【タイトル】 

「同級会の夜」

【作者】 

松本 君美(まつもと きみよし)

【E−mail】 

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【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

 敦は四十四歳の若さで、大企業の設計部長に昇進した。幸運であったといってよかった。しかし家庭の中では秋風が吹いていた。妻のみさ子はこの昇進を大して喜ばなかった。娘とは殆ど断絶状態といってよかった。
 そんな折り高校の同級会の案内が来る。今回は山奥の温泉であった。敦は久し振りに出席することにした。
 しかし、同級会に集まって来たのはたった七人、敦の他は人生の負け組みのような連中ばかりだった。お互いに何かを当てにして来ている連中だった。
 そんな同級会の中に、零細企業の社長の倉島は資金繰りに困り、ひょんな弾みから銀行強盗をやって逃げ込んで来た男だった。
「こんな犯罪者と一緒に同級会をやる訳にはいかない。自首してもらおう」と敦。
「同級生だ、かくまってやろう」と言う田所などとやり合う。そんな同級会の最中に警察官が訪ねて来る。とっさに倉島を隠す。
「これでみんな犯人隠匿罪だ」と田所。
 ついに敦も仲間にされてしまった。実は倉島が盗って来た金は、とかく不正に使われていると言う国際省の金だった 「これは正義の強盗だ」と言うことになり、みんなは近くの山にある昔の監視塔に立て篭もることになる。これはたった七人による、かつての全共闘による東大安田講堂の真似事と言ってよかった。
 男五人、女二人の「七人の侍」ができ上がった。高校卒業後二十五年、それぞれが中年の苦悩を抱えながら、倉島を守ることで初めて連帯をした。
 篭城する敦たちを目がけて、マスコミが群がり機動隊も群がった。石を投げ、おじさん達は機動隊と渡り合った。しかし二日目にあえなく落城した。
 その様子は一部始終をテレビ中継された。
 そんな戦いの中、敦に娘からの激励の電話がかかって来た。「パパ見直した、頑張って」と言うものだった。初めて娘と分かり合えた気になった。敦達は逮捕されたが、さびれた温泉は超有名になってしまった。
 数年後、監視塔は再現され、観光名所になっていた。敦は娘を伴ってここを訪れた。そこはもうのどかな風景が甦っていた。