂は一昔前にベストセラーになった英語の参考書を書いた有名教師だったが、本の売れ行きが落ちたことで心を病み、学校へ来なくなってしまっていた。
 本堂を呼び戻すための策を練り、計画を実行する中で、池田は本堂の姿に自分を重ねて、夢に破れた傷心を回復していく。一方、直と池田は互いに惹かれあっていった。
 しかし、学園祭の最終日、池田は直が男であることを知ってしまう。そして、二人の関係はぎこちないものになってしまった。
 その頃、池田は校長・一橋孝次郎(60)の家に招待される。一橋は「変わった先生」を集め出した理由や、かつて一橋が五醍院の教え子だった時に、五醍院が語っていた「熱い思いが歴史を作る」という言葉等、様々な話を聞かせてくれた。「夢を見ることも、悩むことも、人を好きになることも、全て熱い思いと言えるのではないでしょうか。是非大事にして下さい。池田先生の中にある熱い思いを」。一橋の言葉が池田の心に響く。
 その週末。池田の家の電話が鳴った。直が法事で実家に帰る事、今の気持ちのまま実家に帰らせないで欲しい事を告げる遠山。そして、池田は東京駅に向かった。
 東京駅ホーム。直を見つけられないまま、列車の発車時刻が迫る。あせる池田は駅員のマイクを奪い、話し出した。「直先生! 先生が男だとしても、直先生自身が好きです!」。しかし、残酷にも列車の扉が閉まる。
 列車の最後尾が池田の前を通過した時、池田の視線が何かを捕らえた。向かいのホームに見えたのは、穏やかに笑う直の顔……。
 2003年4月。1年生の担任としてクラスを受け持つことになった池田が、新入生を迎えている。