シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
   菅乃 廣 (シナリオ作家)

89 日本大学商学部卒業。リクルート、角川書店で雑誌の
編集・制作に携わる。その傍ら、シナリオ・センターにて学ぶ。
テレビ東京の特撮ドラマで脚本家デビュー。

・2007年 漫画原作「傍聴席へGO!」
・2006年 ビデオ映画「不思議めがね」
・2006年 漫画原作「はたきんぎょ」
・2004年 映画「コンクリート」
・2004年 ビデオ映画「キル! 鬼ごっこ」
・2003年 映画「自殺マニュアル」
・2003年 ビデオ映画「自殺マニュアル2 中級編」
・2002年 ビデオ映画「人妻性白書 調教の果て」
・2002年 ビデオ映画「OLの性癖 淫らな社内恋愛」
・1998年 TV「仮面天使ロゼッタ」(TX)  他多数


                            


2010年4月19日(月曜日)

■明日は裁判! 宿敵の某株式会社を叩き潰せるか!?■

いきなり唐突ですが、明日は裁判です。

シナリオ作家協会は、「やわらかい生活」の件で裁判中なのは、皆さんご存知とは思いますが、実は、私も原告になって、簡易裁判所で民事裁判をやっていたのです。

ちゃんと事件名もつけました。
「原稿料請求事件」
なんとも平凡なタイトルですが、例えば、「失われた原稿料」なんて名前をつけても、裁判所の皆様に鼻で笑われて、事務的に平凡な事件名に直されてしまうので、致し方ないところです。

事件名をつけたということは、自分で訴状を書いたということです。つまり、本人訴訟ですね。
それで、何が争われているのか気になるところですが、以下に訴状(黒く塗りつぶしているところもありますが)の内容を貼り付けておきました。


訴   状

平成21年 8月 24日
東 京 簡 易 裁 判 所 民 事 部   御中


原 告  菅 野   弘  印

〒■■■■  東京都■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(送達場所)

原 告  菅 野  弘
電話  ■■■■■■■■■■■■
FAX   ■■■■■■■■■■■■

住所不明
〒■■■■ 登記簿上の住所 東京都■■■■■■■■■■■■■■■■■

被 告  株式会社 ■■■■■ 
上記代表者代表取締役 ■■■■


原稿料請求事件

訴訟物の価額     24万5000円
貼用印紙の額        3000円


第1 請求の趣旨

1 被告は原告に、金24万5000円及び、これに対する平成21年8月10日から支払い済みに至るまで、年5分の割合による遅延損害金を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

3 仮執行宣言。


第2 請求の原因

1 原告は、「菅乃 廣」というペンネームを使用して、雑誌及び書籍の取材・執筆を業とする者であり、被告は、出版物等の企画・制作を業とする株式会社である。


2 請負契約の締結

(1)原告は、平成20年1月29日、被告の従業員(営業担当・■■■■氏)からの依頼で、被告の事務所(東京都■■■■■■■■■■■■■■■■■■)に打ち合わせのため訪問し、実用書「名僧が説く名言(仮題)」の取材・執筆等を請け負った。

(甲1)

(2)平成20年1月29日の打ち合わせで、原告への報酬は、以下の通りに約束された。

単価         1頁 1400円
担当頁数           175頁
報酬の合計      24万5000円

           (1400円×175頁)


3 仕事の完成

平成20年6月ごろ、新たに入社した■■■■氏(被告の「顧問」という肩書き)が、前任者から当該実用書の担当を引き継いだ。  
(甲2)

原告は、要求された修正に応じ、指定された期日に遅れることなく、平成20年8月23日、■■■■氏に原稿を納品した。


4 報酬の未払い

(1)報酬の支払いは、平成20年10月10日という約束であったが、期日を過ぎても、被告が約束した金24万5000円の入金はなかった。被告の営業担当・■■■■氏からは、「現在、経営難なので、支払いを待って欲しい」という依頼があった。

(2)平成21年1月ごろ、被告の代表取締役・■■■■氏から電話連絡があり、事務所(東京都■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)を引き払い、自宅などで営業をやっていると説明された。報酬の支払いについては、もう少し待って欲しいとの依頼があった。

(3)平成21年5月ぐらいまでは、月に一度ぐらいの割合で、被告の代表取締役・■■■■氏から電話があったが、それ以降は連絡がなく、原告が電話をしても出なかった。


5 被告への催告

(1)平成21年8月10日、原告は、被告の所在地(東京都■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)と、被告の代表取締役・■■■■氏の自宅(東京都■■■■■■■■■■■■■)に、内容証明郵便にて、金24万5000円を支払うよう催告する旨の通知をした。

(甲3の1、甲3の2) 

(2)平成21年8月11日、被告の所在地(東京都■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)に宛てた封書が、「宛所に尋ねありません」という理由で返送された。翌8月12日、被告の代表取締役・■■■■氏の自宅(■■■■■■■■■■■■■■■■)に宛てた封書が、「宛所に尋ねありません」という理由で返送された。

(甲4の1、甲4の2)


6 予想される争点

特になし

 

7 結論

原告は、請負契約に基づいて、何の過失もなく仕事を完成させたのに、被告は、約束した報酬、金24万5000円を払わなかった。
被告の代表取締役・■■■■氏とは、連絡をとるすべがなく、行方が分からない状態である。被告の背信行為により、原告には、金24万5000円の損害が生じている。


付 属 書 類

1 訴状副本     1通
2 商業登記簿謄本  1通
3 証拠説明書    1通
4 甲号証写し    各1通


ということで、事件の概要はこんな感じです。
要するに、「金を払え!」ということです。
訴状の日付を見てもらうとわかるように、訴えを提起したのは去年の8月です。実は、数々の紆余曲折がありまして、明日がやっと第2回の公判なのです。

