シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
   梶 研吾 (シナリオ作家・映画監督)
http://ameblo.jp/kajikendash7/

1961年生まれ。三重県出身。
劇画界の重鎮、小池一夫氏の私塾を経て、漫画原作者
としてデビュー。
以後、漫画原作、脚本、舞台演出、映画監督と活動中。
近作に『そば屋“幻庵”』『駅物語』(漫画原作)、
『サムライプリンセス〜外道姫』 (原案&監督)、
『執事喫茶にお帰りなさいませ』(原案&脚本&監督)など。


                            


2009年11月9日(月曜日)

敬愛するシナリオ作家の川上英幸さんからバトンをいただき、恥ずかしながら、
日記を書かせていただくことになりました梶です。

シナリオ作家の日記ということでありますが、他の錚々たる方々に比して、
私はあくまでも“異端”でありまして(漫画原作者からスタートして、
現在ではシナリオ業よりも監督業のほうが多いという…汗!)、
とてもまっとうなシナリオ作家だとは言えない身ですが、
よろしければ「こいつ、アホちゃうか」と思いながらでも、読んでやって下さい。

さて、本日ですが…。

朝の5時には起きて、午前中に、ある映画のシナリオの執筆。
ここのところ、合間に漫画原作の原稿を挟みながらも、ずっとこのシナリオを
書き続けています。
ちなみに、僕はメチャクチャわがままなので、どんなにギャラを積まれようが、
気に入った監督のシナリオしか書かない…いや、どうしても興が乗らず、
書けない人です。
加えて、気に入ったシナリオ作家の人としか組まない、困った監督でもあります。
今自分で書いているのは、自分で監督する映画のシナリオであります。
正午までに終了。

なんとなれば…。

湘南の地に完全に引っ越してきてから、だいたい朝は5時か6時に起きて、
ゴミ出しついでにかるく運動、その後、すぐに原稿仕事にかかります。
漫画の原作でも、脚本でも、一日に書く分量は、400字換算で10枚と決めています。
自分の場合、それ以上書くと、明らかに集中力の欠如が顕著なのと、様々な作家の先生方によると、やはりそれくらいの執筆量こそがベストだと。

調子がいい時には、朝の9時にはノルマを達成します。
調子が悪くても、昼までには確実に終わります。
(とはいえ、どうしても書けなくて、夜まで書く時もあります)

で…。

本日は、もはや恒例となったブックオフへの本出し。
以前の表参道の事務所から引っ越す時、数万冊という(!)我ながら恐ろしく
なるほどの本を売り払ったにもかかわらず、まだまだある! 実はレンタル倉庫にもある! 
というわけで、今なお次から次へと売り続けている次第なのです。

しかし…。

どうしても映画本と格闘技本とノンフィクション本は売ることができず、もっぱら、
「もう二度と読まねえ!」と確信できる小説や漫画を売りまくっています。
(だいたい一度に300冊から500冊を売っています)

本を選別し、運び、箱詰めするという作業は、けっこうな肉体労働になります。
なにしろ、本はまとまると途轍もなく重いので、ジムに行ってバーベルやらダンベルやらでトレーニングしているのと同じくらいの運動量かもしれません。
で、午後からは、打ち合わせとかで都内に出向くことが多いのですが、それがない日は、今は常に本やらCDやらDVDと格闘しています。
(目指せ、本のある部屋は一部屋限定!)

というわけで…。

本日は、ノルマの原稿が終わった後に、秘書と打ち合わせ。
その後、地元界隈で、銀行に行ったり、郵便局に行ったり、文具店に行ったり。
(外へ出たら、本屋は必ず覗きますが、現在はよほどのことがない限り買いません。
というのは、冒頭にも述べさせていただいたように、想像を絶する量の本がまだ残っているからです。
万が一買う時は、本屋だと荷物が増えてしまう
ので、覚えておいて後からアマゾンでまとめて注文します)

打ち合わせ等がない場合でも、一日一回は、必ず外へ出ます。
そして、散歩と称して、山道を歩きまくります。
実は…。
ものを書くよりも、撮影現場にいることのほうが何万倍何億倍も大好きなので、
監督業がないと本当に気が狂いそうになってくるため、体力維持も兼ねてストレスを
発散しているわけです。
1年に1本とか、数年に1本とかの大作に賭けて賞を狙う…みたいな真似は“巨匠”を目指す方々にお任せして、僕はひたすら“職人”に徹したいのです。
(つくづく昔の日活アクション映画全盛時のように、娯楽映画を次から次へと
撮りまくれたという時代が羨ましい! 当時の監督は、撮影が終わると、
編集は編集者に任せ、間髪入れず次の現場に入っていたそうで、まさに理想的!)

