シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
   梶原阿貴 (シナリオ作家・女優)

1973年東京都出身
1990年映画「櫻の園」で俳優デビュー

■主な映画出演作
「青春デンデケデケデケ」「コキーユ」「のんきな姉さん」
「苺の破片」
■テレビ
「ふぞろいの林檎たちW」  その他

2005年「苺の破片」で脚本デビュー
■主な作品 「名探偵コナン」「ゴルゴ13」  その他


                            


2009年7月27日(月曜日)

皆様こんにちは。今日から日記を書く破目、もとい、書かせて頂く事になりました梶原阿貴です。
一週間よろしくお付き合い下さいませ。

先日、セレブの街『代々木上原』から庶民の街『笹塚』に引っ越して参りまして、今日は遊びに来た友人2名を連れて新しい街を散策しました。
「本当に渋谷区なのか!?」と驚く事もしばしばな笹塚ライフ。
例えば銭湯で適当な場所に洗面器を置けば、「あ、ここダメだから」と全身チャーシューのオバサンに叱られ(何故ダメなのかは最後まで不明)
喫茶店でモーニングを注文すれば「誰?」と問われ、そう正面から問われると果たして自分は一体何者なのか?と哲学的思考に囚われ悶々としながら新聞を手にすると「それ読むから」と今度は隣の二人組に奪われ、もう何が何だかよく分からないのである。

そんな事を友人に話しながらゆかりの地を巡りつつ探索を続けたのだが、盛り上がってるのは私だけで友人たちは若干退屈気味なご様子。
「まずい。このままでは笹塚だけでなく私までつまらんヤツと思われてしまう」
ここは一つ、女の子受けしそうな隠れ家的限定販売のパン屋さんに案内しよう。
女子は大抵、パンとか好きだし限定に弱いし・・・しめしめ。
と、たどり着いた隠れ家的パン屋さん。限定過ぎて全て売り切れ。
友人たちは暑い中歩かされて、あげく売り切れで今やキレ気味。どうしよう。
そうだこの先にカフェあったっけ。「誰?」って問われる喫茶店じゃなくてカフェ。
なるべく楽しそうな感じを装いテクテク歩いていると、どこからかお経のような声が・・・。
しかも段々大きくなってくる。地獄の底から湧いてくる様な老女の声。次第にそれは怪しい歌声に変わっていく。

友人1「なにこれ?なんか怖くない?」
友人2「怖いっていうかキモくない?」
私「なんか呪われそうだよね」

キョロキョロしながら身を寄せつつ耳を澄ますと今度ははっきりした別の声が・・・
「じゃ、次やっこさん行ってみよう」
どこかで聞いた事あるこの声。って、これ私の声じゃん!!
何だこれ?一体いま何が起こっているの?とその瞬間、私の記憶が蘇ったのだった。

そうあれは4月、伊豆の実家に帰省した時である。
現在準備中の作品に登場する芸者に、小唄を歌わせようと考えていた私は、モデルでもあり実際神田芸者だった祖母の部屋を訪れたのだった。
元気にしていてもいつ何時お迎えがくるかも知れず、今のうちに色々聞いておこうと
座敷でやる小唄を教わり、それを買ったばかりのICレコーダに録音していたのだ。
85歳になる祖母が意気揚揚と歌い踊る姿が、何だか眩しくて最後のリクエストとして「じゃ、次やっこさん行ってみよう」と。
確かに言ったのだ。

恐る恐るバッグの底に手を伸ばすと、確かにあったよICレコーダ。
「脚本家たるもの好奇心旺盛であれ」
死傷、もとい師匠の柏原氏に勧められて買ったこいつが!



