シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
    国井 桂 (シナリオ作家)

  千葉県出身。外資系損保営業、速記者を経てデビュー。
  日本テレビドラマ作家セミナー修了。
  1995年、CHKラジオドラマコンクール優秀賞受賞。
  ■TV
  「ポルフィの長い旅」「メモリー・オブ・ラブ」「ドレミソラ」
  「いばらの償い」「隣人は秘かに笑う」「ああ嫁姑」
  「Dの遺伝子」 他 
  ■映画
  「能登の花ヨメ」「夕凪の街 桜の国」
  「オシャレ魔女ラブ&ベリー」「修羅雪姫」
  「東京☆ざんすっ 優しさの國」


                            


2008年7月28日(月曜日)

はじめまして。国井です。
師匠の伴一彦氏の命令により今週より一週間ブログを担当します。
師匠の華麗なる日々とは違って、私はジミ〜な毎日ですが、ごくごくフツウの脚本家なんてこんなもんだと……ライター志望者が減るかもしれませんが現実ですのでヨロシク!(開き直り)

私は昨年10月からの半年間、伴先生とともに第50期基礎科の講師をやらせていただきました。
デビューして早や10年経ちますが、いまだ「駆け出し」感は抜けず、そんなワタクシが講師?
とは思ったものの、これまた師匠の命令には逆らえません。

あ。そもそも私が伴氏を師匠と仰ぐようになったのは、氏の日記にもありましたように、一志望者時代に図々しくもメールを差し上げたことから、「透明人間」(NTV)の下働き(!)をさせていただき……というのが始まりです。
いやあ、初めてギョーカイなるところに足を踏み入れたのが修羅場の連ドラの現場、しかもプロデューサーは日テレ名物(?)佐藤敦氏ときたもんだ。
本人をご存じの方ならみんな賛成してくれるとは思いますが、その後出会うプロデューサーが皆天使に思えたもんです。
打合せが終わってトイレで泣いたのもあの仕事が最初でした。
最近じゃ、相手が泣くことがあっても私が泣くことはありません。ハイ。
面の皮っていうのはどんどん厚くなるもんです。

話がそれました。そんなワケでそれ以来のお付き合いなわけですが、なんと実際に会った回数は現在に至るまで数えるほど。
さすがに講師をやっている時は月に2回ぐらいは会いましたが、それ以前は平均すると2年に一回位どこかのパーティーで顔を合わせる程度だったんですねー。
なにしろ“電脳弟子”なので、ネット上のお付き合いがほとんどなワケです。
たまに会うと「フケたねえ」「太ったねえ」「シワ増えたね」と作品のみならず私自身にもダメ出しをしてくれるやさしい師匠です――フン。大きなお世話だ!(`´)

前置きが長くなりました。
では、月曜の日記スタート!

8時起床。日曜は夏ばてなのか一日ゴロゴロしてしまい、仕事が一文字も進まなかった。
今日こそは2時間ドラマの企画書(もう何カ月も待たせている)を仕上げるぞ!と決意。

9時。マッサージへ3週間ぶりに。
実は先週まで怒濤の〆切地獄だったためにカラダがガチガチ。
「あなたね、こんなカラダしてたら、脳梗塞かくも膜下で死ぬわよ!」と先生に怒られる。
ここは神経脉療法という日本でも珍しい治療法。すんごく効く。

12時。治療が2時間近くかかったので、大急ぎで帰宅してシャワーを浴びて外出。
池袋へ。
池袋の地下街はまるで迷路!
方向音痴の私はすぐに道に迷う。今まで道に迷ってロスした時間を考えるとクラクラする。
買物をしてダンス教室へ。

13時 社交ダンスのレッスン。
実はここ3年ほどハマッているのがダンス。
ゴルフもダイビングもフラワーアレンジメントも続かなかったけど、これだけは続いている。
最近ずっと習っていた先生が海外留学することになったので、この教室に移ってまだ2回目。
さてこれから!という時に師匠からこのリレー日記のことでどーでもいい相談のメールが来たので、おざなりな返信をしてフロアへ。