夕方、所属しているクリエイターエージェントの社長と電話で打ち合わせ。
今、いくつかの企画があるのですが、当然予算が必要となるため、
実際に動き出すのはいつになることやら。(またもや発狂寸前の日々!)
が、本日、ある俳優さんを主役にして、一つ新しい企画を起ち上げることになり、
ちょっと心が浮き立ちました。

夜は、録画してあったアメリカのドラマか、映画のDVDを観ます。
アメリカのドラマは質が高いうえに、シリーズがあまりにも多く、ヒイヒイ言いながら、
それでも何シリーズかを並行して、けっこう観ています。

午前0時までには就寝。
明日は、午後からずっと都内です



2009年11月10日(火曜日)

本日も、朝の5時には起床。
何時に寝ようが、一旦は5時に目が覚めてしまう躰に。
要するに、それだけジジイになったということでしょうね(笑)
(ちなみに昨晩は、就寝前に、アメリカのテレビドラマを何本か観て、
立花隆&佐藤優著『ぼくらの頭脳の鍛え方』を一気読み)

例によって、ゴミ出しがてら、かるく運動して、さっそく映画の脚本の続き。
その前に、毎朝、メールをチェックし、返信すべきものには返信し、それから
アメーバでやっているブログを書き、ペタをいただいた方々のブログもすべて読んで、
ペタ返しを。
これが原稿に入る前のウォームアップになっていることは確かです。

本当は、毎週月曜日が、個人メルマガの配信日なのですが、昨日は書けず。
そして、本日も書けず。
この個人メルマガは、“事実と本音”をモットーに書いているので、なかなかに
テーマ選びに時間がかかってしまうのです。
奇特にも読んで下さっている方々には御迷惑おかけしています…恐縮至極です。

本日のノルマ達成まで一歩及ばず、外出しなければならない時間に。
(あ、そういえば、ちゃんと朝食は、毎朝作って食べています。玄米御飯の純和風朝食をば)

都心に出るまで、バスと電車を乗り継いで、約2時間の行程。
最近ではすっかり慣れてしまって、もっぱら読書と音楽のチェックに集中できる貴重な時間です。
(本は必ずノンフィクションと小説の2冊を持参。読み始めてすぐに眠くなるような本だった場合は、途中でやめて、即ブックオフ行き。こうして本の消費に努めています)

午前中に渋谷着。
シネマライズに行って、先にチケットを購入。
すっかり忘れていましたが、本日火曜日は半額デーだったのですね。
何より、シネマライズに来るのも十数年振りなら、映画館で映画を観るのも久し振りです。
ちょっと時間があったので、フラフラとパルコ地下の書店“LIBRO”へ。
どうしても買わずにおれない本を何冊か見つけてしまい、2冊だけ購入。
あとは帰宅してから、アマゾンで注文することに。
(なるべく買わないと言いながら、このていたらくであります…意志薄弱。
それでも以前よりは圧倒的に購買数は減っています)

友人の某俳優さんと待ち合わせて、二人で『母なる証明』を鑑賞。
とにかく、現在の韓国映画には、ひじょうに優れた監督と役者が揃っていて、
僕は、キム・ギドグ、パク・チャヌク、カン・ジェギ、そしてこのポン・ジュノ監督の作品は欠かさずに観ることにしています。
そして、『母なる証明』は…。
あまりに圧倒的な本物の映画体験で、すっかり打ちのめされてしまいました。
正直、現在の日本映画界が、この作品に対抗できるようなボルテージの作品を
作れるかというと、はなはだ疑問です。

観終わってから、一緒に観た某俳優さん共々、ややボ〜ッとしながら、遅い昼食。

意外と俳優さんと距離を置く人が多いですが、僕は真逆。
なぜなら、いわゆる“地位と名声”を築いている俳優さん達には親しく接するクセに、
まだこれからの若い俳優さん達に対しては冷たい態度を取る人達を、
あまりに数多く見てきたので…。
何よりも、監督や演出家は、俳優という生き物がわかっていなければいけないと思いますし、できるだけわかるためには、できるだけ接するしか術はないと思うのです。
自分自身が俳優兼監督でない限りは。