さて、裁判・・・特に民事裁判というと、一般の人には馴染みがなくて、いろいろな誤解があるのではと思います。

●裁判の誤解 その1・・・裁判はお金がかかる?
正確に言えば、裁判にお金がかかるのではなく、弁護士費用にお金がかかるということです。訴状の最初の方に、印紙の額がありますが、訴額(訴えた金額)が今回は24万5000円(安いギャラでお恥ずかしいのですが)なので、印紙代は3000円です。これに切手代の6000円をプラスして、合計9000円ということでしょうか。

●裁判の誤解 その2・・・裁判は正義を実現するもの?
これが一番大きな誤解だと思います。
裁判は、証拠の優劣で勝敗を決めるゲームです。ゲームに勝った人が、正義を名乗ることができるのです。

●簡易裁判所の法廷にいる人は、やっぱり弁護士?
簡易裁判所で一番多く見かけるのは、消費者金融の社員です。消費者金融とその利用者が簡易裁判所の主なお客さんでしょうか。最近は、認定司法書士と呼ばれる人が、簡易裁判所での代理権を獲得したので、増えています。

●法廷にはきっとドラマがある?
ありません。特に簡易裁判所の事件は、流れ作業でどんどん片付けられてしまいます。30分間公判が開かれるとしたら、20件ぐらいの事件の審議が詰め込まれます。1つの事件に5分も時間をかけていられないのです。

もしかしたら、これを読んでいる方にも、これから裁判を予定している人がいるかもしれませんので、おこがましいのですが、多少解説させていただくと・・・・。
「相手の財産を把握する」のがポイントです。
いくら裁判で勝っても、相手にお金がないのでは、泣き寝入りです。
私も、相手の隠し財産を見つけたので、裁判をやったのです。

今回のように、相手の所在地が判明しないと、面倒なことになります。
今回の訴状は、公示送達を前提に作成しています。
つまり、裁判所の掲示板に、裁判を告知する紙を張り出してもらって、相手に書類を送ったことにしてもらうやり方です。
当然、相手はそんな掲示板なんか見るわけがありませんので、通常は、相手が欠席のまま裁判が終わります。

ですが、今回は、途中で相手の住所が判明し、裁判所の方で書類を送り直す手続きをしたので、ちょっと長引いてしまったのです(本当はもっと複雑な事情が絡んでいるのですが、簡単に説明するとこんな感じです)。

証拠も、甲1号証から甲4号証まで出しましたが、追加の証拠を明日、大量に提出してきます。とりあえず、何を出したのかというと、仕事の発注を受けたときに、同席した人の陳述書(甲1号証)です。
実は、契約書はありません。なくても裁判はできます。
日本の法律は、口約束でも契約が成立するからです(もちろん例外はあります)。
ただし、「契約書なんて必要ない」と言うわけではありませんので、誤解なきようお願いします(やっぱり契約書は重要です)。

ということで、初回から長くなりましたが、明日の裁判レポートへと続きます。



(写真は、日比谷公園から望む東京簡易裁判所です。明日、ここに行ってきます)。



2010年4月20日(火曜日)

■東京簡易裁判所の傍聴席は、異様な熱気に包まれた!■

本日、東京簡易裁判所の法廷に行ってきました。

自分が本人訴訟をしている裁判の第2回公判でした。
3階の304号法廷で午前10時30分に、いよいよ闘いの開始です!
といきたいところですが・・・・・。

時間より少し前に、3階フロアに到着し、傍聴席の扉を開けると、中に入れない・・・304号法廷の傍聴席が、人でごった返しているのです。
もともと椅子が20席ぐらいしかない狭い傍聴席のうえ、椅子に座れない人が立ち見をしていて、まさに満員電車のよう。
こんなに人がいるとは、予想外でした。前回も、傍聴席が全部うまるほどでしたが、すし詰め状態になるのは、今回が初めてでした。
少し前の話になるのですが、「傍聴席へGO!」という裁判傍聴まんがの原作を担当したことがあり、裁判の傍聴には慣れているつもりでしたが、この状況には驚きです。
例えば、これが地方裁判所になると、傍聴席の椅子の数だけしか傍聴が許されないので、立ち見とかすし詰め状態にはならないのです。
ちなみに、傍聴席に人がいても、それは裁判を見に来た傍聴人ではなく、裁判の当事者(原告とか被告)の人たちです。自分の順番が来ると、法廷にいる事務官の人から、事件番号と名前を呼ばれ、傍聴席から法廷に入っていくのです。

とりあえず、法廷の外で待つことにして、壁に掲示してある本日のスケジュール表を見ると、事件名がビッシリ・・・・。
10時の回が、約30件、10時30分の回が約33件・・・の事件が審議される予定でした。混雑するのも納得です。30分間で30件の事件を審議するとなると、1つの事件にかけられる時間は1分以内。超過密日程です。

時計を見ると、10時30分を少し回った頃。何人か人が出て行ったのを確認して、強引に法廷へと入り、出廷カードに自分の名前を書きました。
運良く席が空いたので、そこに座り、順番が来るのをジッと待ちました・・・・しかし、全然名前が呼ばれません。
10時の回が押していて、大幅にスケジュールが遅れているようでした。

そして、待つこと1時間。やっと自分の事件番号と名前が呼ばれました。
1時間遅れで、ようやくスタートです。


■傍聴席の熱気とは裏腹に、法廷でのやりとりは3分で終了■

簡易裁判所の法廷は、丸テーブルです。
原告席には私が座り、被告席には、相手の弁護士が座りました。
そう、敵は弁護士だったのです。
椅子に座る前に、私が第一声・・・・。
「書類の提出があるんですけど」
書類とは、準備書面や書証(紙の証拠)です。本日の朝までかかった力作で、もう、血と汗と涙の結晶です。
完成した書類を積み上げて、高さを測ったら、5センチぐらいの厚みがありました。
これを提出すれば、今回の目的を果たしたことになります。