ダンスの醍醐味はなんだろう?音楽に乗せて踊る喜び?表現?仕事とは違う人間関係?
その全部だ。
この日は9月に発表会を控えているワルツとタンゴを見てもらう。

画像は先週の日曜にあった発表会のパーティー会場にて。



この日〆切の小説の仕事が終わらず、なんと一曲踊っては席に戻って書き……
書いては踊り……
大顰蹙のハードな一日だった。

15時。レッスンが終わってお茶していたら、8月末に公開を控えた映画「能登の花ヨメ」の溝上プロデューサーから電話。
「来月18日に石川県知事の表敬訪問ね。スケジュールあけといて。それとその時サイン会もしてもらうからね、先生、ヨロシク!」
明らかに笑っている溝上P……。
サ、サイン会!? げっ。それは何かの罰ゲームですかっっっ。
実は踊りながら仕上げた小説というのはこの映画(オリジナル脚本)のノベライズなのだ。
8月15日に発売です。よろしく!

16時。帰宅して書斎(ジョナサンともいう)へ。
遅いランチというか早めの夕飯に野菜ドリアを突つきながら、2時間ドラマの資料を読む。

21時。世界名作劇場「ポルフィの長い旅」第43話の3稿を送信。
アニメ2作目にして無謀にもいきなり全52話のシリーズ構成を担当してしまったこの作品もかれこれ始めて1年半になる。
昨年の7月にはヨーロッパシナハンでギリシャ・イタリア・フランスを回り、そこで起きたエピソードを作品に反映させている。原作はあるけど、中身はほとんどオリジナル。
今日送ったホンは主要キャラに大きな変化があるので監督みずからコンテを切るという。
ちなみにこの作品の望月智充監督とは前作映画「オシャレ魔女ラブandベリー〜しあわせのまほう」で私が初めてアニメ作品を書いた時からの付き合いで、この作品にも呼んでもらった。
アニメのことを何も知らない私にアニメ作品でできることできないことをいちいち教えてくれる。
さぞ面倒だと思っていることだろうに忍耐強い人だ。

23時。企画書……と思ったところに友人から電話。長くなる。
もう今日出すのはやめよう!と勝手に打ち切り以後ぐだぐだに過ごしておしまい。

―――いいのか!?こんな日記で!?疑問を抱きつつ火曜日へ続きます。



2008年7月29日(火曜日)

3月に修了した第50期基礎科は歴代のシナリオ講座の中でも異色だったと思います。
まず受講生の数を限定したこと。
本来なら作協としては20名でも30名でも希望者はすべて受講させたかったようですが、18名までで限定しました。当然お断りした方もたくさんいます。
きめ細かい添削まで考えたらこの人数が限界という伴先生の方針でした。
伴先生はご自身の私塾「電脳シナリオ塾」をやっていらしての経験上での限定でしたが、やってみて、確かにこれ以上の人数がいたらどうなってたんだろうというのは実感です。

授業時間は決められていたのは14時〜16時でしたが、当然そんな時間内でおさまるはずもなく、13時から18時というのがほぼ毎週木曜日のレギュラーの授業に。
私は毎週木曜は17時からレギュラー番組「奇跡体験!アンビリバボー」(CX)の定例会議を抱えていたために途中から伴先生にバトンタッチして授業を続けてもらう、ということもやってました。
後半は時間が足りなくなり、公民館などを借りての特別授業も。
受講生だけでの自主的な勉強会もやっていて、皆さん実に熱心でした。
基礎科なので、シナリオは一度も書いたこともないという人もいれば、コンクール入賞者もいたり、年齢も職種もさまざま。こちらも話しているだけで楽しく学ぶことも多かったですね。
伴先生のすごいところは、受講生ひとりひとり、さらにその作品1つ1つにきめ細かく向き合うこと。
各自が抱えている作品の参考になりそうな映画やシナリオを所蔵されている膨大なライブラリーから取り出してきてそれぞれに渡していたり。
連続ドラマを執筆しながら、なんでここまでできるんだろう?いつもそのパワーに圧倒されてました。