その某俳優さんと別れてから、喫茶店に入り、脚本の構想。

そこへ…。
実家の母親からメール。
先日、個人事務所をたたんだため(いや、個人事務所自体はあるのですが、場所をやめただけ)、心配になった様子。
以前から計画していたことで、要するに、本と書類とを置いておくだけの場所になりつつあったのと、事務所があってもほとんど行かないという“倉庫”状態になっていたので、「バカらしいのでもうや〜めた」というわけです。
それと、いずれは大量の荷物をすべて整理し、ホテル暮らしを理想としておりまして、そのための第一歩という意味もあります。
(ここまでネットが発達した現在、日本だけでなく、海外にいても仕事はできますし、
まだまだあまりにも無知なので、いろいろな街や国を回りたいと思っているのです)
それに、監督並びに脚本家としてはクリエイターエージェントに所属していますし、
個人事務所の窓口は、湘南から電車一本の東京丸の内に、
新たに設けることになっているのであります。
それはともかくとして…。
いい年齢こいて、親に心配かける不良自由業者…まったく本当にすみません。

新宿へ移動して、いつもの喫茶店にて、某雑誌の担当編集者さん、今度コンビを組む漫画家さんと。
来年から、某週刊少年漫画雑誌で連載がスタートするので、その打ち合わせ。
その間にも、別の週刊青年漫画雑誌の編集長氏より電話があり、密談。

なにしろ、元々が漫画原作者なので、今もって、漫画の原作の仕事は、
映画の現場と同等に楽しくて堪りません。
これは現在の日本の漫画を読めばわかることですが、エンターテインメントとしての
クオリティの高さは、間違いなく小説や映画やテレビドラマの上を行っています。
その結果として、漫画家や漫画原作者は、小説家や脚本家よりも、
はるかに高い原稿料と印税の収入を得るわけです。
そして、それは裏を返せば、小説の売れ行きや映画の興行成績、テレビドラマの視聴率よりも、圧倒的絶対的に厳しい判定を余儀なくされる漫画界独自の“読者アンケート”というサバイバルレースを生き抜いていかなければならないということです。
(このあたりのシビアさは、「週刊少年ジャンプ」で連載中の『バクマン。』を
読むとよくわかります)

打ち合わせ終了後、そそくさと帰路に。
帰りの電車はまず100パーセント座れないのですが、それはそれで足を鈍らせないための訓練だと思えば、まったく苦にはなりません。
(撮影現場では、椅子に座るのが嫌いで、立っているか、動いているほうが好きなので)

帰宅後、メールを確認し、返信。
その後、本日はノルマが達成できていなかったので、映画の脚本の続きを。
午前零時を回ったあたりから、凄まじい大雨。

昨晩、ある若い俳優さんから仕事についての相談の電話があったのですが、
今夜はまた別の若い俳優さんから。
いずれも、ちゃんと俳優だけで食べていけている人達なのですが、華やかに見えて、
その実本当に大変な仕事だと思います。
僕なんかのアドバイスが実際役に立つかどうかはわかりませんが、
悩める若い俳優さん達の話を聞き、それなりの指針を示し、リラックスさせてあげることも、監督としての務めだと思っています。

脚本書きのノルマを達成して、午前2時には就寝。



2009年11月11日(水曜日)

午前6時起床。
ずっと雨が激しい、激しい。
実は、今日のような大雨になると、一部雨漏りがするようになってしまったので、
一度修理してもらったのですが、最近また…。
それで、修理業者さんに連絡して、再び来てもらうことに。

そんなこんなする中で、ひたすら映画の脚本書きを。
本日のノルマは午前中に達成。
しかし、漫画の原作の直しもやらねばならず、それは昼食後に回すことに。

午後から修理業者さんが再訪。
いろいろと確認作業。
結局、また、天気のいい日に来てもらい、水を流して、どこが漏水の原因になっているか、調べてもらうことに。
吸水パッドを大量にいただき、感謝。
(前回の雨漏りの時に、このパッドの威力にはかなり驚きました)

