【タイトル】 

「それぞれの偽り」

【作者】 

松島 さおり(まつしま さおり)

【E−mail】

saocamaron@ybb.ne.jp

【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

 ブラジルの日本人墓地にまた人影が現れた。いつものように位牌をごっそりと持ち去って…。
 中尾洋子は信じられなかった。洋子の名をかたり、祖父の戸籍を悪用して日本に入国した者達が60人以上いたのだ。その為、自らも偽装日系人に疑われ、定住者ビザの発行が見送られた。
 疑惑を晴らし、事実を証明するのにかかる時間は一年以上。自らも日系人の戸籍を買うか、偽装結婚して他人の名前を拝借するかー日本で働く道は二つに一つ。追い詰められた洋子は日本へ飛び立つ。日本に留学中の日系人・池田の妻として…。
 その頃、日本人顔に目を整形し、無事日本入国を果たしたエレナ・サントス・クラウジオは、木之内道隆の妻・木之内アリーナ洋子として暮らしていた。しかし表向きは専業主婦を装いながら、裏では夫に内緒で派遣会社JB企画を経営していたのだ。
 そして、洋子とエレナはブローカーと派遣社員という立場で出会う。洋子はJB企画の事務員としてエレナのもとで働き始め、ブラジル人のみならず、日本人工場長のことまで考えて仕事をするエレナに、感銘を受ける。
 しかし、洋子は偶然その正体を知ってしまう。エレナは洋子の名をかたって日本に入国した張本人だったのだー。怒りのあまり問い詰めるも、開き直ったエレナは意に介さない。洋子は仕送りが途絶えれば路頭に迷うブラジ ルの家族を思いだし、納得できないまま働き続ける。
 ある日、洋子は木之内がエレナの浮気を疑っていることを知る。初対面から木之内に好意を持っていた洋子は、エレナに利用されている木之内に同情する。さらに不幸が重なり、木之内はリストラに。傷ついた木之内が会い に行ったのは洋子だった。二人はお互いの気持ちを確認し、結ばれる。
 そんな折り、洋子は父や祖父の墓荒らしを指揮していたのもエレナだと知る。が、既にエレナは姿を消していた。洋子は木之内と共に、ブラジル大使館にエレナの偽装の事実を通 報する。
 その頃、エレナは既に外見を変え、新しいパスポートを手に海を渡っていた。
 後日、木之内と結婚した洋子は、木之内と共にエレナの出生地であるブラジルのスラム街・ファべーラに向かう。そして本物のエレナは25年前に死亡し、その双子の妹が洋子を翻弄した女で、名前もつけずに里子に出して以来行方不明ーという事実を知る。
 丘の上にある本物のエレナの墓前に立ち、名前も付けられなかった女の面影を思い浮かべる洋子と木之内。
 その名のない女は、南の島で新しい人間に生れ変わり、思い通りの人生を歩んでいる。