そんなわけで、通常は基礎科はそのまま研修科に持ち上がりとなるものらしいですが、この密度でもうあと半年は絶対無理!ということでお断りした次第。
その後も勉強を続けたい人たちはもともとあった伴先生の電脳シナリオ塾で学び続けているようです。

――――――――――――――――――――――――――――――

では、火曜日の日記へ。
8時半起床。ワイドショーをチェックしながら朝食後、まずはこのリレー日記の原稿に向かう。
結構時間がかかってしまう。書き上げたら、もうひと仕事終わった気分だ。
これを1週間!? できんのか?
テレビをつけていると仕事ははかどらない。だが、ワイドショーはネタの宝庫。
特に自分が抱えている企画に使えそうなネタの時にはメモをとって観る。
と同時に、バラエティー(アンビリバボー)を10年もやってきた関係で、構成が気になる。
例えば、難病を抱えた妊婦のネタなら、うちの番組だったら絶対に無事に出産し幸せなシーンからは始めない。緊迫したシーンをアバンに持ってきてから時系列に入るだろう。
それは数字を落とさないためのあざとい工夫でもあるが、同時に視聴者の興味を最後までそらせないための構成でもある。
なんてことを考えながら見ていて、番組に復帰する時期を考える。
実は3月から個人的な事情で1カ月番組を離れ、その後バカみたいに忙しくなっちゃったのでそのままお休みしているのだ。
他の作家仲間からは「早く戻ってくれないとローテーションがきついよ!」と帰れコールはあるのだけど、戻ったらまたあの週に2回の数時間の会議が待っていると思うと、スケジュールを考えると踏ん切りがつかなくて。

11時。掃除機をかけていたらアートポートの奥野Pから電話。秋にクランクイン予定の映画の件。
先日出した4稿を準備稿として進めたいが、監督が演出上のことで原稿に手を入れたいといっているがよいだろうか?
よければPDFファイルでいただいている原稿をwordデータで送り直してほしい、と。
もちろん了解する。
三島有紀子監督とはこの作品で初めて顔を合わせたが、演出プランを聞いていても、またホンづくりの打合せでも違和感なく「合う」と感じている。
ちなみにこの映画は単館系の小規模な作品だが、某文豪の原作が下敷きになっている。
ある肝となる要素だけをいただき、あとは全くのオリジナル。
同じ原作で何人もの作家・監督との競作となる。たぶん18Rになる官能系。
エロいです。
女性作家と女性監督が描く官能の世界!という触れ込みになっているらしい(笑)
打合せは知らない人が見たらおっさんおばさんのエロトークでしかなかったかも。
なにしろオリジナル作品みたいなもんなので、モチーフはここぞとばかりにラテンダンス!
職権濫用、趣味と実益。なんとでも呼んでください。
ロケハンと称して監督を無理やりダンスの競技会(もちろんプロの)の会場にも呼んだ。
「ほ、ほとんど裸じゃないですか!?」と驚いていたけど、私のやりたいことはわかってもらえたようだったので、楽しみ。なかなか脱いでくれる女優が見つからないらしくキャスティングが難航しているらしいけど。

13時。今日こそサスペンスをやっつけるぞ!と思ったもののとてつもなく眠い!
仕事部屋の長椅子(仮眠用に購入。ベッドだと眠り過ぎるので)にゴロン。

18時。夕方になったら元気になったのでちょっと踊りに行くことに。(おい!)
サスペンスのプロデューサーには「2〜3日中には絶対出します」とメールを入れて。
2駅ほど離れたところにプロの先生たちが自由に踊ってくれるフリーダンスなる時間帯を儲けているダンススタジオを最近発見したのだ。
若いから熱心だしいいんだけど……今まで習っていた先生の理論と矛盾すると反発を覚えてしまう。
う〜ん。ここは運動不足解消程度かな。