裁判長から、訴状の内容を確認する質問が2つ、3つあり、そのあと、次回の期日を決めて、終了。時間にして、2、3分ぐらいでしょうか・・・。
法廷から廊下に出ると、相手の弁護士が走って逃げていくではありませんか・・・。
こちらが出した証拠の山に、恐れをなしたのか・・・なんてことはありません。
予定より1時間も送れたので、次の予定が詰まっていたのだと思います。

参考までに、準備書面を貼り付けておきます。訴状よりも登場人物が増えて、分かりづらいかもしれませんが、適当に流してください。
(被告の会社は「AAAAA」、被告の会社に発注していた元請会社は「BBBBB」

そして、今回の悪役は、被告の会社の代表取締役ZZZZ氏・・・が主な登場人物です)

 

平成21年(ハ)第※※※※※号 原稿料請求事件

原告  菅野 弘
被告  株式会社AAAAA


準 備 書 面

平成22年 4月20日
東京簡易裁判所民事部  御中
原 告   菅 野  弘   


答弁書の「被告の主張」について


1 契約の当事者について

「被告の主張 1」において、被告と注文者である株式会社BBBBBとの間では、
正式には契約が成立していないとの主張であるが、原告が契約を結んだのは、株式会社AAAAAであり、株式会社BBBBBではない。
原告は、株式会社BBBBBから発注をうけたのではなく、書籍の編集責任元である株式会社AAAAAから発注を受けたのである。

(甲5)

当該書籍である「名僧が説く名言(仮題)」は、「SOS−COMICS」というシリーズの1つとして制作されたものだが、原告は、「名僧が説く名言(仮題)」を執筆する以前にも、「SOS−COMICS」として10冊近くを執筆した。

(甲6、ペンネーム・菅乃廣)

最近でも、別会社を経由してではあるが、株式会社BBBBBが発行・販売する書籍を執筆した。                 
(甲7)

それで今回の件だが、当該書籍の編集責任元は、株式会社AAAAAでまちがいなく、このことは、原告が過去に担当した各書籍の奥付から、容易に推測できる。

株式会社BBBBBは、書籍の流通や販売を担当しているだけで、書籍の具体的な編集内容に関しては、関知しない立場である。 

よって、書籍の制作に当たって、各スタッフとの契約の当事者になるのは、株式会社AAAAA以外にありえなかった。

原告は、被告の要望に合わせて、納期に遅れることなく何ら過失なく原稿を納品(メールにてWord書式のデータを送付)しているので、当然に報酬の請求権を有する。

(甲5)(甲8)


2 株式会社BBBBBによる原稿の審査について

「被告の主張 2」において、株式会社BBBBBが、原稿を読んで出版を決める審査を行なうという主張だが、このような事実は存在しなかった。
株式会社BBBBBは、出版を決定する前に、企画書の審査を行なうのであり、決定してから、原稿の作成に取り掛かるのが手順である。
重ねて主張するが、原告は、当該書籍「名僧が説く名言(仮題)」が、被告との始めての取引ではなく、当該シリーズの執筆を10冊近く担当してきており、どのようなシステムであるかを熟知している。ZZZZ氏が主張するようなシステムではなく、ZZZZ氏の主張は、被告の元社員の証言でも、事実無根であることがはっきりしている。

(甲5)(甲9)


3 元代表取締役・ZZZZ氏の悪質な背信行為

元代表取締役のZZZZ氏が提出した答弁書によれば、自身が代表取締役を務めていた株式会社AAAAAは休眠状態である旨の記述があるが、まったくのウソである。
表向きは、休眠状態にして、債権者からの請求を免れ、裏では、事業を継続し、平成21年は、少なくとも700万円の売上があったのが予想される。
具体的に、債権者を欺く行為として、次のようなことが挙げられる。

(1)被告の代表取締役であったZZZZ氏は、商業登記簿に記載してある自宅住所について、平成19年2月1日、「東京都品川区□□□□□□□□□□」から、「東京都杉並区■■■■■■■■」へ変更になったことを登記している。
しかし、「東京都杉並区■■■■■■■■」は、平成21年8月10日に原告が郵送した内容証明郵便が不達であったこと(甲4の1、甲4の2)や、平成21年8月20日に、原告が同住所を尋ねたところ「※※※※」と名乗る者が住んでいたことから、虚偽の住所であるのはまちがいない。ZZZZ氏の本当の住所は、住民票の記録から、「東京都杉並区◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆」(平成18年4月28日転入)であり、この住所で、御庁からの書類も、送達ができている。
虚偽の住所を登記した平成19年ごろは、被告の経営が傾いてきたころであり、ZZZZ氏は、住所を隠して債務の支払いを免れようと、当初から計画的に行動していたことがうかがえる。
(甲10)(甲11)

(2)ZZZZ氏は、元社員に対して、給料の支払をしなかった。元社員の※※※※氏(婚姻により※※※※に改名)は、平成20年11月1日、独立行政法人労働者健康福祉機構(以下、労働者健康福祉機構という)が運営する未払い賃金の立替払制度を申請するため、東京中央労働基準監督署(以下、労基署という)に、認定を申し立てた。
ZZZZ氏は、労基署からの事情聴取に対し、「無資力なので、会社はすぐに清算する」と誓約した書面に署名捺印をした。そのため、労働者健康福祉機構は、被告への求償を断念し、被告は、約220万円もの支払いを免れた。

しかし、会社は依然として存続し、株式会社CCCC(訴外)(宮城県仙台市★★★★★★★)との取引で、パンフレット等の制作請負を継続し、平成21年の1年間で、約700万円の売上を得ていたと思われる。

(甲12)

被告の別口債権者である@@@@氏(訴外)は、平成21年12月9日、株式会社CCCC(訴外)を第三債務者とする債権差押命令の申立(平成21年(ル)第※※※※※号)を行なった(甲13)。これにより、株式会社CCCCは、平成21年12月22日、被告の売上金168万8000円の存在を申告する陳述書を提出しており、売上が存在した事実を裏付けている。                (甲14)