雨が小降りになってきたので、ノートパソコンを持って外へ。
都内はもちろんそうですが、地元近辺にも、原稿を書きやすい店をいくつか作ったので、それらをハシゴ。
やらねばならない漫画の原作の直しが、今ひとつはかどらず。
が、ようやく、メルマガの原稿を書いて、送信…遅れてすみません。

明日は、午前中早くに出てワークショップの講師に行かねばならぬため、
映画の脚本の、明日の分を書いておくことに。
しかし…。
400字換算で、86枚書いて、まだ終わらず。
まあ、初稿はこんなもんですが。

ひたすら書き続け、夜に入って帰宅。
合間に、いろいろな人達から携帯に電話やメールがあり、途中でバッテリー切れ。
例によって、アメリカのテレビドラマを何本かチェック。

本日は、午前0時前に就寝。

その前に、香山リカ著『しがみつかない生き方』を読了。
確かに、いつから日本人は、“圧倒的な成功”とか“ものすごい大金を儲ける”
とかという野望に取り憑かれ、“ごく普通の幸せ”でさえ満足できないような国民に
なってしまったのでしょうか。
そして、そういう野望をもっていない人達を見下すという嫌な国民に。
「俺が、俺が」「わたしが、わたしが」「あいつより、あいつより」とか、
そんな自分の自慢と野望の達成ばかり考えていたら、ひたすら苦しくなるだけなのになあ。
俺は、のほほんとマイペースでいきたいっす(笑)



2009年11月12日(木曜日)


午前5時に起床。
小雨が降る、まだ暗い中を、いつものようにゴミ出しに。
その後、メールをチェックしたり、アメブロのペタ返しをしたり、朝食を摂ったり、
書類を確認したり、なんだかんだしているうちに、すぐ出発の時間。
やっぱり、昨晩、本日のノルマ分を書いておいてよかったです(笑)

バスと電車の中で、これまたいつものように読書。

ちなみにですが…。
家に溜まっていた海外小説を読むと、わずか1年ほど前に刊行された作品でも、
すでに翻訳文が古くなっていて、とても読めないものが多々あります。
特に僕は、“おっさん”ないしは“おばはん”臭のある文章が駄目で、
そういう翻訳文が一行でもあると、即ブックオフ行きであります。
自分が“おっさん”であることを棚に上げて(笑)
(ちなみに、映画の翻訳字幕でも、これが多々あります)

翻訳小説でなくても、日本のベストセラーといわれる小説でも、
ものすごい“おっさん”“おばはん”表現の作品があったりして、
やはり、まったく読めなくなることが多々あります。
「これ、俺だけかなあ」と思って、僕の周囲には、10代から20代の男女が多いので、「ちょっと読んでみて」と該当文章を読んでもらったりもします。
すると、やっぱり、「古い」「メチャクチャおばさん臭い」「とても読めない」という返答が
得られるので、「やっぱりな」と頷いている次第です。
別に、すべてを“今風”の文章に、ということではなくても、ある程度時代の
言葉というものを抑えておく必要があると思うのです。
そうしないと、ますます若い世代の活字離れが進むのでは…と。

本日は、青山にある某俳優事務所にて、ワークショップ。
先週に続いて、今週は2週目。

僕自身は監督としては、ぜんぜんたいしたことはないのですが、僕がこれまでに会って、
直接話を聞いた監督や演出家の中には、世界的国際的に凄い人達が多いので
(対談の仕事や海外の映画祭などでお会いしたのです)、
その人達の言葉をできるだけ伝えておきたいという思いもあります。

何よりも、まったく新しい才能、これから開花するであろう才能との出会いが
楽しくてなりません。
誰でも唯一無二の存在であり、その人の個性は世界中でその人だけのものであり、
ということは、皆、“名優”になる可能性を秘めていると思うのです。

この事務所の俳優さん達とのワークショップは2回目ですが、今回は、
ショートムービーを撮って、“作品”にするところまでいきたいと考えています。
やっぱり、俳優は、作品に“出演”してこそナンボですからね。

クラスとクラスの間の休憩時間に、新宿へ。
そのワークショップで撮るショートムービーの編集を担当してくれる、
大阪出身の若き映画監督の吉田裕亮君と打ち合わせ。
吉田君とは、僕が撮った映画『サムライプリンセス〜外道姫』のメイキングを
担当してくれていて知り合った仲。
その才能にピンとくるものがあり、僕が続けている一日一夜限りの舞台
“梶組ワンナイトシアター”の脚本も書いてもらいました。
「おめえ、やっぱり才能あるやんけ!」ということで、今後も、彼の脚本で
ショートムービーを作ろうと考えています。

ドコモショップに寄って、事務所の秘書専用携帯の機能を確認。
しばらく使っていない携帯だったので、暗証番号から何から、すっかり忘れてしまっていたのです。
あ〜、しかし、しばらく見ないうちに、またまた次々と携帯の新機種が!

