【タイトル】 

「男にも泣きたい時がある」

【作者】 

上田 英明(うえだ ひであき)

【E−mail】

hideaki.ueda@ezweb.ne.jp

【シナリオ】

非公開

 

《梗概》

 三十にして未だ将来が見えぬまま故郷に戻った主人公が、親友・恩師・初恋の人との再会、そして新たなる出会いを通 して自分の人生を徐々に見出していくまでを描く。
 この春から、故郷、札幌に戻った万平。だがそこには複雑な思いがあった。というのも万平は東京で勤めていた前の会社をリストラにより退社。失意の果 ての帰郷であった。そんな万平の親友は中学時代の同級生・祐介。互いに独身ということもあり、今もよく会っている。祐介もまだ未だに職を転々としているような将来が見えない男。もっとも祐介はそれを何とも思っておらず、会社の同僚・留美に結婚を迫られ、万平とは立場が違う。
 そんな割り切れぬ思いを抱えながら迎えた5月半ば。万平は中学の同窓会を開く。そこで再会したのは恩師・喜八、そして初恋の人・瞳。ひょんなことから喜八が妻と一人息子を亡くしていたこと、瞳が子連れながら離婚していたことを知り、それをきっかけに二人との付き合いが新たに始まる。祐介も交え、万平は故郷でしか味わえない懐かしさを満喫するのだった。
 だが万平の人生を本当に変えたのは、喜八の亡き息子の妻・涼子との出会いである。一緒に暮らしてはいないものの、今も毎日喜八のもとに顔を出す涼子。相手をしているとついムキになってしまうこの涼子が、次第に気になる存在になっていく。実は涼子も亡き夫を思いながらも、万平が気になり始めていた。が、万平達が昔の話を始めれば、涼子は当然カヤの外。特に瞳がいると淋しい思いを隠せない。万平もそれが気にはなるのだが……。そうこうしているうちに、祐介が涼子に気があることを知る万平。口説いてもいいかと聞かれ、好きにしろと強がってしまう。
 とはいえ、万平の涼子への思いは高鳴るばかり。一方、祐介のアプローチに戸惑いながらも、涼子はそれを断る。涼子とて気持ちは同じだったのだ。そして、ついに涼子が万平に打ち明ける。私は今でも死んだ主人を愛している。でもこんな私があなたを愛してはいけない? と。あんたが好きだ。あんたがいいんだ――互いの思いを確認し合った万平と涼子。二人は、共に生きることこそがこれからの人生と実感するのだった。