(3)前述(2)の平成21年(ル)第※※※※※号において、第三債務者である株式会社CCCC(訴外)は、株式会社AAAAAへの支払い金168万8000円を、平成21年12月25日に、東京法務局に権利供託した。(供託番号:平成21年度金第※※※※※号)
供託された金168万8000円から、@@@@氏(訴外)へ支払われた金額と、別口債権者の!!!!氏(訴外、平成22年(ル)第※※※※※号)が差し押さえた金額を差し引いた残金120万2827円は、平成22年2月、休眠しているはずの株式会社AAAAAへ支払われていた。ZZZZ氏は、登記簿上は代表取締役のままであり、代表取締役ZZZZ氏の名前で東京法務局へ支払の申請がなされたと思われる。

(甲15)(甲11)


(4)以上、ZZZZ氏は、多数の債権者だけでなく、労働基準監督署を欺き、また、当裁判所も欺こうと企んでいるのである。このような反社会的行為を断じて許すべきではない。
ZZZZ氏の悪質な行為に対しては、複数の被害者が刑事告発を検討している状況であり、ZZZZ氏の証言を採用することは、法の権威を失墜させる行為である。

以上


■午後は成年後見人の研修■

さて、裁判から一転して、午後は、成年後見人を養成する研修に参加しました。正確には、専門職後見人ということです。
なんでそんなことを? と思われるかもしれませんが、話せば長くなるので、今日は、省略させてもらいます。

成年後見人は、例えば、アルツハイマーのようになった人のために、通帳などを預かって、財産の管理を行ないます。
専門職後見人は、例えば、身寄りがいない人がアルツハイマーなどになったときに、家庭裁判所から選任されて、その人のために、成年後見人に就任するのです。
それで、どういう人が専門職後見人になるのかというと、弁護士、司法書士、介護福祉士、行政書士などが就任するようです。

専門職というので報酬をもらうのですが、苦労する割には、もらえるものは少ないということです。
例えば、「危篤状態で危ない」という連絡が病院からあったら、365日、24時間いつでも、病院に駆けつける気持ちが必要ということです。
また、介護士がやるような行為は、やらないことになっていますが、専門職後見人を体験したある方の話では、実際の現場では、そういうわけにはいかないようで、その方は、「寝たきりの方が、ウンコが詰まったって訴えるから、手でウンコを引っ張り出した」ようなことまでやったそうです。なんとも壮絶な世界のようです。

ということで、長くなりそうなので、この続きは明日ということで、今日はこのへんで終了です。



2010年4月21日(水曜日)

■ファミリーマートで、宇宙を語る!■


本日、近所のファミリーマートに立ち寄りました。
雑誌コーナーに行くと、お目当ての本がありました。



「最新科学宇宙論」

実は、私の書いた本です。
この本は、書店にはなく、全国のファミリーマートでのみ売られている本です。
税込で580円。
都内各所のファミリーマートを利用するたびに、雑誌コーナーを覗いているのですが、売れ残っていることが多くて、寂しい思いをしています。


本の内容は、なんと無謀にも、アインシュタインの相対性理論を解説してしまいました。

そのほか、車椅子の物理学者・ホーキングの説や、ひも理論、この世は11次元の時空だった・・・など、現在、有力と言われている説を紹介しています。


それで、宇宙論ですが、皆さんは、宇宙がどんな始まり方をしたのか、知りたいとは思いませんか?
宇宙は、ビッグバンから始まったというビッグバン宇宙論は、皆さんご存知だと思います。
宇宙というのは、今こうしている間にも、ものすごいスピードで膨張しているのです。

この膨張は、最近の調査で、永遠に続くことがわかりました。
ものすごい年月がたって、太陽などの恒星がすべて燃え尽き、ブラックホールが蒸発しても、漆黒の闇だけは、永遠に膨張を続けていく・・・・これが宇宙の未来と考えられています。本当かどうかは、確かめようがないので分かりません。


今度は、時間を過去にさかのぼっていくと、宇宙は、どんどん収縮していくことになり、ついには、ある一点に凝縮されるはずです。
ビッグバンが起こったときの宇宙というのは、直径10cmぐらいと言われています。

ちょうど夏みかんぐらいの大きさですね。
その夏みかんが、137億年前に爆発を起こして、今の私たちが存在していることになるのです。
夏みかんが、本当の宇宙の始まりではなく、さらに時間をさかのぼると、ミクロの宇宙が存在することになります。
ミクロの世界を知れば、本当の宇宙の始まりが分かることになり、ミクロの世界の学問が進んだために、最近、宇宙誕生の仮説が登場してきたのです。
素粒子の加速器が世界中で建設されていますが、このような加速器は、初期の宇宙の姿を解明する目的もあるのです。
ミクロの世界の研究で分かったことは、何もない真空でも、「無」という状態が存在しないことです。
素粒子(原子よりもさらに小さい最少の単位)が、突然パッと発生しては、突然パッと消滅するということが起きているのです。
ということで、この世に最初に出現したミクロの宇宙は、突然にパッと現れたと考えられています。
何もないところから、突然現れた。
なんだか、分かったような、分からないような・・・。


私が脚本を担当した作品で、「不思議めがね」という作品があります。
(共同脚本です。ちなみに、このブログを管理している赤松先生も執筆しています)
「毒のある子供映画」と、監督の三村さんは語っています。
http://homepage3.nifty.com/fusigi-megane/


「不思議めがね」にある1シーンで、子供が首にロープを巻いて締め上げて、自分の意識を過去に飛ばす「タイムマシーンごっこ」をしているところがあります。
実は、多少なりとも、このシーンは、相対性理論が関係していたのです。