何かに当たって再生ボタンが押され、しかもボリュームMAXで今は「やっこさん」再生中。
メチャくちゃ張り切った我が祖母の歌声・・・。
孫の私は薄気味悪い笑みを浮かべたまま、そっと電源をオフに。
そして何事も無かったかのように、空を仰いでその場をやり過ごしたのであった。
怪訝そうな友人たちを余所に、声には出さず呟いた。

「ゴメンねバァちゃん。お迎えきても呪わないでね」



2009年7月28日(火曜日)

今日は渋谷コクーン歌舞伎に行って来ました。
1等席お値段なんと13500円!時給千円で働いたとして13時間半・・・。
7時間労働で休憩引かれたら2日分ですよ。
「これでつまんなかったらどうしてくれよう」意気込んで入った場内、
そこは通常のコクーンとは全く別仕様。まるで浅草に来たような下町情緒あふれる
活気ある光景が広がっていたのでした。
磯辺焼き、みたらし団子、みそおでん、いなりずし、幕の内弁当・・・
それぞれの屋台では半被姿のおじさんが声を張り上げて頑張ってます。
他にも色々なうちわや、扇子、手ぬぐい、千社札やなんかが売られていて、それだけで満足して間違えて帰ってしまう位の充実ぶり。
おまけにこれら全てを客席で飲み食い出来るんです。
じゃー普段も食わせろや。と思ったけど、そこは年一回のお祭りコクーン歌舞伎、
劇場も渋々認めたのでしょう。
早速磯辺焼きとアイスコーヒーを購入し(変な組み合わせ)自分の席へ―

舞台を囲むように客席が配置されており、私の席は上手のテラス2列目。役者さんがかなり近くで見られます。360度常に見られちゃう緊張感は如何程なものか、一瞬たりともお尻まで意識してなくてはなりません。
私のように隙あらばサボろうという考えの者にはとても立てる舞台ではありません。
何故か真後ろの席に演出の串田氏が座られたので、もしつまんなくて寝ちゃったらどうしようと、いらん緊張を強いられたまま幕が上がります。
とは言っても360度舞台なので実際に幕は上がりません。

その時私の視界にあるものが飛び込んで来たのです。
それは、はす向かいの階段席最上段。
ミニスカートの妙齢の女子が、大股開きで勘三郎の登場を今か今かと待ちわびている姿・・・。
「中村屋!」とか言ってる場合じゃー無いでしょう。
見えてますよ。パンツ。水色の。
そこへ勘三郎がパンツ女子の横から登場!場内はスター登場にどよめいております。が、私の心配は勘三郎に注目する皆さんの視線の横にある水色パンツ。
まずいでしょ。早くその足閉じなさい。
隣で拍手してるパンツの友人!気づきなさい。あなたの友人のパンツにピンスポが微妙にあたって目立ってますよ。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか1幕2場でその足は閉じられたのでした。
言い忘れましたが演目は鶴屋南北の「桜姫」



勘三郎かっこ良かったし、橋之助セクシーだったし、七之助キレイかったけど
私の大注目は何といっても中村扇雀。桜姫付きの大局の役なんだけど、その業の深さ女独特の醜さが見事に表現されていてもう最高でした。
「嫌なババァだねまったく」って感じ。性に対する執着振りがまた凄くて、キモグロエロの三拍子。
本当に男性なのかと疑う程の腰つきもやらしくて良かったです。
13500円!もうこれで満足。お腹いっぱいです。
あ、忘れてましたけど自分でお金払ってなかったです。何時もお芝居(高いやつ)に誘ってくださるM社長ありがとうございました。
あらすじ等が気になる方はご自分で調べてみて下さい。
とにかく面白かったし素晴らしかったです。
3回のカーテンコールでは最後スタンディングオベレーションの嵐。
後ろに串田氏がいらしたので私は特に念入りに拍手しました。手が痒いです。
パンツ女子もめちゃくちゃ拍手していたので面白かったんだと思います。



2009年7月29日(水曜日)

以前怖い思いをして以来、何となく避けていた銭湯に行ってみることにしました。
今日もチャーシューおばさんが居たらどうしよう・・・。
でも前行った時間とは違うし大丈夫だよね。
ドキドキしながらお風呂セットを手にプラプラ行くと・・・。

 

「ガーン!」やってないじゃん。
お風呂代金450円と出てから飲もうと思ってたファイブミニ110円、
しめて560円を握りしめたまましばし呆然と立ち尽くしたのでした。


気を取り直して全巻(3巻だけど)大人買いした「聖☆おにいさん」を読む。
下界でのバカンスを楽しむブッダとキリストが立川の安アパートでルームシェア
する楽しい(?)お話。