とって返して、ワークショップの本日2クラス目。
各クラス、本当にぜんぜんカラーが違っていて、自分ではできないですが
(いや、できないからこそ)、役者さんという存在は、とても面白い!
僕は、おそらく、今後も役者さん達から企画を発想していくことが多いと思います。

ワークショップの前に、脚本家の小林雄次さんよりお電話。
あることで、我々は、ある人達に怒られるのかもしれません(笑)
別に悪いことした覚えはぜんぜんないのですけどね(笑)
ただ、最近は、年齢のせいか何かよくわかりませんが、もはや怖いものや失うものがないので(面倒なことは沢山ありますが)、すべては面白い経験だと思っています。

ワークショップ終了後、西麻布にて、いつもお世話になっているさる業界の偉い方と会食。
僕が働いている出版や映像の業界とはまったく違う世界の偉い人達と話すと、
いつもながらとても勉強になります。
こちらが想像もしていないような角度から、いろいろな物事を解決するヒントを与えてくださったりもします。
一つ言えるのは、本当の修羅場を潜り抜けてきた人達には、まるでかなわないということですね。

帰宅してから、早くも第3月目に突入する“通信作劇塾”のテキストを書いたり、脚本の続きを。
“通信作劇塾”も、ワークショップと同じく、こちらは漫画原作と脚本の新しい才能との出会いに期待して始めたものです。
3か月目にして、すでに人数は当初の半分以下に減っています。
そして、最終的に残るのは、たぶん数人だと予想しています。
しかし、その人達は、“珠”になる可能性大です。

それにしても…。
都内から電車で長距離を帰宅するようになって、気づいたことがあります。
一つは…。
予想以上に人身事故が多いこと。
行きも人身事故でストップ、帰りも人身事故で遅延ということが、何度もあります。
もう一つは…。
明らかにストレス過多の方々が多いこと。
車内で突然怒鳴り合い掴み合いのケンカをおっ始める人達に、これまた何度も
遭遇しています。
自殺者年間3万人強の平均をずっとキープ、先進諸国の中ではワースト1というこの国…何かが、どこかが、間違いなくおかしいのではないでしょうか。

仕事を終えてから、録画してあった松田優作主演のテレビドラマ『華麗なる追跡』を。
松田優作氏も、フローレンス・ジョイナー氏も、若くして此の世を去られましたが、
二人の圧倒的な肉体表現の素晴らしさと美しさは、永遠にフィルムの中で息づいています。
午前3時に就寝。



2009年11月13日(金曜日)

午前6時起床。
3時間しか寝ていないにもかかわらず、決まってこのあたりの時間には目が覚めてしまうのです。
やっぱり、ジジイやね(笑)

本日も、メールのチェックから始まって、なんだかんだと雑用を片付けているうちに、
たちまち出発の時間に。
例によって、バスと電車の中で本を読んでいたら、この本がメチャクチャ面白いにもかかわらず、さすがに睡眠不足のせいで、ウトウト…。
ハッと気がついたら、駅を一つ、乗り過ごしていました(笑)
慌てて戻るも、とりあえず、睡眠不足は解消。

本日も、ワークショップ。
本日の2クラスで、ショートムービー用の脚本を作ることに。
エチュードから始めて、それをベースに役者さん達自身に、キャラクターとストーリーを
考えてもらうという主旨。
(これは実は役者さん達にとって、かなり重要な授業なのです)

合間に、秘書に会って、事務関係の打ち合わせ。
いろいろな雑務等をよりシンプルにする算段を。
たまに、クリエイターの人でも、「自分の事務所をいつか大企業にしてやる!」
みたいな方がいらっしゃいますが、僕にはまったく理解不能(笑)
最終的には、身ひとつ、いつどんな時でも、どこへでも行ける、という立場こそが
理想的だと思うんだけどなあ。
「自分の家の畳の上で死にたい」と思っていても、そうなることが約束されて
いるわけではないのだから、「死ぬ時はどこであっても同じ」と考えて、
自由自在に動けたほうが、人生面白くないでしょうか。