この宇宙で、唯一絶対なものは、光の速度です。
1秒間に約30万kmという速さですね。
それで、どんなものでも、光の速度を超えることができないとされているのです。
例えば、高性能なスペースシャトルで、光の速さに近づくように加速するとします。
光の速さに近づけば近づくほど、不思議なことに、スペースシャトルの重量が増えていくのです。
重量が増えれば、さらに加速するために、エネルギーが必要になり、エネルギーは、無限大になるほどの莫大な量が必要になってきます。
ということで、私たち質量がある存在は、光の速さを絶対に超えられないというのが、相対性理論です。


それで、タイムマシーンごっこの話ですが・・・、
時間は、過去から未来にしか流れません。
仮に、光より速く運動する「タキオン」という粒子が存在したならば、未来から過去に向かって時間が流れるのでは? という仮説があります。
なぜ、光より速いと、過去に戻ることができるのか?
相対性理論(特殊相対性理論)では、光の速度に近づけば近づくほど、時間の流れが遅くなると言われています。
仮に、光の速度と同じになると、時間は停止してしまい。光の速さを超えると、今度は、時間が未来から過去に流れる・・・という考えがあるのです。
光の速さを超えてしまうと、すべてが、逆になる世界なのです。
説明すると長くなるので、ここは飛ばします。そういうものだと思ってください。
そうは言うものの、私たちの体(物質)は、質量を持っていますので、相対性理論により、光の速度を超えることができません。
それで、質量というのがまったくない、人間の意識のようなものなら、ひょっとしたら、「タキオン」のように、光の速度を超えるのではないか? と先ほどのタイムマシーンごっこへとつながるわけです。


海外のSF小説で「フラッシュフォワード」という作品があります。
これは、スイスにある粒子加速器の実験が失敗し、世界中の人の意識が、1分43秒だけ21年後の未来に飛んでしまうという現象が起こる話です。世界中の人々が、21年後の自分の未来を見てしまうというストーリーです。アメリカではドラマになったようですね。
あながち、空想の話ではないようです。
近い将来、大型の加速器で、ごく小さなブラックホールを人工的に作り出せるのではと言われています。


何だか、取り留めのない話になってしまいました。



2010年4月22日(木曜日)


■絵を見るだけで相手の心が分かる! 描画心理学とは?■



本日、家に帰ったのは朝5時。
某編集部で、一晩中、校正作業をやっていました。
帰るころには、空が明るくなっており、雨はやんでいましたが、真冬のような寒さ。
一説によると、現在、太陽の黒点の活動が衰えているそうで、地球が寒冷化するのではと言われているそうです。地球温暖化はどうしたのか・・・。
ということで、本日は疲れています。


先日、自主映画の構想を打ち合わせしてきました。
脚本、監督、プロデューサーの3役をこなす予定でいます。
自主映画といいつつも、原作があるので、これから交渉することになりますので、まだ実現できるかどうかは不透明です。
実は、日本での公開はメインではなく、海外・・・例えば、フランスやドイツでの公開を目指しています。
話が大きくなってきましたが、完成までには時間がかかりそうです。


時間がかかるといえば、私がまんが原作を担当した「はたきんぎょ」という作品は、物語の基本的なストーリーを作るのに、3年間もかかってしまいました。
どんな内容かといえば、裁判所の執行官の話です。強制執行をやる人ですね。
私は、裁判所で働いた経験などないので、実際に執行官の人から取材をしたいと考えていたのですが・・・裁判所ということで、なかなか取材させてくれる人がいませんでした。ようやく取材に応じてくれる人を見つけたのですが、それだけで2年以上もかかってしまいました。
ドキュメンタリーではないので、現実を忠実に再現する必要はないのですが、執行官という職業は、今までの自分とは無縁の世界で、物語のイメージがわきにくい職業でした。
だから、どうしても、その職業の人が持つ「臭い」というか、雰囲気というか、直接会って話をしてみて、何かを感じてみたかったのです。


長年同じ職業をやっていると、無意識のうちにその職業独特のキャラクターが身についてしまうことがあるようです。
職業が、その人のキャラクターに影響を与えることは、米スタンフォード大学で行なわれた「監獄実験」という有名な心理学の実験で証明されました。
これは、学生を2組に分けて、一方には看守役を、一方には囚人役をやらせてみたところ、看守役の学生は、本当に看守のようにふるまい、囚人役の学生は、本当の囚人のようにふるまったそうです。
あまりにも学生たちが本気になりすぎて、実験は予定の2週間よりも早めに打ち切られたということです。
人間は、肩書きを与えられると、それにあわせて行動してしまう傾向があるようです。

なお、この心理学の実験を再現したものとして、ドイツ映画の「es」という作品もあります。


心理学といえば・・・・今、関心があって調べているのは、描画心理学という分野です。

絵を描かせて、その人の心理状態を分析するという手法で、ロールシャッハテストなどの心理テストの仲間です。
描画心理学の中では、バウムテストというのが広く行なわれているようで、バウム=樹木を描かせて、その構図などで、相手の心理状態を探るわけです。


まず、臨床心理士などが、「木を描いてください」と告げて、被験者に好きなように描かせます。
なぜ、樹木なのかというと、描くものが人であるよりは、樹木の方が、被験者の心の防御が弱まり、本心を絵に投影しやすいからです。
被験者は、今までに一番印象的な樹木だったり、自分と同一化できたりする樹木をイメージし、心の中に葛藤などがあると、無意識のうちにその樹木の姿を変形させてしまい、その人独特の樹木の絵になるそうです。


例えば、用紙を横に2分割すれば、用紙の上の方に樹木を描くと、空想や未来、男性性を暗示し、用紙の下の方に樹木を描けば、現実や過去、女性性を暗示しているそうです。
葛藤は、本人が自覚しているときもあれば、無自覚のときもあるということです。