早くも4巻が待ち遠しい。
ブッダといえば手塚治虫。小学生の時異様に愛読していて、
テストに出た時はのりのりで答案用紙を埋めた記憶がある。
しかし回答は手塚先生のオリジナル部分を記憶していた為か、
ことごとく不正解。
同じく「日出国の天子」を愛読し臨んだテストも聖徳太子は同性愛者と回答し不正解。
「アドルフに告ぐ」で得た知識もテストでは役に立たなかったのでした。

ちなみに最近読んで面白かったマンガは「きのう何食べた?」(よしながふみ)と
「家族生活」(やまだないと)です。
「きのう〜」は料理のレシピが結構ちゃんと書いてあって時々マネして作ります。
簡単なのに美味しいです。
「家族生活」はラストシーンを4人のクリエーターがそれぞれ書いていて面白いです。

私も書かせて貰いたかったです。



2009年7月30日(木曜日)


渋谷の街をぷらぷら歩いていると何やら人だかりが・・・
パルコ向かいユニクロ前では老若男女入り乱れて、携帯を
かざしている。
後ろからジャンプしても見えないので、人込みを掻き分け
輪の中央に。
すると、そこには・・・



「OH〜」と隣に居た外人につられて思わず声に出してしまった。
このワンコ作り物かと見まごう程、微動だにしない。
飼い主の姿は無く、ひたすらジッと撮られっぱなし。
プロのモデル犬なんだろか。
もしかして隠しカメラがあって、「大騒ぎで写メする暇な人達」
とかって夕方のニュースで放送されてたらどうしよう。
不審者に思われない程度にきょろきょろと隠しカメラを探していたら
携帯が鳴る。
この後待ち合わせしている友人からだ。
なにやら悲愴な声で「千葉で電車に閉じ込められて出られない」
との事。
何で千葉に居るのか聞こうと思ったが、とても聞ける雰囲気でなかった。
ようは来られないということらしいので、パルコの地下で本を買って帰る。

第141回 芥川賞 「終の住処」 磯崎憲一郎
同じく   直木賞 「鷺と雪」 北村薫

早速今晩から読もう。
夜ニュースを見ていたら、京葉線が止まって大変だと言っている。
線路を歩く人々の群れに友人の姿を探すが残念ながら映っていなかった。



2009年7月31日(金曜日)

今日は年下の友人、現役早大生のYちゃんに誘われて早稲田にある
『○○CAFE』なるスポットに行って来ました。
(検索に掛かると困るので○○と表記)
営業時間は火曜〜金曜の14時半〜18時半と非常にやる気が感じられない設定。
表向きは「珈琲専門店」と謳ってますが珈琲目当てに訪れる人は居ないと思われます。

 

長蛇の列。そこで予約をし、14時半〜順番に入店する仕組みです。
電話での事前予約等は一切受け付けておらず、入店希望者はその日に並んで予約する他ありません。中にはトランクを引きずって遠方からわざわざ来た様子の方も・・・。
今日の東京はわりと涼しかったので、まぁ良かったけど炎天下の中並ぶのはキツイなぁ。
予約時間に再び訪れ、いよいよ入店。
面白半分に来ているのは私だけ?と思われる程、思いつめた表情の方々の後に続き案内された席に座る。
ウェイトレスの平均年齢が若干高めなのを除けば、いたって普通の喫茶店。だが席数10席程に対しウェイトレスが7人も居るのは「?」
メニューは珈琲専門店らしく数種類の珈琲と(どうしても珈琲が飲めない方用)と銘打ったオレンジジュースのみ。
スゥィーツの類は一切無い。
一斉にオーダーを取り、一斉に珈琲を給仕すると、一斉にICレコーダを持ったウェイトレスが各テーブルに着く。
「おお」見事な一斉プレイにたじろいでいる暇は無く、年配のウェイトレスはICレコーダのスイッチを入れ私に向かって話し始めた。

『7月31日。主は言っています・・・あなたの正しさをいつも見ていると・・・』

ええ〜そうか『預言』なんだもんね。『予言』と勘違いしていたからちょっと驚いた。しかし生年月日も名前も聞かずに3,4分も途切れなく喋繰るのには驚いた。
質問する余地は一切無く、ただただ聞くのみ。
主によると、これまで私がしてきた苦労は全て無駄では無く、回り道でも無く、ただただこれから先に成し遂げるある事の為。それは後の人々に多くの影響を及ぼす事になるだろう・・・。
現金なもので良い事言われちゃうと直ぐ信じちゃう。
もしかして私って選ばれた者?