ワークショップ終了後、青山から渋谷へ。
久しぶりに会う漫画家さん、某青年漫画雑誌の担当編集者氏と、
隠れ家的イタリアンレストランにて会食。
この漫画家さんも編集者氏も、僕がもっとも信頼している方々。
いつかこのチームで新しい漫画をやりたいと数年前から構想していたのですが、
来年からなんとか形になりそうな按配に。
僕の方針は、何年何十年かかろうと、「やる!」と決めた構想を、粘りに粘り倒して(笑)
いつかどこかで実現させることです。

それにしても、相変わらず渋谷は人が多いですね。
ここ数年、ますます人ごみが苦手になってきているので、
「やっぱり、もう都会には絶対に住めねえなあ」と思いつつ、雨の中を。
そういえば、試しに何度か、白系の服を着て、東京都内で打ち合わせをして湘南に帰ってきたら、たった一日だけで白いシャツの表面に黒い塵のようなものが付着していて、驚いたことがあります。
それだけ都内の空気は汚れているということが、ヴィジュアルでわかったわけですが、以来、都内へは黒系の服で出かけています(笑)

というわけで、今夜は湘南には帰宅できなくなることを予想していたので、解散後、
最近気になっている街である浅草へ。
以前から目をつけていたホテルに宿泊。
レストランで飲んだシャンパンとワインの酔いも手伝って、午前2時には就寝。



2009年11月14日(土曜日)


午前6時起床。
シャワーを浴びて、即座にホテルをチェックアウト。
朝の浅草の街を徘徊するも、さすがに時間が早すぎて、あまり店が開いていませんでした。
それでも、人に阻まれることなく、いろいろと街の状況がわかって収穫。
朝の運動代わりに2時間以上雨の中を歩き回って、結局、駅前のモスバーガーにて(笑)朝食。

今日は土曜日のせいか、浅草から湘南方面まで戻る電車は、かなり空いていました。
歩き疲れたせいか(笑)本を読む気力が湧かず、車中はずっと音楽。
映画の主題歌や挿入歌などで使えそうな曲を見つけて、ちょっと嬉しい気分に。

帰宅してから、メールのチェックやら、ブログ書きやら、もろもろ雑用。
その後で、シナリオ作家の小林雄次さんと電話にて、いろいろとお話。
小林さん、来年は舞台の作・演出も控えているし、さらに今また連ドラの脚本も執筆中とかで、相変わらず勢いに乗っている様子。

俺も仕事しねえとなあ…と、放置状態だった漫画の原作の直しを一気に。
昨晩、漫画家さんや漫画雑誌の編集者氏と会食して、かなり楽しかったので、
かなりパワーをもらった感じです。
不況の影響と無関係ではないとはいえ、やはり、漫画業界のほうが、映像業界に比べると、活気があって、挑戦的で、見返りも比例して大きいので、仕事していると元気が出ます。
映像業界もそうあってほしいと思うのですが…。

仕事が終わってから…。
シナリオ作家の方、俳優の方。編集者の方、漫画家さんと電話にて打ち合わせ。
電話で打ち合わせが続くのは久々。
電話による打ち合わせとか難しい話し合いは苦手なほうなので、なるべく直接会って
話すようにしています。
それに、都内まで往復4時間の土地に住んでいるので、その移動時間中や、
原稿仕事をしている時、もちろん打ち合わせ中は、いっさい電話には出ないので、
電話をもらってもまず留守電ということがほとんどです。
結果、僕の携帯電話は、ほぼメール送受信専用携帯と化しています。
なので、本日の複数の電話打ち合わせは超珍しい(笑)

いつものようにアメリカのテレビドラマを何本かチェックしてから(面白い!)、
これも録画してあった韓国映画の『NOWHRE 情け容赦無し』を。
映像に凝りすぎていて、ストーリー展開もハチャメチャでしたが、逆にそこに
アン・ソンギ、チャン・ドンゴン、チェ・ジゥという役者さん達が出演していることも手伝って、韓国映画ならではの、理由なきパワフルさは伝わってくる作品でした。
後でレビューを読んだら、やっぱり極端な賛否両論の嵐(笑)