ここで、冒頭の写真ですが、何なのか気になりますか?
これは、うちの娘が3歳のときに画いた絵です。
赤色の使い方がなにやら抽象的で、意味がありそうです。
「へーッ、よく画けてるねぇ。これ、何画いたの?」って聞いてみると、
「パパが、自転車で転んで、顔から血を流しているところ」
という答え・・・。
なんか、複雑な心境になってしまいました。



2010年4月23日(金曜日)

■もう1つの顔?■

もう1つの顔です・・・。
実は、私は、シナリオライターのほかに、行政書士の資格も持っています。
港区虎ノ門にある「みらい法務事務所」に、間借りさせてもらっているのです。
本日、新しい看板ができたということで、撮影してきました。
ちなみに、「みらい法務事務所」の奴賀先生は、相続・遺言を専門にしていますので、何かご用の際には、「みらい法務事務所」までご相談ください。


2つの顔を持つことは、シナリオを書く上で役立つこともあるのです。
一般の人との出会いが増えるので、何かと人物観察ができるのです。
社交的で人当たりがいい営業マンが、実は同僚の財布からこっそり1万円札を抜いてこそ泥をやっていたとか、介護で働くかわいい顔をした女性から、過去に1回だけ覚せい剤をやったことがあるのよと告白されるとか(もちろん、ノリピーではありません)・・・など、ユニークな話が聞けることがあるのです。
やっぱり現実は、下手なフィクションよりも面白いようです。
このような観察がシナリオに活かせるかどうかは、自分の腕次第というところでしょうか。


夜、メールが届きました。
某編集部にまんが原作案の売り込みをしていたのですが、担当編集者に、とりあえず企画が気に入ってもらえたようです。
まんがの原作に力を入れています。
なぜなら、まんがの原作は、オリジナルの企画になるからです。
小説などの原作を脚色するのは、それなりに難しいのですが、オリジナルのストーリーで勝負したいという思いがあるのです。
最近は、映像作品に原作がつくのが当たり前になってしまい、オリジナルの企画が成立することが少なくなってきました。
企画を出しても、原作ありが条件と言われることも多いのです。


脚本のデビュー作は、「仮面天使ロゼッタ」という特撮ドラマでした。
だいぶ昔ですが、テレビ東京の土曜深夜に放送していた作品です。「エコエコアザラク」とか「デビルサマナー」とか放送していた枠です。
「仮面天使ロゼッタ」は、オリジナルの企画で、私は企画の立ち上げには関わっていませんでしたが、途中から参加させてもらって、2話ほど書かせてもらいました。
出発点がオリジナルだったので、やっぱりオリジナルには愛着があるのです。
本当は、小説を書けばいいのでしょうが、シナリオでオリジナルとなると、まんが原作という選択になるのです。


実は、明日、撮影が入っており、あまり遅くまで起きていられないので、本日は、これで失礼させていただきます。



2010年4月24日(土曜日)


■マンション管理セミナーを撮影する!■



本日は、撮影でした。
マンション管理業務セミナーというちょっとお堅いセミナーの撮影でした。
撮影は、私とカメラマンの2人でこなしました。


撮影場所は、池袋の某会議室。
池袋駅の「イケフクロウ」の前で、カメラマンのA氏と待ち合わせ。
待ち合わせ時間に、A氏は機材を担いでやってきました。
セミナー開始は、午後1時30分。入室できるのが、12時50分からということで、30分ぐらいでセッティングをすることになります。
カメラマンのA氏は、手馴れたもので、てきぱきとセッティングをしていきます。
セミナーの時間は、前半が1時間。後半が1時間。休憩や質問時間を入れて、3時間弱ぐらいです。
講師は、ベテランの脇先生と高橋先生。
順調に準備を進めていきましたが・・・・。
絶叫する講師の声。拍手。隣の会議室から筒抜けで聞こえてきます。実は隣の会議室とは簡易な仕切りしかないので、話し声が聞こえてしまうのです。
予想外のハプニングでした。


ところで、どうして撮影を請負ったかというと、ある計画の参考になればと思ったからです。
ある計画とは・・・中小企業などの法人を対象に、低価格でインターネット用動画の撮影&編集サービスを提供するビジネスです。
というのも、ユーチューブやホームページの動画などのように、最近、一般の人がインターネットの動画に対して、関心が高まっているように感じるのです。
ゆくゆくは、映画製作という大きな目標につなげていく予定でいます。
ただ・・・・。
最近、暗いニュースとして、シネカノン、ビーワイルド、トルネードフィルムと、映画界を担ってきた会社が、次々と倒れていきました。
まさに、大手以外全部沈没・・・のような印象です。
映画を作るといっても、これまでと同じようなやり方では、うまくいかないような気がします。時代の変化は急速で、新しいビジネスモデルを考えなければと感じています。


さて、マンション管理セミナーの内容ですが、印象に残ったのは、やはり、大手はここでも強し・・・というところでしょうか。
最近、大手の管理会社が、中小の管理会社から仕事を奪うようなことがよくあるそうです。ちょっとした修繕があるときなど、大手の管理会社は、他よりも安い見積もりを提示して、管理組合の信用を勝ち取るそうです。
これは、週間ダイヤモンドの記事で紹介されたのですが、大手の管理会社は、管理組合の理事長を接待したり、「袖の下」を渡したりして、理事長を手の内におさめることもあるそうです。
それで、どこで儲けるのかというと、建て替えや大規模修繕のときです。建設会社から、工事費の1割ぐらいを紹介料として取るそうです。
一方、建設会社は、取り分が減ってしまうので、どうしても、工事の質を下げざるを得なくなります。
手抜き工事みたいになってしまい、結局は、住民が不利益をこうむることになるそうです。
セミナーの内容に戻りますが、
写真にもありますが、「中小管理会社の生き残り策」というのがテーマの1つです。
中小の会社が大手に対抗するには、管理の質で勝負しようということです。
シナリオに当てはめれば、シナリオの質で勝負するということでしょうか・・・。
もし、マンションの管理人になりたい方や関心がある方がいらしたら、下記ホームページを参照してください。
http://m-kanri.blogdehp.ne.jp


