シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
    吉田玲子 (シナリオ作家)

  ■TVドラマ
  「女帝」「帰ってきた時効警察」「だめんず・うぉ〜か〜」
  「サトラレ」「嫉妬の香り」「OLヴィジュアル系」
  「笑ゥせぇるすまん」他
  ■TVアニメ
  「二十面相の娘」「ゲゲゲの鬼太郎」「デルトラクエスト」
  「ゴーストハント」「神様家族」「ARIAシリーズ」
  「まじめにふまじめ かいけつゾロリ」「デジモンシリーズ」
  「おじゃる丸」「おジャ魔女どれみシリーズ」
  「キューティーハニーF」「水色時代」「花より男子」「H2」 他多数
  ■劇場版アニメ
  「ブレイブ ストーリー」「猫の恩返し」
  「劇場版 デジモンアドベンチャー」他


                            


2008年8月11日(月曜日)

はじめまして、吉田玲子と申します。

旺季志ずかさんから、「断らないでちょんまげ!」というお茶目なメールをいただき、バトンを受け取りました。
昨夏、旺季さんがメインライターをされていた『女帝』というドラマを一本、お手伝いしたのがきっかけで、この日記を書かせていただくことになった次第です。
旺季さんと初めてお目にかかったのは放送局の懇親会の帰り。
その当時同じ沿線に住んでいたのです。
最近は、葉山のおいしいパン屋さんでバッタリ再会したり、何か不思議なご縁があるようです。

現在はアニメーションを中心にシナリオを書いていますが、時折、実写のドラマの仕事もしています。
普段は、書いて打ち合わせをして、直して打ち合わせをして…の繰り返しなので、地味な日常ですが、よろしくお願いします。

今日は午前中、原稿を書いて、午後からは来年スタートのアニメの本読み。
○話の初稿の打ち合わせ。
向かう途中の電車の中でも、ぼんやり、あそこはああすればよかったかなぁと考えていて下車駅を間違える…。急行が停まらない駅なのです。
以前、西武線で池袋から大泉学園へ行こうとして通り過ぎ、戻る電車にも乗り間違え、また池袋に戻ってしまったことがある。
人生はただ呆然とするしかないことも多い。わたしだけかもしれないけれど。

出席者は、監督、ライター、プロデューサーを含め総勢15名。
このように出席人数が多いので、アニメの脚本会議は毎週何曜日の何時から…と時間を決め、定例で行うことがほとんど。
ざっくり大きな流れについて意見を出し合い、それから頭から1ページづつチェックしていく。
来週までに二稿をup。

高校生のとき、ブラスバンド部に入っていた。
最初はたどたどしく譜面を追うだけなのだけど、練習するうちにだんだん音楽らしくなって、最後はいくつもの楽器に音が重なり合奏になる。
そして、ひとつの曲が完成する。
演奏していると、地から天に向かって音が昇っていくようで、その高揚感と音楽の真ん中にいる感じがすごく好きだった。
作品を作るのも、この感覚にちょっと似ている。

まだ放映は先だけれど、力強く、かつ一途な思いに貫かれた作品になればいいなぁ。
シナリオを上げたあとは、祈る思いです。



2008年8月12日(火曜日)

原稿を書いたり、読んだり。

アニメのメインスタッフの中には『シリーズ構成』という役職が存在する。
多くの場合、ライターが行うことが多く、監督やプロデューサと一緒に、シリーズ全体の方向性や世界観、流れなどを決め、各話数の概要を作る仕事である。
現場によって仕事内容は変わるが、原作がある場合には原作サイドとの調整なども行い、時には予告を書くこともある。
各話のライターさんへのプロット発注、脚本のチェック、直しのお願いなども行う。
なのでシリーズ構成を受けた作品は、ほかのライターさんの脚本を読むのも大事な仕事になる。