午前1時には就寝。
さて、この日記も、早いもので明日で終わりであります。



2009年11月15日(日曜日)

午前5時に起床。
世間は日曜日ですが、僕はまったくサラリーマン経験がゼロなので、
今まで延々と曜日の感覚なく過ごして来ました。
なので、本日もいつも通りっす。

そういえば…。
デビューしたばかりの頃に、何人ものプロの先輩達から言われたことがあります。
「本当に自由業で食っていきたいのなら、他人が休んでいる時にこそ、努力して、
勉強して、働くんだ。おまえの周りのライバル達でも、一般の人達と一緒になって、
土日は遊んでる奴らは、いずれ必ず脱落していく。
プロとして確実に食っていけるようになるまでは、自分の立ち位置を得るまでは、
このことを絶対に忘れるな」
この言葉は、本当に当たっていました。
が、若い時分にこういうことを言われても、なかなか実行できないものです。
5年後10年後に、結果が確実に形になってくるのですが。

その経験があるので、僕も今、若い俳優さんや新人の作家さん達には、同じ言葉を伝えています。
が…本当にわかってくれている人達は何人いることか。
残念ながら、大半の人達は実感できていないでしょう。
なぜなら、実際に5年後10年後に現役で活躍している人達はほとんどいなくなっているので。

ずっとやっていた映画の脚本のほうは、ラフの初稿の大半ができたので、
長年の盟友であるシナリオ作家の林壮太郎さんにバトンタッチ。
林さんは、僕も尊敬しているシナリオ作家の大先達、石森史郎先生のお弟子さんで、監督としての僕にとっては、もっとも組みやすいシナリオ作家の一人です。
僕は意外と短気なので(笑)、一を言って十わかってくれる人でないと、
すぐイライラしてしまうのです。
いや、パッとわかり合える人とでないと、ただでさえ時間のない現場で、
皆に迷惑をかけることにもなってしまうからです。
(カメラマンは、もっともっともっと速くわかってくれる人としか組みません)
その点、林さんや、小林雄次さんは、こちらが一を言うと、時には二十も三十も
わかってくれるので、ひじょうに助かっています。

で…。
僕はさっそく新しい映画のプロット作りを。
このプロットは、“役者さん先にありき”企画のものなので、イメージが具体化しやすく、あとはアイディアのみ。
役者さん先にありき、とは言っても、プロデューサーやスポンサーから押し付けられた役者さんや、どんなに有名だろうが手前が好きでねえ役者さんでは、
まったくアイディアが閃かず、モチベーションもぜんぜん上がらないので、
今回のものも僕の好きな役者さん専用のプロット。

午後からは、法律関係並びに医学関係の偉い方々と会食。
外は異様に風が強くて、ちょっと閉口。
が、天気良し。
この会食は、わりと定期的に行われていて、本来は僕なんぞが顔を出すような
場所ではないのですが、たまたま知り合った方と意気投合して、参加を許されることに。
今日、法律関係の方からお聞きしたお話で面白かったのは、「その言動が会社の
株価に影響するような重大な立場にありながら、平気で法に抵触するような脅しや
圧力をかけている、あまりにもヤクザで無知な企業人がいる」というもの。
あ〜、そういえば…と、僕も含め周囲の方々にも思い当たる人達多数あり。

終了後、電車を降りてから、散歩しつつ、帰宅。
体力維持のためだけではなく、頭の中ではいろいろと映画や漫画の構想妄想を。

夜はDVDで映画。
梶芽衣子さん主演の『女囚701号〜さそり』『女囚さそり〜第41号雑居房』
『女囚さそり〜けもの部屋』『女囚さそり〜701号怨み節』と、全4本を一気に。
(観出したら、止まらなくなってしまい)
もう数え切れない回数観ている作品群ではありますが。

梶芽衣子さんは、僕の大大大大大好きな女優さんで、今も御本人にお会いする度に、『北斗の拳』のケンシロウに秘孔を突かれた悪党みたいな状態になってしまいます。
いつか自分の監督作品に出ていただくことが夢ですが…その時は現場で倒れる
かもしれんな、オレ。

というわけで、お恥ずかしい限りの7日間でありました。
奇特にも読んでいただいた方、ありがとうございました。
克明な日記は(笑)ひとまず、これにて終わりです。


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