マンション管理士という職業の人がいますが、意外な仕事をやることがあるそうです。

あるマンション管理士の人から聞いた話ですが・・・例えば、担当するマンションに、孤独死した住人がいた場合、身元の確認などのため、警察に呼ばれることがあるそうです。
なぜ、マンション管理士なのかは、マンション管理士の方も「よく分からない」と首をひねっています。
その方は、今年だけですでに2回、身元確認など・・・いわゆる「おくりびと」をやったと言っていました。
「おくりびと」はチェロ奏者だけではなかったようです。


今回のようなセミナーを撮影していると、以前、シナリオ作家協会のビデオ委員会で制作したインタビュービデオのことを思い出します。
今から思うと、撮影はカメラ2台を使って、照明と録音のスタッフもそろえて、編集も編集スタジオを借りて・・・と、かなり本格的でした。
ドキュメンタリーというと、1つだけ、ドキュメンタリー作品の企画を担当したことがあります。
テレビ朝日のニュースステーションの特集として放送された「再生医療最前線」という番組です。
再生医療とは、自分の細胞から臓器を作り出すという技術です。
心臓とか肝臓のような臓器はまだ作れませんが、皮膚と歯の分野に関しては、現実の治療法となっています。
歯の治療法に、インプラントという治療法があります。
これは、虫歯や歯周病で歯を抜かなくてはならないとき、歯茎に人工の「歯」を埋め込むものです。この方法を使えば、入れ歯にならなくて済むのです。
治療法として有効なインプラントですが、歯周病であごの骨までやられてしまうと、インプラントはできません。
そこで、再生医療を利用して、あごの骨を再生してしまう最新の治療法が開発されました。
それが、ドキュメンタリーで取り上げた治療法です。
実際の患者さんに再生医療の治療を施して、完治するまでのドキュメンタリーを企画したのです。
実はこの企画、かなり手間がかかってしまいました。
5分か10分ぐらいの番組なのに、撮影に1年以上もかかってしまいました。
患者さんの治療の進み具合が遅れて、完治するのに時間がかかってしまったのです。
当時、まもなくニュースステーションが終わるというので、大急ぎで編集して、何とか放送に間に合いました。
「今日、放送がある」と当日私のところに連絡があり、なんとかテレビで見ることができましたが、苦労して完成させた番組は、あっという間に終わってしまいました。


さて、このブログもあっという間で、いよいよ明日は、最後です。
ある監督と会う予定です。
北野武監督を越えた男というと、大げさだと本人が言うので、言い方を変えますが・・・2001年、アメリカで起こった9・11同時多発テロのドキュメンタリー映画を撮影した監督です。
アメリカでは、かなり話題になった作品です。



2010年4月25日(日曜日)

■世界を意識するシナリオライターに!■

なんか、大げさなタイトルですが、本日の午前中は、韓国語講座に行ってきました。
新橋にある雑居ビルの5階に教室があります。
10人も座ると満員になるような小さな部屋です。
週に1回のペースで、本日でやっと4回目。
1回から4回までは、「無料講座」になっています。どうも、「無料」という言葉に弱くて、通っていたのです。


韓国語を習ってみて気がついたのですが、韓国語は、日本語と似ているところがあります。
まず、文法というか、語順が日本語と似ているのです。
『私は、映画館に行きます』
なら、韓国語でも、
『私は、映画館に行きます』
という語順になるそうです。
それだけでなく、単語も日本語と共通する発音が多く見られます。
例えば、
ナラ(韓国語) → 国(日本の奈良は昔の首都だった)
ヨユ(韓国語)→ 余裕(日本語)
トロ(韓国語)→ 道路(日本語)
トプウ(韓国語)→ 豆腐(日本語)
カグ(韓国語)→ 家具(日本語)
オンド(韓国語)→温度(日本語)
などです。
今のところ、日本語のひらがなに該当することをやった程度で、会話ができるようになるには、まだまだ先・・・国際シナリオライターへの道は遠いようです。

 

■同時多発テロを撮った男と会う!■

さて、午後は、ある仕事の打ち合わせで、監督と会いました。
佐々木誠さんです。
渋谷駅のモヤイ像の前で待ち合わせ。
その日が初顔合わせなので、雑踏の中の誰なのか、分かりません。
待ち合わせの時間になったので、携帯に電話してみます。
「もしもし、今どこにいますか?」
と聞くと、
「目の前にいます」
という返事。確かに目の前にいました。
同時多発テロのドキュメンタリーというと、戦場カメラマンのような荒々しい人をイメージしがちですが、実際は、おだやかな感じの人でした。
その後、佐々木さんが打ち合わせでよく使うという某店に行きました。

 

佐々木さんの代表作の1つが、ドキュメンタリー映画「Fragment」です。
内容は、日蓮宗の若い僧侶(日本人)が、ニューヨークへ行き、世界貿易センタービルのあったグラウンド・ゼロを訪ねるというドキュメンタリーです。
僧侶は、かつてタレントをやっていた井上実直さん。
大学を卒業後、タレント活動を開始し、映画、テレビ、舞台などで活躍。
その後、僧侶として修行に入り、現在は、実家である六本木の長耀寺(六本木にお寺があったとは知りませんでした)の住職を務めています。
それで、ドキュメンタリーは、井上実直さんが25歳のとき、タレント活動を休止して、僧侶を決意するところから始まります。
日蓮宗の荒行で、死者が出ることもあるという「100日大荒行」に挑むというのです。

井上実直さんは、荒行を終えて修法師になり、ニューヨークのグラウンド・ゼロを訪ねることになり・・・カメラは、若き僧侶の修行を追っていくうちに、同時多発テロの爪あとに迫っていくことになるのです。