夕方、電話が二件。
もう随分と前に終わった仕事の打ち上げのお知らせと、再来年オンエア予定の仕事の打診。
再来年…。
でも、遠くはない。
もう8月。今年もあと4ケ月半くらい。早い。

夜、近所の本屋さんへ。
仕事に関係ある本やら、ない本やらを買う。
松尾スズキ氏がブログで絶賛していて知った『鈴木先生』D巻も購入。
面白い。
ストレスフルな中学校教師の話なのです。
それにしても。
大人がちゃんと大人でないと、子供は生きにくいな、と思う。

寝る前に、宝塚が好きな友人からメール。
彼女はネコと宝塚さえあれば生きていけると言っている。
ネコと宝塚さえあればいい、と。
ネコと宝塚さえあればいい…。
ネコと宝塚さえあればいい…。
何だか幸せの呪文に思えて来た。
うむ。幸せは2コくらいあればいいんだな。
うん。幸せは人それぞれ。

明日はまた打ち合わせ。
寝よう。



2008年8月13日(水曜日)

今日は打ち合わせ――のはずだったが、熱が出て、飛ばしてもらう。
体調管理も仕事のうちなのだけれど…。
病院へ行って、あとは、ほぼ一日、布団の中。
ぼんやりと過ごす。
時間を無駄に使うのが、一番、ぜいたくなような気がする。

ひとつ仕事に入ると、終わるまで半年くらいはかかる。
今、書いている作品の中には二年続いているものもあり、大体月1本くらいのペースで決定稿を上げているので、なかなかまとまった休みはとりにくい。
でも、番組が続くのはうれしい事だ。

先週の日曜日には、5年前に放映していた作品に登場していたキャラクターの誕生祭と称して、ライブスペースでミニイベントが開かれた。
消費されていく作品が多い中、作ったら終わりではなく、作ったものを長く愛し続けたい…との思いで、プロデューサーが、いろんな企画を立ててくれている。
今はほとんどの作品がDVD化され、放映が終わっても観賞してもらうことができる。
何度見ても、面白い作品を作っていきたいものです。



2008年8月14日(木曜日)


ちょっと復活。
来春放送予定の作品の、プロットの直しなど。

人によって違うけれど、自分の場合、プロットはそんなに詳しくは書かないほう。
流れとポイントがつかめる感じで。
書きながらのほうがアイデアが出るのと、楽しみながら書くことが出来るから。
ただし、劇場用など長尺のものは、ハコ書きを書いて、構成やテンポ感やキャラクターの出し入れを見てから、シナリオに入る。

今週の日曜は、友人のライターさん宅で毎年恒例のバーベキューが行われるのだが行けるかな。
…無理かも。



2008年8月15日(金曜日)

お盆ということで定例の打ち合わせがお休み。

終日、月曜日に打ち合わせた原稿の直し。
オリジナル話で初登場の人物が多い回。
それぞれのキャラクターがどんな人物か、どんな喋り方をするのか、まだ考えつつ、作りつつなので、のろのろ。
どの人物もだいぶ輪郭が見え、個性が出てきて、好きになってくる。
書き終えたときには、たくさんの人とお喋りしたような気分に。
脳内会話だけど。
ずっと前にベテランのシナリオライターさんが「書く脳と喋る脳は同じなので、執筆する前には喋らないようにしています」とおっしゃられた。
その時はよくわからなかったが、今では同じ感覚。

夜、知り合いとさくっと食事。
トルコ料理を食べる。
お盆なのか空いている。いつのまにか客が自分たちだけに。

帰りに本屋さんを覗く。
家には読んでいない本がたくさんあるのに、また買ってしまう。
世の中には物語が溢れている。
小説だけでなく、ドラマ、演劇、アニメ、コミック、ゲーム…。
なぜ、人はこんなにも物語を必要とするのだろう…とふと思う。