19時。近所に住むダンス友達から「ご飯食べない?」とメール着信。後楽園で待ち合わせ。
途端にすっごい雷雨。つくづく東京は亜熱帯になったのだなあと感じる。
デザイン事務所を経営する彼女とは前の前のダンススクールで知り合ったのだけど、同年代ということと同じくらいダンスにハマっていることで気が合う。ビールで乾杯しておしゃべり。
21時過ぎに別れ、傘を買って歩き出した途端に雨がやんだ!もうちょっと雨宿りしてればよかった。

帰宅後15分ほどコアリズムをやって入浴。
ビリーさまのもとからあえなく脱走した私もコアリズムは続いている。なぜならラテンダンスがもとになっているから!ちょっとやるだけで汗だく。
眠くなるまでと思ってサスペンスの原稿を読み返し、はるか昔にやった打合せのメモを見てなんとなく構想。あまりの進まなさに猫が手を貸してくれる。



が、やっぱり「猫の手」なので進まないことに変わりはない。残念だ。

26時。岩井志麻子の短編集「嫌な女を語る素敵な言葉」を読みながら寝る。
ああ。またしても原稿を出せなかった。反省……してます。ホントです。



2008年7月30日(水曜日)

ライター志望者と話しててよく感じることは、なんとしてでも世に出たい!
というせつない想いはあるくせに、「チャンスさえあれば」という他力本願さです。
書かなきゃチャンスも向こうからはやってこないですよ。
タレント等とは違って道を歩いていてスカウトなんてあり得ませんから。
まとまらなくたっていい。とにかく書き始めなければ何も始まらないんです。
コンクールだって、「今回は間に合わないや。いいや」と思ったら、同じコンクールは1年後まで回ってこないんです。
「このアイデアはもったいないからとっておく」って、そんなことしてたらどんなにステキなアイデアだってカビが生えてしまう。出し惜しみせずにどんどん書かないと。
何も毎日シナリオを書かなくたって、それこそブログだって日記だっていいのです。
まずは「書く」クセをつける。
書いていない時には、新聞や雑誌やテレビを見てその場で話を組み立てる(でっち上げる)クセをつける。
筋トレと一緒です。鍛えていくうちに持ち上げられないと思っていたバーベルもいつか片手で上がるようになるんじゃないでしょうか。

水曜日の日記。
8時起床。このところ追われてないので早寝早起きだ。
リレー日記の原稿にとりかかる。毎日〆切ってつらいんですけどー。
こんなんでいいの?とブツブツ文句いってたら、受講生から「読んでます。
おもしろいです」とメール。
読者がいるならがんばるか。(単純)
やらなきゃいけない仕事はたくさんあるけど、なんだか今週は勝手にのんびりモード。
午前中から午後にかけて録画したドラマを観たり、進まない仕事に手をつけたりつけなかったり……でボケボケ過ごす。(関係者がここを読みませんように)

どーでもいいけど。暑くて頭が回らない時にはヒエピタをおでこに貼るとよいです。

16時。ネイルサロン。手はピンク+シルバーラメ。足はブルーラメにしてもらう。
私は爪の形が悪いので、ホントはキレイに伸ばしたいのだけど、伸ばすと仕事ができない。
指の先でキーボードを打っているみたいで、肩こりの原因に。
特に切羽詰まっている時にはちょっとでも伸びるとむしってしまうクセがあるので、爪を見ればネイリストさんにはどのくらい忙しいかわかるらしい。
同業者にはキレイにスカルプやジェルネイルをつけている人もいるのだけどなあ。
オープンカフェでノートPCにキレイな長くて細い指でカタカタと原稿を打つ……なんてやってみたいが夢のまた夢。現実はヒエピタをつけて宅配便の兄ちゃんもドン引きするようなキタナイカッコで髪振り乱して……
書いてて虚しくなってきたのでこの辺でやめておく。