この作品は、渋谷のアップリンクで上映し、ロングランのヒットを記録したそうです。

アップリンクというと、私が脚本を担当した作品「コンクリート」も、渋谷のアップリンクで上映しました。
まあ、この作品に関しては、いろいろな騒動があったのですが、ここでは省略させてもらいます。
「コンクリート」によって、意外な出会いもありました。
私は、裁判の傍聴が趣味で、ある事件の傍聴のため、東京地裁にいたのですが・・・突然、見知らぬ人から声をかけられました。
「あなたは、コンクリートのカンノさんですね?」
なぜかその人は、私のことを知っています。
その人は、「2ちゃんねらーです」と名乗りました。
そう、2ちゃんねるで「コンクリート」が話題になっていたのです。
そのあと、声をかけてくれた何人かの2ちゃんねらーの人と、東京地裁の地下にある食堂へ行って、世間話をした記憶があります。
彼らは、刑事事件の裁判を傍聴して、2ちゃんねるに書き込んでいるそうです。
関東近郊の裁判所はもちろん、ときには深夜バスに乗って京都や大阪に出かけてまで、裁判の傍聴をするそうです。
そのエネルギーには驚きました。

ドキュメンタリー映画「Fragment」に戻りますが、これは日本だけでなく、アメリカの南カリフォルニア大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、カリフォルニア大学リバーサイド校でも上映及び講演を行い、好評だったそうです。
ちなみに、佐々木さんは、映画「GOEMON」に、脚本協力として参加しています。


せっかくなので、いくつか質問をぶつけてみましたので、以下に紹介します。


ドキュメンタリー映画「Fragment」について

Q.佐々木さんが、井上実直さんに引かれたところはなんですか?
元々彼はタレントやっていて、僕がディレクションした仕事で知り合い友達になりました。

六本木という特殊な土地で生まれ育った独特の「素直さ」が好きでした。
なぜ自分の映画で彼を主役にしたか、という意味で言うと「9.11以後の断片」を表現するのにその時の彼の状況が適していたからです。


Q.撮影のときのエピソードで、印象に残っているのは、なんですか?

ラストシークエンスのタイミングが来るまで1年以上待ちました。
普通の感動するドキュメンタリーにしたくなかったので、映画の今までの流れを全てぶち壊す要素を待っていました。
諦めかけたとき、その「人物」と出会いました。
結果、待ってて良かったと思いました。


Q.ニューヨーク、グラウンド・ゼロの印象は?

最初に行ったのは、映画とは関係なく個人的に行きました。
9.11の4ヶ月後くらいです。
グラウンド・ゼロは、その場にいるだけでとにかく辛かったです。
その後、「Fragment」の撮影や別の仕事で何度かNY、グラウンド・ゼロを訪れていますが、どんどん復旧していて人間ってすごいなぁと単純に思いました。


Q.撮影を始める前の狙いは、撮影を始めていくと変わっていきましたか? それはどんな風に変わっていきましたか?

基本的には変わっていません。
キッカケは実直が「自分が荒行に入るので記念に撮ってほしい」というところから始まりましたが自分の中では「9.11以後の断片」を撮るという強い意識がありました。
なので制作中は「日蓮宗の映画」にならないように気をつけていたように思います。

ただ上記の質問にお答えしたように最後に全てぶち壊す要素を当初は考えていなかったです。
制作途中、正統派なドキュメントになりそうで、それは気持ち悪く自分が観たい映画ではないとだんだんそういう考えになっていき被写体の一見ズレた行動を観ている側にわかりやすく整えるのをやめ、最後にさらに突きつけようと思いました。

あと「若者の成長」という側面として観ていただく事も多いのですがそれは僕の予想外でした。
でも確かにそういう映画にもなっています。


Q.ドキュメンタリーはフィクションというフレーズがHPにありましたが、ドキュメンタリーについての考えを教えてください。被写体との距離のとり方についてはどうですか?

被写体にカメラを向け、その映像をさらに編集することによって、いわゆる「真実」からドンドン離れて行くと思います。
カメラを向けられて意識せず普段とまったく同じアクションをする人はいないですし、撮影された同じ映像素材を使っても制作者それぞれの考えや意図によってまったく違う作品が出来上がります。
そういう意味でフィクションだと思います。

ドキュメンタリーとは、被写体と撮影者(監督)の距離を映し出すものだと考えています。
撮る前にとことん話し合いお互いの信頼関係を確立してから始めます。
そうすることによって制作中は余計なトラブルが起きないし、常に編集を意識しながら集中して撮影できるので、良い距離感も保てます。


Q.「マイノリティとセックスに関する2、3の事例」についても、何かコメントがあったら、お願いします。

『Fragment』が初めてのドキュメンタリー作品だったのですが、完成後「ドキュメント」というものについて考えるようになりました。
短編映画『マイノリティとセックス〜』のテーマは「マイノリティとマジョリティの線引きとはなにか?」というものなのですが、自分なりの裏テーマは「ドキュメンタリーとはなにか?」というものです。
その両方をうまく満たした作品になっているんじゃないかと思っていますが、さらにそれを深化させるため長編版をいま撮影中です。

※「マイノリティとセックスに関する2、3の事例」・・・オムニバス映画『裸
over8』の中の一遍。身体障害者のセックスを扱ったドキュメンタリー。装甲車のような車いすを乗りまわす障害者と知り合い、そのセックスライフが充実していることに驚く・・・という内容。


ということで、「Fragment」の上映会が近々あるということなので、紹介しておきます。

6月19日(土)
午後13時から法政大学にて「佐々木誠特集上映」を行います。
入場無料。
詳細は「Fragment」HPにて近日中にアップ。

『Fragment』
http://www.fragment-movie.com/

マイノリティとセックスに関する2、3の事例
http://over8.com/modules/tinyd01/index.php?id=6


ということで、リレー日記、これで終了です。
月曜日から日曜日までを合わせると、A4で30枚以上の分量になってしまいました。

長々とした文章にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。


リレー日記TOP