お盆なので、マンションのゴミ捨て場にもたくさんゴミがたまっている。
物語だけでなく、たくさんの物も溢れている。
『最後の物たちの国で』という小説を思い出す。
物に溢れた世界のなれの果ての、殺伐とした世界の物語。
絶望的で、それなのに希望の光が見える美しい物語。

『ダークナイト』、観に行きたいな〜。



2008年8月16日(土曜日)


仕事がある程度、片付いていれば逗子方面へ行こうと思っていたけれど、今週は体調も悪かったし、自重。自宅で過ごす。

しかし、冷房というものは、どうして効き過ぎるか暑いかのどちらかしかないのだ。
冷房をきると、犬がぺったりと床に張りつく。
夏バテですか…。
あまり構ってやらないとドアの近くに、おしっこをする。
出入り口は必ず通るので、遊んでくれというアピールらしい。

定例会議がお休みだった作品の直しと、先の展開を考える作業。
よき時間までに終われば、『ダークナイト』を観に行くことを自分に許す。

で、観に行って来ました。
正義――という幻想を破壊する、見事な一撃でございました。
疎外された闇の中にいる者が、光を浴びるには狂気をふりかざすしかないのか。
でも、闇に堕ちるのは正義をふりかざす者も同じという怖い映画でした。
恐怖に支配されたくはないけれど。
ジョーカーの顔と言葉がこびりついて離れません。

DSの『非常口』というゲームで、ちょっと遊んで寝ます。
移動したり物を動かしたりして、非常口から出るというゲーム。
子供が子供の動きを、太った人が太った人の動きをちゃんとしているところに感動。
よく出来ている…。



2008年8月17日(日曜日)

今日も自宅。

仕事したり、ご飯を作ったり、仕事をしたり、片付けをしたり、仕事をしたり、食べ物を買いに行ったり。

今日の『ゲゲゲの鬼太郎』は、予定ではわたしが書いた回だったのだけど、一週ズレて来週放映に。
女子マラソンの裏だということで、「妖怪女子マラソンというのはどうだ」という案も出たけれど、南方の妖怪たちの話になりました。
放送上、変えざるを得なかった名前の妖怪も登場します。
最初は、
「こら、チン…」
「おれの名前を呼ぶなポ!」
としていたのですが、「やっぱだめでしょう」と変更になりました…。
鬼太郎はもう20本近く書いていますが、面白いです。
水木先生が描かれる妖怪絵は凄くて、触発されるのです。
来週末は、世界妖怪会議が京都で開かれます。
来年こそは行きたい〜。

今日はちょっと涼しく、夏もそろそろ終わりでしょうか。
2008年の夏は『北京オリンピック開会式』と『ダークナイト』、『赤塚不二夫先生のご逝去』が印象的でした。

それでは、先週、亡くなられた河井英里さんのご冥福をお祈りして、日記を終えたいと思います。
河井英里さんは、『ARIA』という作品で登場キャラクターが歌う歌や、挿入歌などを数々、歌ってくださっていました。
『ARIA』は音楽が素晴らしく、日本青年館で楽曲だけのコンサートを開くことが出来ました。
そのコンサートにも出演されて素敵な歌声を聞かせてくださり、4月の打ち上げの時には、アカペラで歌を披露してくださったのですが…。
『ARIA』はネオ・ヴェネツィアという町を舞台にした、ゴンドラ漕ぎの少女たちの話なのですが、水の上を滑るような河井さんの清らかな歌声は、作品の中では永遠です。

一週間、どうもありがとうございました。
事務局の久松さん、お世話になりました。ご面識はないのですが、書いていただいたイラストにコーヒーが描かれていたのはにびっくり。わたし、毎日、コーヒーを摂取しているのです…。

次の書き手は、笠原邦暁さんです。
数々の作品でご一緒させていただいた、よきアニキです。
蕎麦好きで、一時は時折、蕎麦の会というのを催してくださっていました。
そのうちまた蕎麦の会、復活させて下さい。
日記、よろしくお願いします!


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