18時。日本プレスセンター内の日本記者クラブホールにて「能登の花ヨメ」特別試写会に出席。



舞台挨拶は白羽監督、主演の田中美里さん、泉ピン子さん、能登出身のパティシエ辻口博啓さん。
そして、特別ゲストに石川県出身の森元総理。
森元総理、いきなり「え?内閣改造かね?」とナマグサ〜イ発言。笑えません。

会場では突貫工事だったあまりに今回初めて顔を合わせることになった出版社の社長さんや担当の方々にご挨拶。
初めて見せてもらった装丁はあまりにも私の名前がデカ過ぎて引く。う〜む。

企画販促部長さんに「サイン会は筆とサインペンどちらがよいですか?」と聞かれる。
ホントにやるんですか。お客が来なかったらどーんすの?
と思っていたら、目の前で有能なプロデューサーたちが私の意思に関係なく、金沢でのラジオだかテレビだかの出演を決めていく。血の気が引く。

終わり頃、会場に入ってみる。お客さんの後ろからエンドロールが流れていくところを見るのが好きだ。
涙が込み上げそうになる。作品がいとおしくてたまらなくなる瞬間だ。
書いている時はどんなに孤独でも、この数多くのスタッフの誰ひとり欠けても作品は出来上がらなかったろう。
そんな感謝の気持とともに苦労も忘れる。

お客さんの反応は、やっぱり現地での上映会のそれにはほど遠い。東京はクール。
現地ではちょっとしたことでもいちいち反応してくれていたものだけど。
それでも、終わってハンカチで目を押さえながら出てくる人を見るとしめしめと思う。
監督のお友達の田中康夫氏(新党日本・代表)も「ボク、泣いちゃった〜」と言って下さった(^-^;

終わって、田中美里さん、監督、プロデューサーズ、石川県庁の担当の方たちと会食。
美里さんは沖縄ロケ帰りだとかでこんがりといい色に焼けていた。しかし、細い。
8月23日公開。地味な作品だけれど、多くの人に観てほしい。

24時帰宅。ラジオをつけたら落語をやっていて面白くてついつい聞き入ってしまう。

26時。おやすみなさい。今日も仕事らしい仕事をしなかった。嗚呼。



2008年7月31日(木曜日)


シナリオ講座に通うことのメリットの1つは、仲間ができることでしょう。
年齢も職業もまちまちでも同じ夢を追い励まし合うことで友情が生れてきます。
だいたい「シナリオライターになりたい」なんて巷でいっても、「マジで?」と返されることも多いでしょう。
そんな時こそまさに“夢追い人”の仲間がいるおかげで頑張れるということもあります。
が、ここで1つだけ気をつけなければいけないことがあるのです。
それは「人と自分を比べない」ということ。
勉強が進むにつれ、誰それがコンクールに入賞したとか、プロデューサーに声をかけられたとか、さらには企画が通って突然デビューが決まったとか、いろんなことが起きてきます。
いつまでもどんぐりの背くらべでは仕方がないわけだし、当然です。
それでも自分には何も起こらない。
コンクールにはいくら出してもひっかからない、たまに企画書書きの仕事があっても、シナリオまでは書かせてもらえない。
焦るなという方が無理だということが当たり前のように起きてきます。
それでも焦らない。人と自分を比べないことです。比べてもどうにもならないのですから。
人は人。自分は自分。あとは自分で納得できるところまでやるしかないのです。


木曜日の日記。
今週は珍しく毎日外出があって、正直疲れてきた。
執筆引きこもり中だと、どうかすると2週間ぐらい電車に乗らない、自宅を中心に半径200メートルぐらいしか出歩かないなんてことはザラだから、今週が特別。
やっぱり外出の予定が入っていると、集中できない。いかんなあ。切り替えが下手で。

8時起床。朝食、掃除。以後、17時までボケボケと机に向かったり向かわなかったりする。
一行で済んじゃうゆるさだ。

途中電話が2件。1つは、8月中旬の金沢に3泊4日で行けるか?と打診。
「能登の花ヨメ」の映画と小説の宣伝旅行。あちらでラジオとかテレビとかサイン会とか。
ひー。ガラじゃないっ!「パソコン持っていけば仕事できるでしょ」って言われても……。
しかし、作品のために私ができることはなんでもすると言っちゃったし、もはや私の意思など関係ない……らしい。