各テーブルでは皆一様に真剣な面持ちで主の言葉に耳を傾けている。
泣いている方も居たので驚いた。
と横を見たらYちゃんも涙ぐんでたので更に驚いた。

信じるものは救われる・・・。



2009年8月1日(土曜日)


本日公開『サマーウォーズ』を観に新宿バルト9に向かう。が、既に4本先まで満席!
空いているのは25時10分〜の回のみ。
・・・25時って夜中1時だよ。
作協会員になって常に1000円で観られるようになってから意識してなかったけど、今日は1日映画の日。そして夏休み。そして土曜日。そりゃ無理ですね。
しかしここ最近満席で観られないなんて事無かったから、逆に嬉しかったです。お会いした事はありませんが奥寺先生初日おめでとうございます。
以前、声だけ出させて頂いた、原正弘監督『OLDK』ではお世話になりました。
『時をかける少女』もすごく良かったので今回も楽しみです。

人込みを掻き分け項垂れて帰宅するとポストの中に・・・

届きましたよ『月刊シナリオ9月号』



巻頭は事務所の先輩、田口トモロヲ監督の『色即ぜねれいしょん』じゃありませんか。
同じ事務所だとバーターで出られるんじゃないかと思われがちですが、ウチはその辺シビアなので決してそんなことありません。
同じく後輩の(←本当なんだけど、ちょっと書くのに緊張した)タナダユキ監督作品にも出た事無いし。
でもそこが良いトコだと思ってます。
あ、嘘、トモロヲ監督の『アイデン&ティティ』出てました。
峯田さん演じる主人公が友人に連れられてやってくる風俗店のやる気ない女役。
それと劇中のAVの声全部。
ありものを使うと著作権とか面倒なので画面は映さず声のみ全部アフレコ?しました。しかも和モノ、洋モノ両方・・・。
和と洋の違いは息を吐くか吸うかで大きく違います。とここでレクチャーしても皆様には何の役にも立ちませんね。
『色即ぜねれいしょん』は8月15日〜シネセゾン渋谷、新宿バルト9、吉祥寺バウスシアター他で公開です。
向井康介さんの脚本も、とても良かったと思います。公開が楽しみです。

私も早く「シナリオ」誌に掲載されるようなホンを書きたいです。



2009年8月2日(日曜日)

8月に入ったというのに肌寒い日が続きます。
雨降ったり止んだり。本当に梅雨明けしたんですかね。



昨日のリベンジでまたまた新宿バルト9に行って来ました。今日こそ「サマーウォーズ」観るぞ。と昨夜のうちにネットで座席予約までしたのに、開始1時間前にチケット発券手続きするのを失念し、普通にチケット売り場に並ぶ破目に・・・。
上映30分前、私の前には既に20人程が電光掲示板を見上げております。
お、まだ12席残ってる。あ、9席になった。
とドキドキカウントダウン。そうこうするうちに残り7席に・・・。
前方のヤンキー風男子達には是非『ごくせん』を見て頂きたいし、草食系の彼には『エヴァンゲリオン』をお勧めする。ちょっと可愛らしいそちらのカップルは犬のアニメで手を打って欲しい。のに、残り座席は1席に・・・。
そして私の前には後一人。
背後からデューク東郷よろしく眼力で狙撃するも、私がカウンターに到着したタイミングで『満席』のランプが点灯したのでした。



仕方ないので『アマルフィ』のチケットを購入し劇場へ―

うむ。フジテレビ。以上。
景色はすごくキレイでした。

今日でこのブログも終わりです。打ち合わせとか撮影とか何も無くてすみません。1週間お付き合い下さいまして有難うございました。
明日からは渡辺寿さんです。映画『蕨野行』公開時は新宿の映画館で観させて頂きました。平均年齢が非常に高く、皆明日は我が身で観てるのかなぁと感慨深かったのを覚えています。
雪深い厳しい山奥で、捨てられてもなかなか死なない老人たちが格好良かったです。そして市原氏と石橋氏の最後のシーンにエロスを感じました。
楽しいお話を期待しております。


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