もう1件は、オメガプロジェクトの梅村P。来年夏にクランクイン予定の青春映画。
用件はギャラの件だったのだが、先月某地方へシナハンに行った映画の改訂稿をそろそろ進めなければ!と焦る。
これは一度印刷台本の準備稿までできたのだけど、幸せなことにバジェットがほぼ倍になり、さらにターゲットの変更に伴いでキャラの変更をすることになった。
また、最初はシナハンをせずにもともとあった村松亮太郎監督の原案シナリオを変更する形で書き上げたが、今回初めてのシナハン。
やっぱり現地を見るといろいろ違ってくる。想像だけで書いているのとは違うアイデアも湧いてくる。
CG発注とキャスティングのことがあるので、ホンはなるべく早く!と言われていたのだけど、なんだかんだと遅れ気味。
ごめんなさい。
近日中(っていつだ!?)には仕上げるゾと決意。

18時。池袋のとある方に会いに行く。知人や仕事や家族のことをいろいろ相談しているという人。
今プライベートがズタボロなので、占いというか、今後どうなりますかねーみたいなことを相談のつもりで行ったのだけど、お目にかかったら、そういうレベルではなかった。
なんかもっと本質的な感覚。禅問答のような2時間。
なんとなく最近曖昧ながら思っていたことが、明確になる。
キーワードは「自分を信じる」かなあ。とにかく有意義な時間だった。

24時。とてつもなく疲れを感じて早々におやすみなさい。

―――月曜から今日まで読んでくださった方は「こいついつ仕事してんだ!?」と思われたかも!
今週は農閑期なんですよ。〆切破ってていうのもナンですが。働く時には働いてます!ホントです!



2008年8月1日(金曜日)

今日から8月です。志望者の方たちは秋のコンクール締め切りラッシュに向けて構想を練っていることでしょう。

講座などでよく聞かれる質問に「リサーチはどこまでするべきか?」ということがあります。
ケースバイケースですが、虚構の物語を構築するためには、なるべく細部にはリアリティがなければいけません。
「神は細部に宿る」っていうのは誰の言葉だったかな?

実際のドラマづくりの現場でも、シナハンに行ったり、ドラマの登場人物となる人たちにインタビューを行ったり、山のような資料を読んだりということはあります。
特定の場所を舞台とする場合には、物理的な嘘があってもいけないし、また現地を見ることで思いもつかなかったアイデアが出てくることもあります。

ほんの参考までに。
これはアニメの場合ですが、現在放送中の世界名作劇場「ポルフィの長い旅」の一場面です。
主人公がギリシャを後にしてイタリアへと渡るフェリーの中から見た景色。
左が実際のシナハンで撮った写真、右が作品になったワンシーンです。
本当に船に乗れば、こうして船尾に立った時、いつ帰れるかわからない、小さくなっていく故郷を思う主人公のことが自然と浮かんでドラマになる、という例です。

 

とはいえ、あまりにも調べ過ぎて事実にとらわれてフィクションが書けなくなることもありますので、影響されやすい人は要注意(笑)

金曜日の日記。
もーヤだ〜面倒くさいとコボしては事務局の久松嬢に「もうちょっとですから辛抱してください」とコドモのように諭されている。今日を含めてあと3日分!
きっとこのブログはこの先作協内で“恐怖のバトン”と呼ばれるようになるに違いない(笑)
かくいう私も来週の分をよりによって連ドラ執筆中のある方に廻して顰蹙をかっている。
どなたが登場するかはお楽しみに♪

5時起床。前日早々と寝てしまったせいで、メールの着信音で目覚める。
プルミエインターナショナルの増田Pから次回打合せのスケジュール打診だった。
5月末に初稿シナリオを出してある映画。撮影は来年。
諸般の事情により当初予定していた監督が変更になるという。
「ネタが腐る!早くして!」とすっごいプレッシャーで書き上げたのだけど、そこから待機すること2カ月以上。
映画なんてこんなもんだ。

ちなみにプルミエで打合せすると、アカデミー賞等々のトロフィーが並んでいるのが目に入る。
これは「能登の花ヨメ」の亀田プロデューサーの自宅で打合せした時もそうだった。
ご主人が「フラガール」や「有頂天ホテル」のカメラマン・山本英夫氏だから。
そりゃあもう壮観だった。

映画賞なるものには興味もなければ縁もないと思っていたけど、昨年「夕凪の街 桜の国」でブルーリボン賞、報知映画賞、毎日映画コンクールの主演女優賞と日本映画批評家大賞作品賞をいただき、授賞式会場で久しぶりにスタッフ一同が同窓会みたいに再会して、「あ、賞っていうのは頑張ったご褒美なんだな」と感じたもんです。

9時。エアコンクリーニングの業者の人が来る。仕事部屋とリビングの2台。
設置してから数年一度もクリーニングしてなかったので。
作業の間は仕事机が使えないので、リビングのテーブルの上でこの日記を書く。
12時前に終了。

18時まで掃除、シャワー、ネットを徘徊、仕事少々で過ごす。

19時。赤坂。土用から「鰻が食べたい!」と叫んでいたのだけど、やっと友人3人のスケジュールが合って赤坂宮川へ。
鰻重のメニューは「い ろ は」と「特上」。
何がどう違うんですか?と聞いたら、鰻の種類が違うんじゃなくて(特上は鰻が太っているのかと思っていた)、特上は鰻が二段重ねになっているそう。
どうせならということでそれを注文。
なぜか四角ではなく丸い朱塗りのお碗に入って現れた鰻はさすがに美味でした。

折しも内閣改造人事発表の日。友人の1人がTBSの報道局のプロデューサーだったので、「21時から福田首相の会見あるから」ということで退席。
残った友人と赤坂サカスのオープンエアのカフェでデザートを食べて早めにバイバイ。

24時半。夕飯の時に飲んだビールが回ってきて仕事にならず。3時間ほど仮眠。

午前3時半起床。「ポルフィの長い旅」45話のハコを考える。ストーリーはここからパリ編。
ラストクールで今までみたいなロードムービーの一話完結と違って伏線やら人間関係がややこしくなってくる。
まして設定回。パリシナハンは半日しかなかったので、「地球の歩き方」を引っ張りだしてイメージ。

午前6時。眠くてたまらず再びベッドへ。ここから先は土曜日の日記へ。



2008年8月2日(土曜日)


今日は前説(?)なしで。
小学生の夏休みの絵日記のような日記ですが。

8時起床。本日打合せなのに、前日から仕上がらず断続的な睡眠。
5時半に寝て少しスッキリしたので机に向かう。

12時半。「ポルフィの長い旅」45話のハコ送信。以後、シャワー、食事など。

14時外出。荻窪へ。駅ビルのルミネで夏物のサンダル購入。

16時より日本アニメーション荻窪スタジオにて打合せ。



スタジオといっても普通のマンションの一室。とても広い。アニメーターの人たちの机。
手前にあるのは絵コンテ。左上にあるSPAMの缶は42話に登場する缶詰の作画資料。
実際に食べたそうです。
先日送った43話および41話(谷口純一郎さん脚本)が決定稿に。
42話(司馬元さん脚本)は次回2稿へ。私の45話は次回初稿シナリオに入ることに。
現場は相当切羽詰まってきていて、日曜の放送に対して毎回「撮って出し」状態だとか。
しかし、アニメの現場では当たり前で望月監督は「テレビアニメはこうでなくっちゃ」ともはや自虐的に涼しい顔をしていた。

19時過ぎ。師匠の自宅にて花火大会鑑賞ホームパーティーに参加。
花火は夏の風物詩。昔と違って本当に凝っていて美しい。
「おいしいものとワインをちょっととイイ男をとっといてください」といっておいたら、「前2つはあるが、最後の1つは最初からない!」と断言される。ムム。
プレバツイチの私に師匠や受講生は一生懸命男性を紹介してくれるというのだが、なぜか日本語の通じない人ばかりであるのが残念だ。
俳優、歌舞伎役者、プロデューサー、監督、脚本家、小説家といったギョーカイ系の人からお寿司屋さん、焼き肉屋さん、本屋さんといった多彩なお客。師匠の人脈の幅広さを感じる。
同業のMさんと初対面。
脚本家兼小説家のYさんとともに仕事のこと(1時間に最大何枚書けるか?とかプロットとは?とかなぜか締め切り寸前に書いたモノの方がこつこつ書いたモノよりいいよねとか)で話が盛り上がる。
書く仕事は孤独だから、たまに同業者に会っておしゃべりするのは楽しい。

26時帰宅。録画しておいたドラマを何本か見て27時半就寝。



2008年8月3日(日曜日)

「ひとつひとつの仕事をきちんとやると、必ず次につながる」
だから、どんな仕事もおろそかにしないように。
これは私が勉強したあるシナリオスクールで講師だった林誠人先生から聞いた言葉です。
この言葉が今でもとても印象に残っているのは、デビューから今に至るまでまさにそれを実感し続けているからかもしれません。
今やっている仕事はすべて過去にやった仕事が仕事を呼んだものばかりだからです。


日曜日の日記。
9時起床。家から一歩も出ない引きこもりの一日。
だらだらと仕事、録画したドラマと映画を見て、時々昼寝。
午前3時半就寝。
――あ。終わっちゃった。ふだんはこんなもんです。
今年は夏休みなしで馬車馬のように働く予定なので、大方こんな日がほとんどとなります。

なのでサービス(?)と宣伝を兼ねて月曜日の朝の分まで。
午前7時前 メーリングリストで「地獄少女 三鼎」の第26話(最終回)の初稿シナリオが届く。この作品は私にとって3作目のアニメーション。
人気シリーズの3作目が始まるに当たり呼んでもらって10話と22話を書かせていただいた。
きっかけは原案者でもあるわたなべひろし監督とひょんなことから知り合ったことから。
もちろんそれも以前にやった作品絡みです。

大好きな世界観の作品でとてもとても楽しかった。
なんといってもシリーズ構成の金巻兼一さん初め広真紀さん、川崎ヒロユキさん、高木登さん、小中千昭さんといったベテランから若手女性作家まで総勢9人の作家で紡いでいくのは、それぞれのおっ!と思うような個性を1つの世界観で踏襲するという作業ですごく勉強になった。
それに「いっぺん死んでみる?」というヒロイン・閻魔あいの決めゼリフを書く時の気持ちいいことったらなかった!
アニメって楽しい!機会があったらこの先も書いてみたいと思っている。

何を書いてもいい、とテーマを自由にされると、その時に一番感じていること、それは見聞きした関心のある事項であることもあれば、そのとき自分が思い悩んでいることだったりすることもある。
「人間の業を描いてください」と言われたこの「地獄少女」でも、やっぱり自分の中のドロドロしたものが出てしまった。
そんなもんを作品という商品にして、さらにお金までいただけるというのはこの商売のお得なところでもある。
人生に無駄なことはひとつもないということだから。
「地獄少女 三鼎」、今年の10月より放送開始です。どうぞよろしく!

―――というわけで、一週間お付き合いいただきありがとうございました。
来週からは旺季志ずかさんにご登場いただきます!
旺季さんは、現在「正義の味方」(NTV)執筆中というご多忙中にも関わらず、快く引き受けて下さいました。(だよね!旺季さん!)
旺季さんには、50期の火曜日特別講師で登場いただき、受講生たちをとっても刺激していただきました。
お肌がものすごくキレイで「何使ってんの?」と無理やり聞き出して同じ化粧品を使ってますが、彼女にはとっても及びません。
海を愛する感性豊かな旺季さんにバトンタッチしたところで、さようなら!!


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